カシオの耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」に関して、「時計品質保証実験室見学ツアー」が開催された。耐衝撃性能や20気圧防水など、G-SHOCKとしての性能が守られているかを確認する試験環境を、目の前で見学できるツアーだ。これはファン垂涎! 会場は、さまざまな製品・技術開発が行われているカシオの頭脳「羽村技術センター」。このイベントに我々取材班(といっても私ひとり!)が同行、そのレポートをお届けする。

見学の前からからサービス満点!

今回の時計品質保証実験室見学ツアーには、キャンペーンの応募者から抽選で選ばれた(午前の部+午後の部)計約40名が参加。私は午前の部に同行した。平日にも関わらず、年齢性別問わず幅広い層のファンが参加していたことに驚く。カシオによれば、このような社内見学イベントはG-SHOCKで初めてとのこと。

  • セミナールームでG-SHOCKについて説明を受ける

ツアーの流れは、まずセミナールームでG-SHOCKの概要や本日の見学内容と順路、注意などについて説明を受けたのち、品質保証実験室の見学へと向かう。

そしてプログラムがスタート。セミナールームでは、G-SHOCKの商品企画を手がけて一筋、30年以上の経歴を持つレジェンドの井崎達也氏が登場。G-SHOCKのダイバーズモデルであり、最初のMASTER OF Gである「DW-6300」初期型フロッグマンのフェイスに「FROGMAN」の表記がない理由や、裏ぶたに「FROGMAN」の刻印があるモデルとないモデルが存在する理由など、書籍やWebではあまり触れられないエピソードも特別に紹介された。

  • G-SHOCK商品企画のエキスパート、井崎達也氏

ちなみに、初期型フロッグマンのフェイスに「FROGMAN」の表記がない理由は、生産までに商標が取れるかどうか判らずデザインされなかったから。また、裏ぶたに「FROGMAN」の刻印があるのは日本仕様、ないのは米国仕様で、結果的にFROGMANの商標を日本国内でのみ取得できたことから、日本仕様の裏ぶただけに刻印が存在することになったという。

  • 「DW-6300」初期型フロッグマン(写真は「DW-6300-1A」)

と、そんなサービス満点のトークのおかげで、参加者の興味、期待、テンションすべて10点満点の、まさにトリプル10(※)状態。さぁ、いよいよ本題の「時計品質保証実験室」に出発だ!

※「トリプル10(テン)」は、G-SHOCK開発初期段階での目標。高さ10mからの落下に耐える耐衝撃、10気圧防水、電池寿命10年を指す。

この衝撃、この電圧こそ実験室よ! タフな時計とは、こういうことだッ!

実験室では、落下試験、ハンマーによる打撃試験、防水性能試験、泥流試験、高圧電流による静電気試験を実演。ただし「密の回避」と見やすさを考慮してチームを2つに分け、それぞれ別の順路(見学内容は同じ)で行った。

今回のツアーで見学した実験内容は、別記事『これぞタフネスの証明! G-SHOCKの品質試験を写真と動画で見てみよう!!』にて動画付きでご覧いただける。また、ツアーではスペースや時間の関係で実演できなかった「トリプルGレジスト」の試験なども紹介している。

  • カシオのオリジナルとなる落下試験機。この距離で体感できるのは貴重な経験だ

  • バネを利用した発射装置では、さまざまな高さをシミュレーションして落下試験を行っている

  • 静電気試験用の電子銃は1万ボルトの電撃を放つ。スタッフ「注意しないと感電しますね。少しずつ慣れますけど(笑)」

  • 静電気試験コーナーの床には、アースのための金属板が敷かれている。命がけ

ただし、上記記事には「泥流試験」がないので、こちらで紹介しておこう。文字通り泥が混じった水流に沈めるのみならず、その中でボタン押下を繰り返し、正常に動作するかを確認する。MUDMASTERや、RANGEMAN「GPR-B1000-1JR」のような防泥構造を持つモデルが試験対象だ。

  • 水流や泥流の中に時計を沈め、ボタンを操作する実験

【動画】泥流試験。土木工事現場で使う時計は、もはやG-SHOCK一択なのでは……(音声が流れます。ご注意ください)

これらの試験は、製品を量産する前のプロトタイプに対して実施するとのこと。試験を通じて、設計に問題がないか、規定通りの動作をするかを確認するのだ。一方、量産された製品は工場で試験を行う。工場での試験には、抜き取り試験や全数試験もあるそうだが、当然ながら製品の外装が傷付かない内容に限られる。

G-SHOCKはタフな時計。それは誰もが(フレーズとしては)知っている。が、その性能を担保するための過酷さまでは、なかなか想像できないものだ。

落下というより、床に叩きつけるように時計を発射する落下試験、金属のハンマーが勢いよく直撃する打撃試験、偽物を簡単に圧壊させるほどの気圧をかける防水試験など、実際に目にするそのインパクトは大きかったようだ。多くの参加者がスマホやカメラを構えて、試験の様子を熱心に写真とビデオに収めていた。

  • 派手な実験は動画撮影の人気も高い(納得!)

