ダイソンの掃除機は吸引力や微細なゴミを取り残さない掃除力の高さが魅力。2021年5月には見えにくいゴミを緑の光で可視化する「Detect」シリーズを発表し、さまざまな方向から家庭の清潔性にアプローチしています。そんなダイソンが8月25日に発表したのが、「ペット」に注目したツールです。メディア向けの発表会で実際に試してみたほか、ダイソンのシニア メカニカル エンジニア、ジェームス・マクリー氏に話を聞いてきました。
我が家にピッタリなのはどれ? 新ツール群をおさらい
今回発表されたのは掃除機本体ではなく、掃除機に装着するヘッドやアクセサリーの3製品。そのうち1つ(2種類)は「長い髪の毛が絡まらない」という床用ヘッド「Motorbar クリーナーヘッド」。これはヘッド内部にクシ状の歯を配置することで、ロールブラシの毛絡みを防ぎます。ペットの毛はもちろん、人間の長い毛も絡まりません。
Motorbar クリーナーヘッドに2種類あるのは、掃除機の「Dyson V12 Detect Slim」用と「Dyson V15 Detect」用で仕様が異なっているため。軽さと性能のバランスに優れたDyson V12 Detect Slimにはコンパクトな「Motorbar クリーナーヘッド」、ダイソンのコードレスクリーナーではもっともパワフルな最上位モデルのDyson V15 Detectには「Digital Motorbar クリーナーヘッド」です。
Dyson V15 Detect用のDigital Motorbar クリーナーヘッドは、ヘッド前面の一部がスライダーで開くようになっており、床への密着度を変更可能。スライダーを閉めれば床との密着度が上がって吸引力がアップしますが、ヘッドの移動は重くなります。スライダーを開ければ床との密着度が下がって軽い力で進みます。また、スライダーを開くことで5mm以上の大きなゴミも吸い込みやすくなるそうです。
Motorbar クリーナーヘッドは現在のところ単体販売はなく、「Dyson V12 Detect Slim Complete」「Dyson V15 Detect Complete」に同梱されるアクセサリーです。公式オンラインストアでの価格は、「Dyson V12 Detect Slim Complete」が102,300円、「Dyson V15 Detect Complete」が115,500円。補足すると、メインのヘッドはフローリングに向いた柔らかなFluffyクリーナーヘッドですが、モデルによってはカーペットに向いたダイレクトドライブクリーナーヘッドも同梱していました。このダイレクトドライブクリーナーヘッドが、今後は順次Motorbar クリーナーヘッドに切り替わる予定です。
一方で、別売りでの販売となるのが、同時に発表された「ペットグルーミングキット」(8,800円)です。これは、ダイソンのコードレスクリーナーに取り付けて使えるペット用のブラッシングツール。金属製の364本のブラシでペットを気持ち良くブラッシング。さらに、ブラシに付着した毛を触ることなく掃除機に吸い込ませられるペット用ツールです。
重要なのは抜け毛の掃除ではなく「目に見えないゴミ」?
