Teslaが同社のEV(電気自動車)の車内エンターテインメントにValveのゲーム配信プラットフォーム「Steam」を組み込むプロジェクトを進めている。8月にもデモを披露する計画をCEOのイーロン・マスク氏が公表した。

これはシリコンバレーのTeslaオーナークラブの「Teslaはゲーム機だと知っていましたか? うちの子供達はTeslaで遊べる素晴らしいゲームに夢中です。Teslaは時間の経過とともに車輪がついた携帯電話として進化しています」というツィートに、マスク氏が「私達はSteam統合を進めています。来月にはデモを披露できそうです」とリプライして明らかになった。

Teslaは、ソフトウェアバージョン10.0アップデートで「Tesla Arcade」というインフォテインメントサービスでゲームをプレイできるオプションを追加。アクションゲーム「Cuphead」や初代「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を遊べる。そして昨年、新しいModel SとModel XにAMD Ryzenの組み込み型APUとRDNA-2ベースのGPUを採用。マスク氏はそのゲーミング性能を「PlayStation 5レベル」とアピールし、昨年6月に「Cyberpunk 2077」を60fpsでプレイするデモを披露した。スマートフォンやタブレットがPCに迫る性能を備える中、"走るスマートフォン"と呼ばれるTeslaの車内エンターテインメントもPCの領域に広がろうとしている。

SteamはPCゲームやPCソフトウェアをオンライン配信しており、ユーザーはSteamアプリでゲームを購入、PCにインストールしてプレイする。ゲームのアップデートやライブラリの管理は自動化されており、新しいPCを導入した際などSteamアプリを通じて簡単にゲームプレイ環境を整えられる。TeslaのSteam統合でハイエンドタイトルやクラウド連携の利用が実現するかは不明だが、PCでのSteamの体験を車でも利用できるようになるなら、PCゲーマーにとって車がよりパーソナルに楽しめる空間になる。

米国でTeslaは車内ゲーミングを駐車中のみに制限している。一時制限を緩和したが、それが米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の調査対象になり、再び走行中にゲーム機能がロックされるように変更した。Steamのゲームも駐車中のみに制限される可能性が高い。それでも大きな可能性が指摘されている。給油に比べてEVは充電に時間がかかる。充電スタンドにフードコートを併設するなど充電を待つ時間を楽しめる時間に変えることの可能性が注目されており、ゲームもその1つに数えられている。