Xiaomiのスマホブランド「POCO」は、フラッグシップスマホ「POCO F4 GT」の販売を6月23日より開始する。SoCはQualcommハイエンドの「Snapdragon 8 Gen 1」(オクタコア、最大3GHz)を搭載。メモリー(RAM)とストレージ(ROM)の容量が異なる2モデルが用意され、8GB+128GBの下位モデルが楽天市場とMI.comで74,800円、12GB+256GBの上位モデルがAmazonで84,800円で販売される。また、6月23日19時~6月26日23時59分に数量限定で、下位モデルは1万円引きの64,800円、上位モデルは5,000円引きの79,800円で販売される。
本製品はフラッグシップスマホにふさわしいリフレッシュレート120Hzの有機ELディスプレイに加え、側面にポップアップトリガーを搭載し、ゲーム機能も強化されている。今回POCOより製品版を借用したので、実機レビューをお届けしよう。
6.67インチ有機ELディスプレイは出荷時に調整を実施
POCO F4 GTはOSに「MIUI13」(Android12ベース)、SoCに「Snapdragon 8 Gen 1」(オクタコア、最大3GHz)を採用。メモリーは8GB/12GB(LPDDR5)、ストレージは128GB/256GB(UFS 3.1)を搭載している。
ディスプレイは6.67インチ有機EL(2400×1080ドット、10bitカラー、リフレッシュレート最大120Hz、サンプリングレート最大480Hz)を搭載。ディスプレイは出荷時に調整が施されており、色差はDelta E≒0.30、絶対色精度はJNCD≒0.18と謳われている。
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ディスプレイはゲームのしやすさを考慮してかフラット。強化ガラスは「Corning Gorilla Glass Victus」を採用している
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YouTubeとNetflixアプリでHDRコンテンツを再生できることを確認できた
カメラは、メイン(6,400万画素、F1.9、1/1.73型、1.6μm、Sony IMX686)、超広角(800万画素、F2.2、FOV120度)、マクロ(200万画素、F2.4、FF 4cm)、フロント(2,000万画素、F2.2)を搭載。マクロカメラと超広角カメラの間には画面をキャプチャーする際にちらつきをなくすフリッカーセンサーが内蔵されている。
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本体背面
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左からメイン(6,400万画素、F1.9、1/1.73型、1.6μm、Sony IMX686)、超広角(800万画素、F2.2、FOV120度)、マクロ(200万画素、F2.4、FF 4cm)
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カメラ周囲にはくさび形のLEDを内蔵。メッセージと通話の通知、バッテリーの充電状態、ゲームターボモードに連動して点灯する
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カラーはステルスブラック、ナイトシルバー、サイバーイエローの3色を用意
通信機能は5G、Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.2、NFCに対応。状況に応じてモバイルデータ接続とWi-Fi接続を切り替えて、通信速度と安定性を維持する「Multi-Link 5.0」機能が搭載されている。
本体サイズは162.5×76.7×8.5mm、重量は210g。防水防塵性能はIPX3/IP5X。4,700mAh(2,350mAh×2)のバッテリーを内蔵しており、急速充電器「120W HyperCharge」により17分でフル充電できると謳われている。なおゲームプレイを邪魔しないように、「L字型充電ケーブル」が同梱されている。
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上面にはマイク×1、スピーカー(ツイーター×1、ウーファー×1)、下面にはスピーカー(ツイーター×1、ウーファー×1)、USB Type-C×1、マイク×1を用意
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右側面にはポップアップトリガー×2、トグルスイッチ×2、指紋認証センサー一体型電源ボタン×1、左側面にはマイク×1、ボリュームボタン×1、SIMカードトレイ×1を配置
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カードトレイはnanoSIMカード×2のデュアル仕様。eSIMには対応しない
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実測重量は213.5g
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パッケージには、POCO F4 GT本体、クリアソフトケース、急速充電器「120W HyperCharge」、L字型充電ケーブル、SIM取り出しツール、Type-C to 3.5mmイヤホンアダプタ、クイックスタートガイド、保証に関するお知らせ……が同梱
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急速充電器「120W HyperCharge」の型番は「MDY-13-RG」。仕様は入力100-240V~1.7A、通常出力5V 3A、高速出力3.6-20V 3-6A(最大120W)
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「L字型充電ケーブル」はゲームプレイの邪魔にならない
「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは976,917
QualcommのハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen1」を搭載したPOCO F4 GTはどのぐらいのパフォーマンスを備えているのだろうか? 今回定番ベンチマーク3本を実施したところ、「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは976,917、「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは3,574、「3DMark」のWild Life Extremeは2,590となった。
記事執筆時点(6月21日)のAnTuTu Benchmarkのトップが「RedMagic 7」で総合スコアは1,042,141。POCO F4 GTのスコアはその約94%ということになる。トップにはわずかに及ばなかったが、最新3Dゲームを高画質設定でも快適に動作させるパフォーマンスを備えていることは間違いない。
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ベンチマークは「設定→バッテリーとパフォーマンス」で「パフォーマンスモード」を有効にして、それぞれ3回実施。最も高かったスコアを採用している
