ソニーは、新ブランド「INZONE」(インゾーン)を立ち上げ、ゲーミング機器市場に本格参入。ゲーミングヘッドセット3機種を7月8日に発売する。価格はすべてオープンプライス。店頭価格は、ノイズキャンセリング(NC)機能を搭載したワイヤレス機「H9」が36,000円前後。

  • INZONE H9

H9からNC機能を省いたワイヤレス機「H7」は29,000円前後。NC非搭載の有線モデル「H3」が12,000円前後。いずれもボイスチャット用の可動式ブームマイク(着脱不可)を備えている。

  • INZONE H7

  • INZONE H3

多数のオーディオリスニング向けヘッドホンを手がけるソニーだが、特にFPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲーム向けのヘッドセットにおいては、一般的な音楽用ヘッドホンとは異なるニーズがある。具体的には、敵の位置を正確に察知するための音の定位感や明瞭度が求められるほか、低遅延な2.4GHzでの無線接続、ボイスチャット用マイクによる通話機能、PCソフトで音質をゲームタイトルごとにカスタマイズする機能などが必要とされる。

INZONEのゲーミングヘッドセットでは、これらのニーズを満たしつつ、これまで音楽用ヘッドホンで培った立体音響技術や装着快適性、NC機能を投入して開発しており、中でもゲーム向けに最適化した“360立体音響”技術「360 Spatial Sound for Gaming」によって、プレイヤーを没入と勝利に導くことを目指しているのが大きな特徴だ。

  • H9を装着したところ

  • H3を装着したところ

PCと接続した場合は、通常2chに圧縮してワイヤレス伝送される音声信号を、PC用ソフト「INZONE Hub」を使って立体音響バーチャライザーで処理し、7.1chの立体的なサウンドで再現。さらに、ソニーのオーディオ用ヘッドホンで採用している、独自の個人最適化技術をINZONEゲーミングヘッドセットにも応用している。

  • PC用ソフト「INZONE Hub」の画面イメージ

立体音響の個人最適化とは、具体的には「360 Spatial Sound Personalizer」アプリで撮影したユーザーの耳の形状から個人の聴感特性を解析し、頭や耳の形の違いから生まれる「音の聞こえ方の個人差」を補正するもの。これをINZONE Hubと連携させることで、自分に合わせたバーチャルサラウンド再生が行えるようになる。

なお同アプリは、BRAVIA XRにつないで立体音響が楽しめるネックバンドスピーカー「SRS-NS7」で使っているものと同じで、ソニーの360 Reality Audioで耳画像を登録したアカウントを既に持っている人はそのまま引き継げるとのこと(2022年3月以前に撮った耳画像の場合は再撮影が必要)。

  • 360 Spatial Sound Personalizerアプリの利用イメージ

H9のみの特徴として、音楽用ヘッドホンの1000Xシリーズで実績のあるデュアルノイズセンサーテクノロジーによるノイズキャンセリング機能と、アンビエントサウンドモード(外音取り込み)機能を搭載。PCのファンの音など、屋内ノイズを低減することで没入感を高める。

いずれも密閉型で、40mm径ダイナミックドライバーを搭載。H9とH7では音楽用ヘッドホンで実績のある形状の振動板を採用して、高い高域再生能力とハイコンプライアンス化を追求。低域から高域まで、ゲーム内の音を余すことなく再生できるという。

  • 40mm径ダイナミックドライバーを搭載

3機種ともハウジング上にダクトを設け、低域を最適にコントロール。また、左右のハウジング内部の音響構造を左右対称にすることで、聴こえてくる音の定位を高める工夫もこらした。

  • H9のハウジング上のダクト

3機種の主な違いは、PCやゲーム機器との接続方式やNC機能の有無、イヤーパッドの素材、デザインなど。

  • INZONE H9(WH-G900N)

  • INZONE H7(WH-G700)

  • INZONE H3(MDR-G300)

H9とH7には、USBドングルタイプの送信機が付属し、低遅延な2.4GHz無線接続が可能。送信機はPCだけでなくPS5でも使え、送信機の側面にあるスライドスイッチで接続機器を切り替えられる。さらにBluetooth接続にも対応しており、2.4GHzとの同時接続に対応。PCのゲームサウンドを2.4GHz無線接続で受けながら、スマートフォンでボイスチャットすることも可能だ。対応コーデックはSBCとAAC。H3のケーブルの長さは約1.2mで、入力は金メッキの4極ミニ。なお、H9とH7は有線接続には対応していない。

  • H9/H7の送信機

  • 側面にPCとPS5の動作モード切り替えスライドスイッチがある

さらに、PS5と組み合わせて使うときのための「Perfect for PlayStation 5」をサポート(H9とH7のみ)。PS5のゲーム画面上に、ヘッドセットの音量やバッテリー残量、マイクミュートのステータスを表示できる。また、ゲームとボイスチャットの音量バランスを調整する機能も利用可能だ。PS5独自の立体音響技術「Tempest 3Dオーディオ」にも対応する。

  • PS5の画面に、ヘッドセットの音量やバッテリー残量、マイクミュートのステータスを表示(H9とH7のみ対応)

長時間プレイをサポートするヘッドセットデザインを採用。イヤーパッドの素材は、H9はWH-1000XM5でも使っているソフトフィットレザーイヤーパッド(合成皮革)で、H7とH3はさらさらした肌触りのナイロン素材となる。側圧を抑えて快適性を高めつつ、安定性とのバランスを確保。また、幅広で柔らかく厚みがあるヘッドクッションにより、頭部にかかる重量負担を分散する。

  • INZONE H9を平らに折りたたんだところ

  • INZONE H9の本体下部に各種操作ボタンやUSB-C充電端子を装備。右ハウジングにはボリュームダイヤルを備える

  • INZONE H7のハウジングにはマイク穴がない

デザイン面ではH9のみ、ハウジングにLEDリングを搭載しており、2.4GHz接続時は白色に、Bluetooth接続時は青色に光る。

バッテリー駆動時間は、H9が最大32時間(NC OFF時)、H7は最大40時間。重さはH9が約330g、H7が約325g、H3が約299g。

  • H9のハウジングにはLEDリングがある。2.4GHz接続時は白色に発光

  • Bluetooth接続時は青色に光る