2022年8月にニューヨークで発表されたサムスンの新製品、Galaxy Z Fold4が日本でも発売になります。Galaxy Z Fold4はスマートフォンと小型タブレットを1台に詰め込んだ欲張りな端末で、本体を閉じればスマートフォン、開けば大きな画面の小型タブレットに変形します。サムスンの第四世代目となる折りたたみスマートフォンでもあり、過去モデルに様々な改良が加えられています。今回、グローバルモデルを触ってみました。

  • 閉じるとスマホ、開くとタブレットになるGalaxy Z Fold4

「スマホは画面が狭い、でもタブレットは持ち運ぶのがちょっと面倒」「たまに大きい画面が使いたい」「スマホとタブレット、2台を持ち運ぶのは面倒」。そんなことを思っている人にGalaxy Z Fold4は向いています。Galaxy Z Fold4は閉じると6.4インチ、23:9のワイド画面のスリムなスマートフォンサイズなので、片手でそのまま使うことができるのです。そして大きい画面を使いたいと思ったら、本体を開くと7.6インチ、2,176x1,812ピクセルの画面を備えた小型タブレットに変身するのです。

  • 本体を開くと7.6インチの小型タブレットになる

本体の質量は263gとやや重いのですが、2つのデバイスを1台にまとめた利便性は高く、使ってみると大きなメリットを感じます。閉じたときの大きさは縦横が155.1x67.1mm、厚さは14.2から15.8mm。折りたたむとヒンジ側に若干すき間ができますが持ちにくいということはありません。このスタイルなら一般的なスマートフォンよりもスリムなので、混雑している電車内での使用も苦にならないでしょう。

  • 本体を閉じてスマートフォンとして使うことができる

本体を開くと155.1x130.1x6.3mm、厚みを抑えた小型タブレットとなります。サムスンは昨年も折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3 5G」を発売しましたが、サイズは158.2x128.1x6.4mmでした。Galaxy Z Fold4は縦の長さが若干短くなり、横が広くなったためより正方形に近い形となっています。またわずかですが薄くなったため、片手でもより持ちやすくなっているのです。

  • 本体を閉じたところ(左)と開いたところ(右)

開いたときの大きい画面を使いやすいようにユーザーインターフェースも工夫されています。画面の下部にアプリのショートカットアイコンが並んでいるのが見えるでしょう。これはAndroid 12Lの機能で、アプリを使用中に別のアプリを簡単に起動できます。

  • 画面の一番下にアプリアイコンが並ぶ

画面下のアプリアイコンの1つをタップしたままそのまま上にドラッグして、画面の左半分、または右半分、あるいは上半分、もしくは下半分まで持っていくと、すでに起動中のアプリと分割表示され、2つのアプリを同時に表示することができます。7.6インチの大きい画面を有効利用できるわけです。

  • 時計アプリのアイコンを左側にドラッグ

  • 2つのアプリが同時に起動できる

Galaxy Z Fold4では最大3つのアプリを分割表示できます。またアプリを小さい画面でポップアップさせて表示もできます。ちょっとした計算をよくするときに、電卓アプリを小ウィンドウで起動しておく、なんてこともできるわけです。

  • アプリのポップアップ表示にも対応

また適度な角度で折りたたむと使える「フレックスモード」も便利です。これは1つのアプリを2つに分割表示できる機能。代表的な例としてカメラならば上側にライブプレビュー、下側にシャッターボタンやモード切り替えボタン、前に撮影した写真のプレビューなどが表示されます。YouTubeなら上に動画、下に動画説明やお勧め動画などが表示されます。

  • 1つのアプリを分割表示するフレックスモードが便利

このフレックスモードはGalaxy Z Fold4を机の上に置いて写真を撮るときに便利。特に自分の顔を写したいときに活用できます。またZoomなどビデオ会議を行うときも、上半分で自分の顔をフロントカメラで写し、下半分側にはコントロール画面が分割表示されるので見やすくなります。動画を見るときもGalaxy Z Fold4をL字型に折り曲げて机の上に置けばよく、スマホスタンドが不要なのも便利です。

  • フレックスモードはGalaxy Z Fold4を机の上に置いて使うときも便利

Galaxy Z Fold4はペン入力にも対応しています。サムスンはこれまでにもGalaxy Noteシリーズ用に専用スタイラス「S Pen」を販売してきましたが、Galaxy Z Fold4またはGalaxy Z Fold3 5Gは、Galaxy Note用ではなく、折りたたみモデル向けの専用S Penが必要です。利用できるのは「S Pen Fold Edition」「S Pen Pro」そして専用ケース「Galaxy Z Fold4 Standing Cover with Pen」に付属のS Penです。なおS Pen Proは充電式ですが手書きだけなら充電は不要で、充電することでカメラのリモートシャッターになったり、位置を追跡できる機能が利用できます。

  • S Pen Pro(左)とGalaxy Z Fold4 Standing Cover with PenのS Pen(右)

S Penでの入力はプリインストールのノートアプリ「Galaxy Notes」で文字を手書きし、ワンタッチでテキスト化が可能です。メモを手書きで記録してテキストにしてSNSに送ったりオフィスアプリに貼り付ける、といったことができるわけです。手書きの認識精度はかなり高く、日本語のテキスト化にも対応しています。

  • 日本語で書いた手書きをテキスト化できる

またドローイングアプリを使ってイラストを描くのにも利用できます。折りたためばポケットに入るスマートフォンでありながらも、本体を開けば本格的なイラストを書けるタブレットにもなるわけです。S Penはワコムの技術を使っているため、タッチ感度も十分な性能を持っています。

  • 2種類のS Penを拡大。S Pen ProはApple Pencilとほぼ同じ太さ

Galaxy Z Fold4はカメラ性能も向上しており、メインカメラは5,000万画素、1,000万画素の望遠カメラは光学3倍望遠にも対応します。カメラ性能を高めた「Galaxy S22 Ultra」等と同様に夜間の写真撮影にも強く、1,200万画素のウルトラワイドカメラも搭載するため風景写真も得意とします。Galaxy Z Fold4はスマートフォンとしても小型タブレットとしても使え、半分にたためばスタンドも不要、ペン入力にも対応しカメラも高性能という、あらゆる機能を1台に詰め込んだ製品なのです。価格はかなり高めですが、複数の機能を1台にまとめたと考えれば十分納得できると言えるでしょう。

  • Galaxy Z Fold4には価格以上の機能が詰め込まれている