GRBは天体現象としては突発的かつ短時間で終息する部類に含まれるが、その発生後は、数日にわたって「残り火」ともいえる残光を観測することが可能とされている。そこで研究チームは今回、すばる望遠鏡などにより観測された500個のGRBの可視光データを解析し、その光度曲線の特徴を調べることにしたという。その結果、「プラトー」と呼ばれる、残光の明るさがほぼ一定の部分を持つ179個のGRBが標準光源となることが示されたとする。
ちなみに研究チームは2016年に、X線観測でも同様の法則を発見済みだという。今回の、可視光観測で得られた関連性も合わせることで、より正確な距離の測定が可能になるとするほか、可視光観測で得られた関連性を利用することで、宇宙の膨張率など、宇宙論パラメータをより高い精度で求められることがシミュレーションから判明したという。
また、X線と可視光の両データを用いた解析から、GRBの物理メカニズムについても新たな知見が得られたとする。波長依存性が調べられたところ、プラトーを示す179個のGRBは、高速回転する中性子星で、宇宙最大の磁力を持つ天体「マグネター」に由来する可能性が高いと結論付けられたという。
ダイノッティ助教は、「今回、可視光で初めて発見された3次元的な相関関係は、選択バイアスや赤方偏移によらない本質的なものです。そのため、これらの特徴を示す179個のGRBに共通する放射メカニズムを特定することができます。将来的には、高い精度で宇宙論パラメータを求められる、宇宙論的な標準光源として利用できると考えられます」と、今回の研究の意義をコメントしている。