• NECパーソナルコンピュータから登場したゲーミングPC「LAVIE GX」。ミニタワー的な風貌だ

NECパーソナルコンピュータ(以下、NEC PC)は7月5日、タワー型PC「LAVIE GX」を発表した。LAVIE GX発表会では、LAVIE GXの開発背景からコンセプト、システムの構成に関してNEC PCから説明があった。

ゲーム利用“も”目的としたタワーPC

NECパーソナルコンピュータ執行役員の河島良輔氏は、LAVIE GXの先駆として2019年に打ち出していたゲーミングPCブランディング構想「Project 炎神」(Engine)を紹介した。Project炎神はPCゲーム人口のすそ野拡大、使いやすいゲーミングPCの提供、PC本体だけでなく、周辺機器やゲームなど全体の発展を支援など、ゲーミングデバイスとしてPC利用を促進する環境整備と提供を目的としていた。

  • PC-98版ゲーム対応を期待させるプロジェクター投影で発表会がスタート

  • NECパーソナルコンピュータ執行役員の河島良輔氏

  • プロジェクト炎神は2019年のPC-8001誕生40周年記念発表会で公表。内容は当時「近日発表」とされていた

このプロジェクトではコンセプトモデルとして、ゲーミングPC試作1号機となる「LAVIE MINI」を公開。LAVIE MINIは2-in-1 PCにスタンドモジュールやコントローラモジュールを用意してPCゲームをいつでもどこでも遊べることを目的としたゲーミングPCとして訴求していた。

  • CES 2021で公開された試作一号機のLAVIE MINI

プロジェクト炎神の流れを組んで登場したLAVIE GXはモバイルPCではなくなったものの、日本におけるPCゲーム文化を大きく拡大したブランドとの一つといえる「PC-9800」シリーズ登場40周年にあたるこの機会に、ゲーム利用“も”主要な目的の1つとしたラインアップとして開発された。

元PCゲーマー、そしてPCゲームに関心のあるZ世代を狙う

LAVIE GXの詳細についてはNECパーソナルコンピュータ プロジェクト炎神総合プロデューサーの森部浩至氏が紹介した。

ゲーミングPCとしてのLAVIE GXが想定しているユーザーは「これからPCゲームを始めたいエントリーPCゲーマー」で、具体的には、PC-98時代の“レトロ”なゲームをプレイしてきた「元ゲーマー」。加えて、ゲーム実況コンテンツを通してPCゲームに関心を寄せ始めた「Z世代」を挙げている。

  • NECパーソナルコンピュータプロジェクト炎神総合プロデューサーの森部浩至氏

森部氏によると、このようなエントリーPCゲーマーたちは、家庭用ゲーム機と比べてPCゲームとなると選択肢が一気に増えることから「何を買っていいか分からない」「どのゲームを遊べばいいか分からない」と悩む一方で「高額なので失敗したくない」となかなか手を出すことができないでいる実態が分かったという。

LAVIE GXはこの悩みを解決するために登場したと森部氏は訴える。そのコンセプトは「家庭用ゲーム機のように買ってすぐに遊べるゲーミングPC」だ。「本体のハードウェアだけでなく、オプション、ゲームコンテンツ、さらにサービス、こちらをオールインワンのパッケージした形で、買ってすぐに遊べる環境を提供する」(森部氏)

LAVIE GXが持つ5つの特徴とは?

そのLAVIE GXの特徴として最初に掲げたのが「リビングにも置けるシックなデザイン」だ。

多くのゲーミングPCのような七色に光り輝く装飾ではなく、モダンなボディデザインでまとめている。フロントパネルには日本の伝統文様である「五崩し」パターンをあしらい、アクセントとして縦に白色LEDを組み込んだ。リビングにも配置できるデザインとすることで、購入するときに家族の同意を得られやすいことも想定しているという。「かなりシックで大人なデザインになっている」(森部氏)

  • フロントパネルに施された五崩しのパターンと縦一文字に並べた白色LEDで和テイストを演出するという。「ゲーミングPCは家族に反対されるがリビングPCなら反対されない」(森部氏)※写真は冒頭のものと同じ

  • リビングにおいても違和感のないデザインを目指した。ただし、リビングに高性能PCを置くために必須となる静音性について河島氏は現時点で「特に訴求は考えていない」とコメントしている

第2の特徴として挙げたのが「PCゲームを安心して始められる快適スペック」だ。CPUにはインテルの第12世代を採用し、グラフィックスカードに載せるGPUには上位構成でNVIDIAのGeForce RTX 3060を、下位構成ではAMDのRadeon RX 6400をそれぞれ採用している。

第3の特徴は「オールインパッケージ」。PCでも家庭用ゲーム機と同じような操作環境を提供するため、キーボードとマウスだけでなく標準付属デバイスとしてXboxワイヤレスコントローラーを優先接続のためのUSB-Cケーブルと共に用意した。「エントリーゲームユーザーは家庭用ゲーム機で育ってきている。だから基本的にはPCでもコントローラーでゲームをしましょう」(森部氏)

加えて、ゲームコンテンツについても日本マイクロソフトの協力を得て「Xbox Game Pass Ultimate」の3カ月無償利用権を付けている。また、最近のゲーム環境では必須となりつつあるボイスチャット利用も踏まえ、ヘッドセットを標準付属とした。

