ビデオコミュニケーションサービスの「mmhmm」(ンーフー)は6月9日、ドコモ・システムズと法人サービス「mmhmm for Teams」の販売代理店契約を締結したと発表しました。企業と代理店契約を結ぶのは、今回が世界初としています。ビデオを録画で共有し、自由に視聴できる環境の普及を目指すmmhmmが、日本市場の開拓を狙います。

  • 写真は、mmhmm CEOのフィル・リービン氏。Evernoteの共同創業者でもある

業務プロセスの根本から変える

mmhmmは、ビデオ作成、視聴、オンライン会議などが1カ所で行えるプラットフォーム。Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなどの既存サービスと連携することも可能です。現在、13か国語に対応。Mac、Windows、iOS、Web向けに提供しています。月に5回まで、1回5人まで(40分まで)なら無料で利用可能です。

  • プランの比較表(左から、無料のmmhmm、月額1,167円のmmhmm Premium、月額1,750円/ アクティブユーザーのmmhmm for Teams)

メディア向けに開催された戦略発表会では、世界初の販売代理店となるドコモ・システムズから取締役の松木彰氏が登壇。「mmhmm for Teamsは“仕事はオフィスでするもの”という概念を根底から覆すツール。業務プロセスを根本から変えてしまうインパクトがあります」と話し、動画を簡単にかつ効果的に業務に活用できる点を称えます。同社では、6,000名規模の法人営業メンバーが、全国の企業に対してサービス導入を働きかけていく見込みです。

  • ドコモ・システムズ 取締役の松木彰氏。同社はmmhmmの日本市場におけるパートナーとして、企業・組織におけるビデオコミュニケーションの拡大を進める方針

また、mmhmmアジア太平洋地域ジェネラルマネージャの井上健氏は「私たちが推進する分散型の働き方、OOO(Out-of-office、オフィス外という意味)な世の中を日本でも促進し、ビデオの活用を拡大してもらえるよう、ドコモ・システムズと協業していきます」と述べました。

  • mmhmmアジア太平洋地域ジェネラルマネージャの井上健氏

mmhmm for Teamsでは、業務報告や提案ビデオをクラウドにアップロードし、チームのノウハウを共有する場所とすることが可能。また、ビデオにタグを付けてビデオのフィードを作成すれば、容易に検索・閲覧ができるようになります。このほか、社内で行われているビデオ通話を一覧できる、そこから会話に参加する、といった使い方にも対応。ドコモ・システムズを通じてmmhmm for Teamsのサブスクリプションを契約すれば、請求書による支払いが可能になるとのことでした。

  • 利用イメージ。Web会議中にシームレスに動画を共有し、意見を出し合うこともできます

ちなみに、mmhmmはAll Turtles(2017年設立)のグループ会社として2020年5月に創設され、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SoftBank Vision Fund)、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)などの支援を受けています。本社を置かず、社員も世界中に散らばって働いている完全分散型のグローバル企業です。

日本人は顔を見せるのが嫌? 導入目標は?

最後に質疑応答の時間が設けられ、フィル氏、松木氏が回答しました。

ビデオに映る自分の姿を嫌う日本人も多いが、という質問にフィル氏は「科学的にもさまざまな分析があると思いますが、やっぱり人間というものは、歴史的にも人の表情から読み取る情報量が非常に多い。顔の表情なくして、コミュニケーションがあるかどうか――。ただでさえ、オンライン会議は(直に会って話すより)難しい環境にあります。ビデオを非表示にしてしまうと、人間本来の持ってる能力を遮断して使わないことになる。そういった意味でも、まったく逆行するんじゃないかと思います」と持論を展開。

そして「SlackやEメールなどを使って、文字だけ、声だけでコミュニケーションしようとすると、誤解も生じます。ちょっとした冗談も、顔の表情がないと(文字だけでは)伝わりにくい。ビデオに出ることにシャイにならずに登場してもらえたら。絶えず24時間ということではないかもしれませんが、大事なところでは顔を見せながらコミュニケーションしてほしい。そういう文化が醸成されると良いな、と思っています」と話しました。

ドコモ・システムズとしては、日本企業にオンライン会議をより浸透させるなど、企業文化を変えていく必要もあるのではないか、という問いかけに松木氏は「企業カルチャーを変えていくというか、私は自然に変わると思っています。日本人って昔から、色んな良いものを取り入れて、必要なものを組み合わせてきた。“組み合わせの妙”みたいなところがありますよね」とし、次のように続けます。

「私は最近、ウェブ会議を素のままで使っていると、なんとなくインナーウェアだけ着て外を歩いているような気がするんですよ。背景がすべて映ってしまうから。相手によって、背景も変えなきゃいけない。でも、mmhmmが間に入ると、アウターをちゃんと着てるような気がして落ち着くんです。だから我々は最近、Web会議をやるときに、必ず先にmmhmmを立ち上げるようになりました。今では、間にmmhmmを入れないと気持ち悪い、というくらい。つまりmmhmmがワークフローのベースになってきたんですね。これと同じことが、一般企業でも行われるようになれば、と期待しています。ほとんどの日本企業に導入されるんじゃないか、と楽観的に考えています。あとは教育分野ですね。これこそ、まさにmmhmmのイチバン活躍できるところ。もう既に、いくつかの学校に提案を始めていますが、非常に反応が良いです。導入目標ですが、日本全国の学校に導入できるんじゃないか。そのくらいの勢いに感じています」と回答しました。