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「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは976,917、「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは3,574、「3DMark」のWild Life Extremeは2,590
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「AnTuTu Benchmark」実行中の背面の最大温度は39.3℃(室温25.3℃で測定)
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「POCO F4 GT」はピークパワーを維持するために「LiquidCool Technology 3.0」を導入。SoCとCharging ICを離してヒートスポットを分散、それぞれのヒートスポットを冷却するための4,860平方mmのデュアルペイバーチャンバーの搭載、多層冷却ソリューションの採用などの施策が盛り込まれている
なお、ベンチマーク番外編として、ノートPC用冷却台に乗せたまま「AnTuTu Benchmark」を実行したところ、総合スコアは995,774を記録した。大台は超えなかったもののスコアが大幅に伸びている。背面にスマホ用冷却ファンを取り付ければ、ピークパワーの長時間維持を期待できそうだ。
メインカメラの画質は他メーカーのフラッグシップと同等
Xiaomiのスマホブランド「POCO」の端末だけに、カメラ性能はXiaomi譲り。強い色が含まれていても色が転ぶことはなく、夜景モードでは強い光源の白飛びを抑えつつ明るく撮影できている。デジタルズームの解像感は望遠カメラを搭載しているフラッグシップスマホには見劣りするが、6,400万画素のイメージセンサーを搭載しているおかげで、10倍デジタルズームでも16インチサイズへの表示ぐらいであれば鑑賞に堪える解像感が保たれる。
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超広角カメラで撮影(0.6倍) イメージ情報:3,264×2,448ドット、シャッタースピード:1/847、F値:f/2.2、ISO感度:56、測光方式:Center weight
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メインカメラで撮影(1倍) イメージ情報:4,624×3,472ドット、シャッタースピード:1/1464、F値:f/1.9、ISO感度:50、測光方式:Center weight
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メインカメラで撮影(2倍) イメージ情報:4,624×3,472ドット、シャッタースピード:1/1486、F値:f/1.9、ISO感度:50、露出モード:Program(auto)、測光方式:Center weight
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メインカメラで撮影(10倍) イメージ情報:4,624×3,472ドット、シャッタースピード:1/1442、F値:f/1.9、ISO感度:50、露出モード:Program(auto)、測光方式:Center weight
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メインカメラで撮影(1倍) イメージ情報:4,624×3,472ドット、シャッタースピード:1/132、F値:f/1.9、ISO感度:50、測光方式:Center weight
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メインカメラで撮影(1倍、夜景モード) イメージ情報:4,624×3,472ドット、シャッタースピード:1/13、F値:f/1.9、ISO感度:504、露出モード:Program(auto)、測光方式:Center weight
ゲーミングスマホとしての機能はシンプル
他メーカーではモーションに機能を割り当てられるゲーミングスマホもあるが、POCO F4 GTが登録できるのは左右ポップアップトリガーのみ。また、ポップアップトリガーを押したときに画面上のボタンをワンタップする「操作」、ポップアップトリガーを押したときと離したときに画面上の異なるボタンをワンタップできる「連続」の2種類のアクションしか登録できず、長押しなどの操作には割り当てられない。
とは言え、元々スマホ用に作られているゲームは画面上のボタンのみで操作できるように設計されている。利用頻度の高いコマンドを左右ポップアップトリガーに割り当てるだけでも、勝率は着実に向上するはずだ。
一方、ソフトウェアアップデートで改善してほしいのがゲーム以外での機能。ポップアップトリガーの2回押しと長押しに、カメラ、ビデオ録画、画面録画、録音、懐中電灯、サイレントモード、バイブレーションなどを割り当てられるが、カメラ、ビデオ録画、画面録画、録音ではアプリを起動できるだけで、続けて押しても記録がスタートしない。チャンスを逃さないように、即座に記録が始まるように仕様を変更してほしい。
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すべてのゲームが自動的にユーティリティー「ゲームターボ」に登録されるわけではない。「NEW STATE Mobile」は自分で登録する必要があった
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トグルスイッチをスライドさせるとポップアップトリガーが飛び出してくる
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左上の白いバーを内側にスワイプするとアイコンが並ぶサイドバーが表示される。ゲームが「ゲームターボ」に登録されていれば、同時に「ゲームターボ」のフローティングメニューも表示される
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前の画面で「ポップアップトリガー」をタップすると、この画面が表示される
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ポップアップトリガーには、プッシュした際に指定した場所をワンタップする「操作」、押したときと離したときに異なる2ヵ所をタップする「連続」のいずれかを割り当てられる
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「NEW STATE Mobile」で左ポップアップトリガーに「照準」、右ポップアップトリガーに「攻撃」を割り当ててみた。直感的に素早く操作が可能だ
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カメラ、ビデオ録画、画面録画、録音アプリの起動、懐中電灯、サイレントモード、バイブレーションのオンオフをポップアップトリガーに割り当てられる。当然ゲームの時は本機能は無効となる
通常価格でも85,000円を切る「POCO F4 GT」は圧倒的な高コスパスマホ
ゲーミングスマホとしての機能はやや物足りないものの、処理性能、ディスプレイの画質と滑らかさ、カメラのクオリティーなどは、他メーカーのフラッグシップスマホと比べて遜色ない。フラッグシップスマホが15~20万円と価格が上昇し続けているなか、上位モデルの通常価格でも85,000円を切る「POCO F4 GT」は、圧倒的な高コスパスマホと言えよう。