少々余談だが、別記事『【対決】G-SHOCK 本物 vs 偽物! 品質と性能差を比較・実証!』でも、防水性能(水没)試験や紫外線によるケースとバンドの品質変化といった試験の様子を、「G-SHOCK風の偽物との対決」というスタイルで紹介しているので、こちらもぜひご覧いただきたい。カシオの品質にかける思いをより実感できるはずだ。

ひと通りの見学を終えセミナールームに戻ろうとすると、廊下で参加者が立ち止まり、窓の外にスマホやカメラを向けて写真を撮っている。のぞき込んでみると、3階のトイレの窓から何かを落とそうとしている人がいて、皆その写真を撮っているのだ。

  • 渡り廊下で多くの人立ち止まり、窓の外を見ている

もしやあれが、G-SHOCKの生みの親である伊部菊雄氏が、G-SHOCKの構造試作(※)を落として実験したというトイレの窓なのか! そして、あの人(社員の方)は当時の伊部菊雄氏役を演じているのでは!?

もはや聖地巡礼である。なんてマニアックなツアー(というかサービス精神)なんだ……。

※中空の中にモジュールを点で支えるようにセットしたボール状の構造。当時を振り返り、伊部氏は「壊れない時計を作るという企画にOKをもらったものの、うまくいかず、会社を辞めようと思った」と語っている。公園のベンチで途方に暮れているとき、女の子がボール遊びをしているところを見て、初代から現在までのG-SHOCKで中核をなす「中空構造」をひらめいた。

  • ……????

  • あっ、あんなところに伊部菊雄氏(役の人)が! こんな会社で働きたい!

  • ちなみに伊部氏が落として実験したというのはこれ(写真はレプリカ)

そして、セミナールームに戻った我々をもうひとつのサプライズが待っていた。なんと、その伊部菊雄氏がスペシャルゲストとして登場したのだ。「ファンの皆さんに、ひとことお礼が言いたくて」(伊部氏)。予想外の大物ゲストの登場に、会場が大きく沸いた。

  • 本物の伊部菊雄氏が登場! 「どうぞ、これからもずっとG-SHOCKのファンでいてください」(伊部氏)

最後に、参加者ひとりひとりにお土産が渡された。中身は、G-SHOCK木製ウオッチスタンド、G-SHOCKロゴ入りスポーツタオル、G-SHOCKロゴステッカー、G-SHOCK実験室ツアー缶バッジ、ロゴ入りボールペンと、G-SHOCK尽くしだ。

  • G-SHOCKグッズの詰め合わせ。このお土産はうれしい!

参加された方々に、ツアーの感想を伺った(快くお答えいただき、ありがとうございました)。

インドネシア出身で日本在住12年のマイケルさんは、インドネシアに住んでいたころからのG-SHOCKファン。気圧・高度計、温度計を搭載した「GW-9200」RISEMAN(ライズマン)がお気に入りとのこと。

  • マイケルさんのたくましい腕にRISEMANがよく似合う!

マイケルさん:RISEMANは私にとって初めてのMASTER OF Gで、今も愛用しています。今日は製品のテストの話だけかなと思っていたら、開発のことや裏話まで聞けたのが非常に良かったです。

鈴木さんは、お母さんと一緒に親子で参加。

  • 親子そろってカシオウォッチを愛用されている鈴木さん

鈴木さん:ここまで激しい実験や耐久テストをしているのを実際に見て驚きました。とても勉強になりましたし、普段は見られないものを母に見せてあげられたのも良かった。あと、スタッフの皆さんが「(実験の様子が)見えますか?」「段差がありますよ」と母のことを気にかけてくださって、ありがたかったです。

いい話だなぁ。私は静電気にも弱いが、こういう話にはもっと弱い。

こうして、G-SHOCK初の見学イベント「時計品質保証実験室見学ツアー」は無事終了。G-SHOCKには時計としての技術だけでなく、その品質保証にもまた高度な技術がふんだんに投入されていることを体感できるイベントだった。

  • 参加された皆さん、カシオスタッフの皆さん、お疲れさまでした!