Appleの開発者向けカンファレンス「WWDC22」基調講演が、日本時間6月7日早朝にオンラインで配信されました。今回は、自社開発の「Apple M2」プロセッサと共に、M2搭載の新しいMacBook AirとMacBook Proの7月発売を発表し、大きな注目を集めています。

  • 自社開発「M2」プロセッサ搭載の新型「MacBook Air」

また、次期OS「iOS 16」、「iPadOS 16」、「macOS Ventura」、「watchOS 9」の新機能も披露しました。いずれも開発者向けプレビュー版を提供開始しており、2022年秋に対象デバイスへソフトウェアアップデートで提供する予定です。ここでは改めて、今回の基調講演の内容を振り返ります。

M2プロセッサ搭載のMacBook Air/Pro、7月発売

  • 新しい「M2」プロセッサ

自社開発プロセッサ「Apple Silicon」の第2世代となる「M2」を搭載したMacBook Airと、13型のMacBook Proが7月から発売されます。M2プロセッサは、M1と比べてCPU性能が18%高速になり、GPU性能は35%増強。40%高速になったNeural Engineも搭載しています。

新しいMacBook Airは、従来のMacBook Airとは異なるフォルムの新デザインを採用し、13.6型に大型化したLiquid Retinaディスプレイ、1080p FaceTime HDカメラ、4スピーカーサウンドシステムを搭載。内蔵バッテリーで最大18時間駆動します。充電端子には、過去のMacBook Airシリーズで使われていたMagSafeが“復活”しました。

メモリは8GBで、オプションで16GBと24GBも選べます。ストレージは256GB/512GBで、最大2TBまで増強可能。価格は164,800円から。シルバー、スペースグレイ、ミッドナイト、スターライトの4つの仕上げを用意しています。

  • 薄型デザインの新しいMacBook Air。シルバー、スペースグレイ、ミッドナイト、スターライトの4色展開

さらに、13型のMacBook ProにもM2プロセッサ搭載の新機種を投入。最大24GBのユニファイドメモリ、ProRes高速化、最大20時間のバッテリー駆動時間を実現しています。こちらも7月発売で、価格は178,800円から。

  • M2プロセッサ搭載の13型MacBook Pro

なお、AppleはWWDC22開催に合わせて、オンラインストアの一時クローズとメンテナンスを行っていました。編集部で確かめたところ、14型のMacBook Pro(2021年モデル)の価格は、従来の239,800円より35,000円高い274,800円に値上げされていることが分かりました。これ以外にも、現行Macの複数機種で値上げされたことが判明しています。

ロック画面や通知が新しい「iOS 16」。次期CarPlayも

  • iOS 16

iOS 16はロック画面の仕様が大きく変わり、自分好みの表示にパーソナライズできるのが大きな特徴。ほかにも、iCloud共有写真ライブラリを活用し、家族と写真のコレクションをシームレスに共有できるようになります。

iMessageでは、送信したメッセージの編集/取り消しに対応し、メール送信予約も可能になるなど、コミュニケーション機能を強化。また、ビデオからテキスト抽出できるようになり、画像から対象物(写真に写っている犬など)を抜き出してメッセージアプリで活用するといった使い方も可能にしています。

なお、米国ではウォレットの新機能「Apple Payで後払い」が使えるようになります。同社では、Apple Payを使った購入の代金を6週間で4回払いに分割でき、無利子で手数料もかからない支払い方法になると説明しています。

ほかにも、車のハードウェアと緊密に統合した次世代CarPlayを披露。詳細は今後発表予定ですが、車内にある複数の画面にコンテンツを提供でき、統一した一貫性のある体験を作り出せるのを特徴としています。

iPadのクリエイティブ活用を強力に後押し「iPadOS 16」

  • iPadOS 16

iPadOS 16はクリエイティブ機能を強化しており、中でも注目なのがマルチタスク機能。M1チップを搭載したiPad ProとiPad Airでは新機能「ステージマネージャ」により、アプリとウインドウを自動的に整理し、タスク間の切り替えをすばやく簡単にできるようにします。

iPadで初めてウインドウを重ねて使えるようになり、最大6K解像度の外部ディスプレイもフルサポート。iPadと外部ディスプレイ合わせて最大8つのアプリを同時に表示しながら作業できるようになります。

ほかにも、iPad Proでは、複数のデバイス間で一貫した色の条件に合わせられる新機能「リファレンスモード」が使えるようになるなど、クリエイティブ用途を想定した機能が盛り込まれます。

複数人でのコンテンツ共同制作においては、メッセージを使った新しい共有機能が使えるようになるほか、新しい共同作業アプリも2022年中に提供予定です。そのほか、ファイル管理やGame Centerなどの細かな使い勝手もブラッシュアップしていきます。

iPhoneをWebカメラにできる「macOS Ventura」

  • macOS Ventura

macOS Venturaにも、iPadOS 16と同様に開いているアプリやウインドウを整理してすぐに切り替えられるようにするステージマネージャ機能を備えています。

注目なのが、MacでiPhoneをWebカメラとして活用する「連係カメラ」機能。近くにiPhoneがあれば自動認識して利用でき、センターフレームやポートレートモード、顔を明るくするスタジオ照明といった機能も使えるそうです。

ワークアウト機能を強化した「watchOS 9」

  • watchOS 9

watchOS 9では、ワークアウトアプリが更新され、運動強度のモニタリングに役立つ「心拍数範囲」の設定が可能になるほか、Apple Watchの側面にあるデジタルクラウンを回して情報表示を切り替え、運動中でもさまざまな指標を確認しやすくなります。トライアスロンやランニングフォームの認識にも対応します。

ほかにも、睡眠ステージや心房細動の記録機能を強化し、新しい文字盤のデザインを追加するなど、Apple Watchの使い勝手や画面のデザイン性を高めるアップデートになる予定です。