パナソニックとファイターズ スポーツ&テンターテイメント(以下、ファイターズ)は去る7月20日、プロ野球の球団、北海道日本ハムファイターズの新しいフランチャイズ球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(以下、エスコンフィールド)」における、照明設備を中心とした演出技術などのパートナーシップ契約締結に関する共同記者発表会を実施しました。

  • エスコンフィールドの場内イメージ

北海道の北広島市で2023年にオープンする世界最大級の新ボールパーク、その魅力

ファイターズが北海道北広島市に建設中の新しいホームグラウンド「北海道ボールパーク Fビレッジ(以下、Fビレッジ)」は、2023年3月の開業を予定しています。

メインとなるエスコンフィールドは世界でも最大級の球場となり、35,000人の収容に対応。開閉式の天井や、巨大なガラスウォール、プレイフィールドに天然芝を採用するなど、リッチで先進的な取り組みになっています。

  • 開閉式天井を備えたエスコンフィールドの完成イメージ

球場の中にはサウナやフードホールといった商業施設を設け、外野席にはなんとプールまで用意。球場の外には、キッズエリア、公園、宿泊施設、体験型農場もあり、野球に関心の低い人でも楽しめる「沢エリア」を併設。さらに4,000台を収容できる駐車場、送迎用のEVバスも用意する計画です。

  • エスコンフィールド周囲の沢エリアには、さまざまな施設が入ります。「?」と表示されている場所も現在はすべて決まっており、アスレチックなどの施設が入ることになっています

ファイターズの前沢賢氏は、「北広島市は札幌と新千歳空港との中間にあり、60分圏内に北海道の人口の半分以上となる300万人が集中するポテンシャルの高いマーケット。その中でFビレッジは、プロ野球だけでなくリアルなプラットフォーム事業として、スポーツと北海道を融合した持続可能な街づくりを目指していきます」と語りました。

  • ファイターズ 取締役 事業統轄本部長 前沢賢氏

【動画】エスコンフィールドの工事の様子(提供:北海道日本ハムファイターズ)(音声が流れます。ご注意ください)

Fビレッジで協業するパナソニックの担当分野は、大きく3つあります。

1つはFビレッジの街灯や施設内など、ほとんどの照明設備を設置すること。特にエスコンフィールドの競技用照明として、2kWのLED投光器を226台、1kWのLED投光器を128台導入します。

  • 2kWのLED投光器(左)と、1kWのLED投光器(右)

  • LED投光器の背面

もう1つは、映像送出機器やカメラ、中継用端子盤といった送出システムの提供です。照明、映像、音響などを連動させ、運営側が管制室から容易に制御できます。

LED照明は、従来のHIDランプより省エネなうえ、個別の点灯や消灯も可能。また、HIDランプでは点灯開始から全灯まで15秒程度かかっていたものが、LED照明は瞬時に全灯します。この特徴を活用して、光の明滅や動きをコントロールしてフィールド上を光が音に合わせて駆け巡るといった、コンサートホール照明のようなきめ細かな総合演出を実現しています。

【動画】フィールド上の照明演出のイメージ(1分過ぎから音が入ります)

3つめは、場内のコンコースやチームエリア、VIPエリアなどに設置される約600台のサイネージです。CATV技術を活用し、高画質な映像のエンコード、配信、表示を低遅延で提供することによって、観客席の外にいても試合の臨場感を共有できる仕組みです。

シミュレーションを駆使して選手のまぶしさを抑える

今回の会場では、エスコンフィールドに導入したLED投光器と同じモデルが展示され、会場の明かりをすべて消してLED投光器のみ点灯するデモがありました。1kWも2kWも色温度は昼白色(5,600K)で、間近で点灯すると直視していられないほどの明るさです。

  • 1kWのLED投光器を点灯

  • 2kWのLED投光器を点灯

このLED投光器は、2021年8月に発売したモデル。色の再現性を表す平均演色性評価数がRa90にまで高められており、ユニフォームや芝生の色が鮮やかに見え、見る人の感動を呼び起こす明かりになっています。

また、ナイターでは並んで点灯する照明が光の塊となって、選手がまぶしく見えることもあります。エスコンフィールドでは、LED投光器を個別に、角度を付けて設置することで、照射方向を分散。点灯時に光の塊ができず、まぶしく感じにくくなっています。

  • ボールを追いかける選手が照明でまぶしくならないように配慮

スーパースロー撮影時のちらつきを抑える対策や、落雷や地震といった自然災害への耐久性なども追求しています。

LED投光器の設置角度を決めるに当たっては、入念なシミュレーションによる検証が繰り返されました。スポーツVR技術を用いた事前検証も行い、東京の汐留オフィスにあるパナソニックのVR等身大立体投影装置「汐留サイバードーム」も使用したそうです。

  • エスコンフィールド内ホームベース側照明のシミュレーションの様子。白い線が照明の光のイメージ

  • CGやVR技術により、フィールド内のどこにどのような照明が当たるか、見え方を検証しました

「エスコンフィールドは開閉式天井を採用し、開いているときと閉じているときで光の反射が変わってきます。照明装置はフィールドはもちろん、左右の大型ビジョンにもジャマにならない場所に設置する必要があり、場所的な制限が多くありました。

そこでシミュレーションを重ねて、最終的には6つの列で配置。一部はプレイフィールドの真上にかかっています。打球がフライになったときなど、選手や観客がボールを見上げてまぶしくならないよう、LED投光器のひとつひとつの角度を調整するのは大変な作業でした」(パナソニック エレクトリックワークス 稲継哲章氏)

稲継氏はまた、球場を中心とする街づくりの灯りを作っていきたいとも述べています。

  • パナソニック エレクトリックワークス 副社長 マーケティング本部 本部長 稲継哲章氏

パナソニックの製品が体験できる特設ラウンジ

エスコンフィールドの三塁側ダグアウトクラブにて、パナソニックはネーミングライツ(命名権)を取得。「Panasonic CLUB LOUNGE」と名付けました。ダグアウトはベンチの至近距離にあり、選手と同じ目線の観戦スペースは臨場感たっぷり。その奥にあるラウンジでは、上質な食事を楽しみながら試合観戦が楽しめるスペースになっています。

  • Panasonic CLUB LOUNGEのイメージ

ラウンジにはパナソニック製品の体験スペースも用意。スチーマーやマッサージチェア、空間除菌脱臭機ジアイーノ、スポットライト型プロジェクターやスピーカー、コンセントや温水洗浄便座といった約10製品を展示します。

  • Panasonic CLUB LOUNGEのパナソニック製品体験スペース(イメージ)

マッサージチェアで全身を揉みほぐしながらのんびり野球観戦というのは、試合が白熱してきたときに心がいまひとつ盛り上がらないかもしれません。しかし、応援するチームが優勢なときには、身も心も極楽気分になれそうです。

  • ファイターズの前沢賢氏(左)、パナソニックEW社の稲継哲章氏