楽天モバイルの新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」が5月13日に発表され、現行プランの特徴だった「月1GBまでは0円」という太っ腹な料金設定が廃止されたことが大きな話題となりました。

この機会に解約や他社への乗り換えを検討する人も多いようで、発表直後からpovo2.0やLINEMO、IIJmioなどの低料金プランを提供している競合他社が「申込集中による発送遅延」などのお知らせを出しています。0円プラン終了に向けて、楽天モバイルからの乗り換え先候補となるサービスを考えてみましょう。

  • 「月額0円」終了に向けて、楽天モバイルユーザーの争奪戦が始まっている

    「月額0円」終了に向けて、楽天モバイルユーザーの争奪戦が始まっている

楽天モバイルからの乗り換え先候補

  • povo2.0:0円~(都度課金)
  • LINEMO:3GB+LINEカウントフリーで990円、半年間実質無料キャンペーン中
  • NUROモバイル:5GB+LINEカウントフリーで990円
  • IIJmio:4GB/990円、データ通信のみならeSIM利用で4GB/660円
  • 日本通信:1GB/290円~、+220円で1GBずつ追加可能

楽天モバイルから乗り換える意味があるのはどんな人?

楽天モバイルの新旧プランをおさらいしておくと、今回値上げ対象となったのは月1GB未満の小容量ユーザーのみです。

プラン ~1GB ~3GB ~20GB 20GB~
Rakuten UN-LIMIT VI(旧) 0円 1,078円 2,178円 3,278円
Rakuten UN-LIMIT VII(新) 1,078円 2,178円 3,278円

月20GB以上の通信をしても3,278円という、大容量プランとしての安さに魅力を感じていた人にとっては、0円プランの終了はさほど関係のない話になります。

したがって、いま乗り換えを考えている人の多くは、「0円だったら」とお試し感覚で使ってみた人や、いざという時の備え、あるいは子ども用や普段はあまり外に持ち出さないタブレット用の回線など、小容量で使ってきた人でしょう。

そこで、今回は値上げ後の3GB/1,078円と比較して選べるような小容量で安いプランを中心に紹介します。

povo2.0:「0円」つながりで人気集中も、使い方には大きな違い

まず、同じ「0円」つながりで楽天モバイルからの乗り換えと思われる“申込集中”がいち早く報告されたのは、KDDIのオンライン専用プラン「povo2.0」です。

povo2.0も基本料金が0円という共通点はあるものの、仕組みはまったく異なります。楽天モバイルの旧プランのように一定量までは0円で使えるというものではなく、使わない時は0円、使う時は必要な分だけお金を払って「トッピング」をするというシステムになっています。

  • 0円つながりで乗り換え先として目を付ける人が多かったpovo2.0は、楽天モバイルの新プラン発表直後から申込が集中していた。執筆時点では混雑は解消されている

    0円つながりで乗り換え先として目を付ける人が多かったpovo2.0は、楽天モバイルの新プラン発表直後から申込が集中していた。執筆時点では混雑は解消されている

メイン回線の通信障害に備えたり、エリアを補ったりと、いざという時だけ使うサブ回線として楽天モバイルを0円で維持してきた人の乗り換え先としては最適です。

しかし、毎月コンスタントに1GB程度使うのであれば、楽天モバイルに残るか、他の乗り換え先を考えた方がお得かもしれません。povo2.0のデータトッピングは容量によって有効期間が異なり、小容量で安く抑える使い方にはあまり向いていないのです。

データトッピングの例としては、「データ追加1GB(7日間)」は390円、「データ追加3GB(30日間)」は990円。毎日使うなら3GB程度からが実質的なスタートラインとなります。

なお、povo2.0には「#ギガ活」という仕組みがあり、対象店舗でau PAYを使って買い物をすれば300MBや1GBのデータ容量を無料でもらえます。まめにポイントを貯めたりするのが得意な人なら、通信費を抑えながら毎月数GB使うこともできるでしょう。