発表会には、毛絡み防止テクノロジーの開発に関わったジェームス・マクリー氏が来日。発表会のあと、新ツールに関する詳しい話を聞きました。
ダイソンは掃除機や空気清浄機、ドライヤーなど「空気と風を扱う」技術力に定評がありますが、開発の背景には地道な研究と調査があります。そんな研究所の調査でわかったことは、ペットの「目に見えない汚れ」です。
たとえば、ペットが毛繕いをすると唾液が毛や皮膚に付着。この皮膚細胞が乾燥してはがれ落ちると、微粒子となって浮遊ハウスダストになります。それ以外にも、ペットの抜け毛には目に見えないサイズのフケや細菌などが付着しているのです。
ダイソンの調査によると、ペットオーナーは目に見える抜け毛の掃除は気にするものの、約7割のオーナーは、目に見えない微細物質がペットの毛に付着している可能性には気が付いていません。しかも、飼い主の半数はペットが人のベッドで寝ることを許しているにも関わらず、ベッドのマットレスを掃除しているのは約3割。これは快適な住環境の維持という意味ではよいことではありません。とくに、目に見えない小さくて軽い微細ゴミは空中に漂うことがあるため、ペットのいない部屋まで浮遊したり、人間が吸い込んだりする可能性もあります。
ジェームス氏:新型のMotorbar クリーナーヘッドは、犬や猫、それ以外のペットでも、抜け毛を吸い取ったときヘッドに絡まない設計。ペットの抜け毛が落ちている床を掃除したあと、ブラシに絡まった毛を取り除く手間がありません。
この「毛がらみ防止製品」の開発中、新型コロナウイルス感染症によるロックダウンが発生しました。ダイソンの開発者は自宅にプロトタイプ製品を持ち帰り、実際にペットがいる環境で性能テストを行ってその有用性を実感しています。私も自宅に毛の長いレトリーバーがいるので、製品の使い勝手を自分でも検証しました。
ゴミを出さず、出てしまったゴミもすばやく捕集するトータルケアを目指す
ジェームス氏:ただし、Motorbar クリーナーヘッドはあくまで床に落ちたゴミを掃除するツール。空中に浮遊しているゴミのケアには不向きです。このため、われわれダイソンはMotorbar クリーナーヘッドだけでペットのいる家庭の住環境ケアができるとは考えていません。
ペットグルーミングキットを発表したのも、トータルケアを考えてのことです。まず、グルーミングキットでペットをブラッシングケアすることで、ペットから出る微細な浮遊ゴミを減らすことができます。それでも出てしまう空中に浮遊するゴミは、ダイソンの空気清浄機がケアします。床に落ちたゴミにはMotorbar クリーナーヘッドが有効に使えるはずです。
ジェームス氏:Motorbar クリーナーヘッドは床のような広い面積の掃除に適していますが、ソファやクッションなど小さなエリアの掃除には、Motorbar クリーナーヘッドが入った「Complete」シリーズに同梱される「毛絡み防止スクリューツール」が向いています。
これはアルキメデス・スクリューを応用した形状になっており、円錐型のスクリューを回転させることでブラシにまとわりつくゴミをブラシの細い側に押し出します。Motorbar クリーナーヘッドと同じように「回転ブラシに毛を絡ませない」という結果を、まったく異なる原理を使って実現しています。こちらは髪の毛がどんどん端に移動して、最終的にダストビンに引き込まれるのが目視できて面白いですよ。
ジェームス氏:今回発表したペット向きのさまざまなアクセサリーは、レトリーバーを飼っている私も利用しています。とくに気に入っているのはペットグルーミングキット。ブラシ中もゴミが舞いませんし、ブラシから抜け毛を外す必要もありません。ペットの毛についた目に見えない雑菌ごと、シュッと掃除機のクリアビンに引き込まれるので、最初から最後まで清潔に作業できます。
ダイソンは以前からキャニスター掃除機のアクセサリーとしてペットグルーミングキットを用意していましたが、コードレス掃除機用のペットグルーミングキットは今回が初めて。新しいペットグルーミングキットは、フレキシブルな蛇腹タイプの延長パイプがついて作業性が向上しているほか、静音性も高くなっています。ペットによっては掃除機の音を嫌がるので、できるだけ静かな駆動音になるように設計し直したのです。
我が家の犬には実際どう? 実際に試せるイベントも開催
ジェームス・マクリー氏が語ったように、ペットに対して使うグルーミングキットは、ペットとの相性も大切です。ダイソンは8月28日(日)まで、東京都の二子玉川ライズ ガレリアにて、ペットと参加できる体験イベントを開催しています。
会場では製品体験コーナーのほか、トリマーによるグルーミングサービスや犬用フォトスポット、ドッグラン(12:00~16:00の間はペットの体調配慮のためドッグランを一時休止)など、犬と一緒に楽しめるエリアも用意されています。