乾燥する季節になってきました。肌がピリピリしてきて静電気が気になり、喉も痛くなったら要注意。早めに加湿器を使うことで部屋がうるおい、室内環境が快適になります。
加湿器にはさまざまなタイプがありますが、今回は加湿器+空気清浄機+扇風機という3役で一年中使えるダイソンの最上位モデル「Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde」をレビューします。
ホルムアルデヒドを分解する酸化分解触媒フィルターを新たに搭載
最初に見て驚いたのはデザインでした。これまでダイソンの空気清浄機は白やシルバーが多かったのですが、カバー部分がゴールドの製品は初めて。個性的で高級感はありますが、従来のスッキリしたダイソンらしいカラーリングが好みだと戸惑うかもしれません。
Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehydeで最大の特徴となるのは、有害なホルムアルデヒドを分子レベルで分解できること。固体ホルムアルデヒドセンサーを含む4つのセンサーを新たに搭載し、常に空気の状態をモニターしています。
フィルターは従来のHEPAフィルターと活性炭フィルターのほか、ホルムアルデヒドを分解するための酸化分解触媒フィルターを新しく追加。8畳の部屋を浄化する目安は22分なので、12畳程度までの広さに適しています。
空気清浄フィルターは3層構造。汚れた空気はHEPAフィルターを通り、PM0.1レベルの微細な粒子を99.95%捕集し、次に活性炭フィルターでベンゼンや二酸化窒素などの有害なガスを除去。最後に酸化分解触媒フィルターがホルムアルデヒドを捕らえて分解します。
酸化分解触媒フィルターは、触媒反応によってホルムアルデヒド分子を連続して分解し、ごく少量の水とCO2だけを空気に放出。そのため、酸化分解触媒フィルターは交換不要です。
なお、ホルムアルデヒド放散基準値は、シックハウス対策の強化を織り込んだ改正建築基準法(平成15年7月1日施行)で定められています。対象となっているのは建築材料(合板、集成材、フローリング、塗料、接着剤)です。しかし、少し古い住宅では、塗料や壁紙に含まれるホルムアルデヒドなどの有害な物質が徐々に放出され、部屋の中にとどまってしまうこともあります。また、輸入家具などではホルムアルデヒドの基準値がない部材を使っている製品も多いため、やはり部屋の中に放散している場合も。何かと不安なホルムアルデヒドですが、専用のフィルターでしっかり分解してくれるので安心ですね。
ダイソンの空気清浄機能はすき間をなくしてキレイな空気を出す
Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehydeの基本操作は「風向調整/スウィング」ボタンを押して、風向(スウィング)角度を0・45・90°から、または「ブリーズモード」を選びます。
風量は10段階で、オートモードも備えています。2つの風向調整器によって、開口部から最大90°の範囲で風を送り出します。風向調整器の向きを同じ方向にしたり、別方向にしたり、送風を調整することも可能。吹き出し口は細い2カ所ですが、風はパワフルで、強風にすると3mほど先のカーテンがバタバタとなびくほどでした。風量を5以下にすると、とても柔らかな風になるので、扇風機としても気に入っています。
フィルターのフチにはゴムのような板があり、本体にはめたときにフィルターと本体とのすき間をしっかりふさいでいます。一般的な空気清浄機は単にフィルターをはめるだけなので本体との間にすき間がありますが、そのすき間から汚れた入り、そのまま吹き出し口から出てしまうので「きれいな空気」とは言い切れない場合が多いのです。
ダイソンの空気清浄機は、とにかくすき間をなくして、しっかりとフィルターで汚れた空気を濾(こ)して、吹き出し口からキレイな空気を出す――ということを徹底しています。Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehydeでは内部の密閉性も見直しており、外に出てくる風は浄化されたとてもキレイな風です。
遠くまで届く風で部屋中を一気に加湿
続いて加湿機能。独自の「ウルトラバイオレットクレンズテクノロジー」を搭載し、衛生的な水で加湿することも特徴です。タンク内のリフレクターから強力なUV-Cライト(紫外線)を照射し、水に潜む細菌を除去します。その水は「反射PTFEチューブ」の中を通って抗菌仕様の加湿フィルターに送られ、部屋に放出。そのため、雑菌が繁殖しやすいタンクも清潔な状態にできるのです。
加湿の方式は、水を浸透させたフィルターにファンで風を当てて、気化させながら加湿する気化式です。適用畳数は、プレハブ住宅で10畳、木造住宅で6畳。パワフルな加湿器には1,000mL/hを超える製品もあり、そういった製品と比較すると300mL/hというのは少々物足りない印象です。
加湿の設定は、30%、40%、50%、60%、70%、オートという6通り。今回、12畳ほどの部屋で少し高めの湿度設定として70%、「送風モード」で運転してみました。ついでに寒かったのでエアコンをつけてみると、一気に湿度が下がりましたが、その後ぐんぐん上がっています。ただし木造の古い家で使ったので、設定湿度の70%に到達することはありませんでした。10畳くらいまでのほうがより効果を実感できるのかもしれません。
送風モードは、本体正面から風を送る「送風モード」、風を本体の後部から45°の角度で送る「ディフューズモード」、独自のアルゴリズムで風向きを変化させて自然な涼風とする「ブリーズモード」があります。前から風を出す送風モードだと気流に乗って遠くまで湿度を届けられるので、急いで部屋全体を加湿したい場合は、送風モードがおすすめです。湿度が落ち着いたら、ディフューズモードに変えるという使い方をすると快適でした。
加湿器の一番面倒な「お手入れ」も簡単
Dyson Purifier Humidify+Cool FormaldehydeのHEPAフィルターは、1日12時間の使用で年1回の交換が目安となっています。交換はとても簡単で、古いフィルターを外してはめ込むだけ。1分もかかりません。
一般的に加湿器といえば大変なのがフィルターのお手入れですが、これもとても簡単です。水タンクをバケツ代わりにして、加湿フィルターを取り外して水タンクの中に入れます。それを本体に装着して「加湿お手入れ」ボタンを押すと、自動洗浄できるようになっているのです。液晶ディスプレイにも加湿フィルター掃除の手順が表示されるので、簡単にセットできるところも便利ですね。
一年中使える一台3役の加湿空気清浄機。加湿能力アップに期待
スマートフォンとも連携します。Dyson Linkアプリで空気の状況などがわかり、スマートフォンからも本体を操作できるのは便利です。Dyson Linkアプリで接続するようになってから、リモコンは使っていません。接続も簡単なので、ダイソン製品のユーザーはぜひ活用してほしい機能です。さまざまなダイソン製品を登録して一元管理もできます。
Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehydeを実際に使ってみて「好みが分かれるかも」と思ったのは、ゴールドのカラーリング。実物はピカピカのゴールドというよりブロンズ色で落ち着いていますが、面積が大きいので目を引きます。来客時もよく「ダイソンの新製品!?」と驚かれました。
本体の高さは923mmと大きいものの、設置面積は直径312mmで済みます。扇風機と空気清浄機と加湿器を兼ねているため、一台3役で一年中使えるのはうれしいですね。また、ホルムアルデヒドを分解してくれる点にも安心感があります。ひとつ気になったのはACアダプター。とても大きく、ちょっとコードに触れただけでもコンセントから外れる場合があるので、小さくなってほしいところです。
今回、Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehydeを1カ月ほど使いましたが、部屋の空気がスッキリして、こもったニオイも気にならなくなりました。タンク内の水も除菌されるので、加湿機能も安心して運転させられます。木造のリビングダイニングなど広い場所で「加湿器」として使いたいので、個人的には加湿能力アップに期待しています。