  • 買い物などでデータ容量をもらえる「#ギガ活」をうまく使えば、povo2.0もほぼ0円で使っていける

    買い物などでデータ容量をもらえる「#ギガ活」をうまく使えば、povo2.0もほぼ0円で使っていける

LINEMO:3GB/990円の「ミニプラン」が人気、半年間実質無料のキャンペーン中

ソフトバンクのオンライン専用ブランド「LINEMO」は、3GB/990円の「ミニプラン」と20GB/2,728円の「スマホプラン」の2本立て。スマホプランに関しては楽天モバイルの2段階目の料金(3GB~20GB/2,178円)の方が安いため、あまり乗り換え候補にはならないかと思いますが、ミニプランは楽天モバイルの1段階目と同容量で毎月88円安いということになります。

手続きの手間などを考えると、この差額だけでは乗り換えの判断には至らないかもしれません。しかし、その名の通り、コミュニケーションアプリ「LINE」と関わりが深いサービスであり、LINEのトークや音声通話/ビデオ通話などの通信量がカウントフリーということも人によっては大きなメリットになるでしょう。

また、5月20日からミニプランをMNPで契約すると半年間実質無料となるキャンペーンが実施されており、基本料金990円相当のPayPayポイントを6カ月間毎月もらえます。

  • LINEMOの「ミニプラン」は楽天モバイルの料金と近く、LINEが使い放題になる

    LINEMOの「ミニプラン」は楽天モバイルの料金と近く、LINEが使い放題になる

NUROモバイル:5GB+LINEカウントフリーの「VMプラン」

LINEが使い放題という点では、NUROモバイルの「VMプラン」もオススメ。料金はLINEMOのミニプランと同じ990円ですが、こちらはデータ容量が5GBと多め。4月からLINEのデータ容量がカウントフリーになりました。

NUROモバイルはMVNO、LINEMOは大手キャリアの1プランということで、通信速度を考えると同条件での比較はできませんが、月3GB前後のユーザーであれば、外で動画を観たりゲームをしたりといった高速通信が必要な使い方はそれほどしていない人が多いかと思います。同じ値段で毎月のデータ容量の心配を減らせる選択肢もアリではないでしょうか。

  • NUROモバイルの「VMプラン」もLINEがカウントフリーになった。LINEMOとの比較では、同料金で少しデータ容量が増えるのもありがたい

    NUROモバイルの「VMプラン」もLINEがカウントフリーになった。LINEMOとの比較では、同料金で少しデータ容量が増えるのもありがたい

IIJmio:「ギガプラン」値下げで4GB/990円に

IIJmioは、4月1日に主力プランの「ギガプラン」の値下げを行ったばかり。4GB/990円のプランを選べば楽天モバイルに残るよりも毎月1GB多く使える余裕を持てます。

また、音声通話は不要でデータ通信だけできれば良いという人は、eSIMの利用もおすすめ。物理SIMのプランよりも料金が大幅に抑えられており、2GB/440円、4GB/660円、8GB/1,100円などから選べます。

さらに、5月31日までは「12カ月間 1GB増量キャンペーン」を実施中。期間中に申し込めば、12カ月間は各プランのデータ容量に1GB上乗せされます。

  • 楽天モバイルの3GBよりも安く、IIJmioの音声SIMなら4GB使える。データ通信のみで良いなら、eSIMを選べばさらに安い

    楽天モバイルの3GBよりも安く、IIJmioの音声SIMなら4GB使える。データ通信のみで良いなら、eSIMを選べばさらに安い

日本通信:1GB/290円から使える「合理的シンプル290プラン」

日本通信の「合理的シンプル290プラン」は、音声通話対応SIMを月額290円から使えるプランです。最低料金ではデータ容量は1GBとなり、1GBごとに220円で柔軟に追加できます。

データ通信はほとんどせずに電話の待ち受けメインで楽天モバイルを使っていた人なら、月額290円で電話番号を維持できる有益な選択肢となるでしょう。オプションとして、無料通話70分(700円)や国内通話かけ放題(1,600円)の追加も可能です。

  • 日本通信の「合理的シンプル290プラン」は、月290円からという基本料金の安さが魅力。1GB刻みの容量追加やかけ放題オプションの用意もある

    日本通信の「合理的シンプル290プラン」は、月290円からという基本料金の安さが魅力。1GB刻みの容量追加やかけ放題オプションの用意もある