第4の特徴が新たに登場する「LAVIE ゲーミングサポート」だ。ゲーミング専用窓口を用意して購入1年後まで24時間365日、ハードウェアの設定やゲームにおける環境設定などゲーム利用に関するサポート(ただしゲームの攻略に関するサポートは除く)を提供する。

第5の特徴として紹介されたのが、LAVIE独自に用意したリモートプレイアプリ「つながる!LAVIE」。このアプリでは他のPCにLAVIE GXの画像を転送することで自宅の好きな場所でゲームを楽しめる。なお、ゲームの操作に関してはLAVIE GXに接続したワイヤレスデバイスを使用する。

「Project EGG」のレトロゲームが遊べる! モンハンライズコラボも

森部氏からは発売を記念したコラボ企画についても紹介があった。

その1つがモンスターハンターライズ プレゼント企画で、7月5日から8月28日のキャンペーン期間中にLAVIE GXを購入したユーザー先着500名にモンスターハンターライズ デラックスエディションをプレゼントする。

もう1つはPC-9800シリーズ40周年記念コラボの第一弾として実施する「Project EGG」との連携企画。2022年7月5日から10月31日までのキャンペーン期間にLAVIE GXを購入して「プロジェクトEGG」に加入すると、プロジェクトEGGで利用できる3,000円相当のポイントがもらえるほか、無料で160タイトルがプレイ可能になる。

説明会では、LAVIE GXの製品化に協力した日本マイクロソフト、インテル、カプコン、そして、プロジェクトEGGを推進するD4エンタープライズからも“ゲーミングPC”としての特徴が紹介された。

日本マイクロソフトコンシューマー事業本部Xbox戦略本部本部長の及部高宏氏は、MicrosoftによるPCゲーム環境について述べた。Microsoftでは、Gaming for everyoneを掲げて“いつでどこでもだれとでも好きなゲームを楽しめる”環境の提供を目指し、そのためのハードウェアとしてXboxシリーズを提供している。Xboxコントローラーが標準で付属し、Xbox Game Pass Uitimate3カ月分が利用できるLAVIE GXシリーズに対して及部氏はPCゲームの間口を広げるコンセプトを訴求した。

  • 日本マイクロソフトコンシューマー事業本部Xbox戦略本部本部長の及部高宏氏

インテル第二技術本部部長で工学博士の安生健一朗氏は、第12世代Coreプロセッサーファミリーの特徴を紹介。その中で安生氏は、インテルとしては初めて導入した処理能力重視コアと省電力重視コアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを訴求するとともに、インテルとしても現在注力している高画質を必要とする高度なPCゲーム利用おいても最適なCPUだと訴えた。そして、このCPUを搭載したLAVIE GXについても、PCゲームユーザーのすそ野を広げたいインテルのPC事業の狙いと一致していると述べている。

  • インテル第二技術本部部長の安生健一朗工学博士

カプコンCS第二開発統括編成部運営室でモンスターハンターライズ/モンスターハンターライズ:サンブレイクプロデューサーの砂野元気氏は、LAVIE GXとのコラボレーション企画と合わせてPCゲームへの取り組みやモンスターハンターライズにおけるその他の連動企画を紹介した。

カプコンでは237か国で300タイトル以上のPCゲームをリリースしており、現在PCゲーム市場での売り上げは全体の3割を占める。その販売促進のために動作確認済みPCと連動した購入キャンペーンを実施している他、モンスターハンターライズではStream版ゲームソフトダウンロードカードの販売も開始している。

  • カプコンCS第二開発統括編成部運営室の砂野元気氏

D4エンタープライズ代表取締役の鈴木直人氏からは、Project EGGについて説明があった。Project EGGは1980年代以降に登場したゲーム作品を、ハードウェア・ソフトウェア双方の権利保持者から認められたエミュレーター技術を用いて、最新のプラットフォームでも動作可能とすることで、ゲーム文化の継承を目指している。既に20年にわたって配信事業を続けており、配信タイトル数は900本を超えていることが紹介された。

  • D4エンタープライズ代表取締役の鈴木直人氏

動く「PC-9801」がお目見え

発表会会場ではLAVIE GXの展示と合わせて、情報処理技術遺産に認定されたPC-9801初号機、そして、PC-9801シリーズを代表するモデルの1つといえるPC-9801VMの動態機材も展示されていた。

  • 全てはここから始まった、PC-9801無印。フロントラインのデザインはその後脈々と受け継がれていく

  • Project EGGで提供されているPC-98用ゲームが動いているLAVIE GX

  • 筐体内部も公開していた

  • 背面はある意味昔懐かしミニタワーPC然

  • マザーボードのメモリスロットは2基分だけ。DIMM1とDIMM3はパターンのみ

  • LAVIE GXの電源ユニット。供給は12V系のみ

  • 店頭モデルの仕様。店頭モデルの予想価格は上位モデル「GX750/EAB」が302,280円前後、ベースモデル「GX550/EA」が219,780円前後。ややお高めな印象ではあるが、リビングに置けるデザインかつ性能を考えるとゲーム以外にも役立つ場面は多そうだ

  • Webモデルの仕様。店頭モデルのスペック以上にも以下にも構成をカスタムできる