5月27日にドコモ/au/UQ mobileから発売される「Galaxy A53 5G」は、5Gに対応したミドルレンジのスマートフォン。約6.5インチの大画面かつ120Hz駆動にも対応した有機ELディスプレイや、5,000mAhの大容量バッテリー、防水/防塵対応、シンプルなデザインといった機能・性能も魅力ですが、その最大の特徴は、Galaxyシリーズならではの多機能で遊び心に溢れたカメラにあると筆者は考えます。以下、カメラを中心に、「Galaxy A53 5G」の実力をチェックしました。

  • Galaxy A53 5G

    サイズは約H160×W75×D8.1mm、重さ約189g。薄さの恩恵か握りやすさか、手にすると実際の大きさよりもコンパクトに感じます

  • ディスプレイ

    約6.5インチ、フルHD+のSuper AMOLEDディスプレイを搭載。リフレッシュレートは120Hzまで対応しています

  • 背面

    つや消しで指紋がつきにくい背面は、カメラの周囲が土手のように緩やかに盛り上がった、シンプルながらほかにはないデザイン。カラーはオーサムブルー、オーサムホワイト、オーサムブラックの3色展開

  • 左側面
  • 右側面
  • 両側面。右側にボリュームキーと、サイドキー(電源ボタン)を配置。サイドキーの2度押しにカメラ起動や、任意のアプリ起動を割り当てることもできます

  • 底部
  • 上部
  • 底部と上部。前モデル「Galaxy A52 5G」にあったヘッドフォン端子はなくなり、底部にUSB-Type-C端子/SIMカードスロットという配置になっています

  • SIMスロット

    SIMはnanoSIMが1枚のみで、eSIMには非対応。背面にはmicroSDカードがセットできます

「Galaxy A53 5G」のカメラは、光学式手ブレ補正を備えた約6,400万画素(F値1.8)のメイン広角カメラ、約1,200万画素(F値2.2)の超広角カメラに加えて、それぞれ約500万画素(F値2.4)の深度測位カメラとマクロカメラの4眼構成。「写真」では「0.5×」「1.0×」「2.0×」とズーム倍率をワンタップで切り替えでき、さらに最大「10×」までデジタルズームが可能です。10倍だと画像はさすがに粗くなりますが、約6,400万画素と高解像度なので、多少ズームしても精細さが失われません。さらに「動画」では、光学式手ブレ補正の恩恵がよりはっきり感じられます。

  • 撮影時のインタフェース

    撮影時のインタフェース。左側にあるメニューの2つ目の項目は「モーションフォト」で、オンにすると動く写真が撮れます

超広角の撮影例

  • 超広角の撮影例1
  • 超広角の撮影例2
  • 超広角の撮影例3
  • 超広角の撮影例4
  • 超広角の撮影例。F値2.2なのでメインカメラ(F値1.8)に比べると少し暗く映ります

標準の撮影例

  • 標準の撮影例1
  • 標準の撮影例2
  • 標準の撮影例3
  • 標準の撮影例4
  • 標準の撮影例。高精細かつ明るく撮れるので少々暗いシーンでもノイズが目立ちません

2倍ズームの撮影例

  • 2倍ズームの撮影例1
  • 2倍ズームの撮影例2
  • 2倍ズームの撮影例3
  • 2倍ズームの撮影例4
  • 2倍ズームの撮影例。約6400万画素のおかげで多少寄っても、細部までかなりきれいです

10倍ズームの撮影例

  • 10倍ズームの撮影例1
  • 10倍ズームの撮影例2
  • 10倍ズームの撮影例3
  • 10倍ズームの撮影例4
  • 10倍ズームの撮影例。さすがに画質は粗くなりますが、手ブレが抑えられていてクリアです

約123度(人間の視野角と同等とのこと)をとらえられる超広角カメラは、旅行などのスナップ撮影でかなり重宝します。あまり後ろに下がれない場所でも、見たままのワイドな風景が切り取れるのはやっぱり便利。また花や植物をよく撮影する人には、被写体から数cmのところまで寄ってマクロ撮影ができるのもポイントです。カメラを近づけると自動的にマクロモードを使用するよう促す表示が現れるので、モードの切り替えも簡単にできます。

マクロの撮影例

  • マクロの撮影例1
  • マクロの撮影例2
  • マクロモードの撮影例。被写体にぐっと近づいて撮影できます

マクロのほかにも、豊富な撮影モードが用意されています。デフォルトでは「ファン」「ポートレート」「写真」「動画」が切り替えられるほか、「その他」から「プロ」「プロ動画」「シングルテイク」「ナイト」「食事」「パノラマ」「スーパースローモーション」「スローモーション」「ハイパーラプス」、そして「マクロ」が選択可能。よく使う撮影モードを入れ替えられるなど、メニューのカスタマイズも簡単です。

食事モードの撮影例

  • 食事モードの撮影例1
  • 食事モードの撮影例2
  • 食事モードの撮影例3
  • Galaxyシリーズの真骨頂とも言えるのが「食事」モード。料理の一部分にフォーカスして周囲をぼかすことで、美味しそうな写真が手軽に撮れます

ナイトモードの撮影例

  • ナイトモードの撮影例1
  • ナイトモードの撮影例2
  • 「ナイト」モードでは複数枚を撮影して自動合成する「マルチフレーム処理」のおかげもあり、手ブレやノイズを抑えたパキッとした写真が撮影できます

  • シングルテイクモード
  • ファンモード
  • 「シングルテイク」(画面左)は、一度に複数の写真や動画が撮れる機能。3~10秒の短い動画を撮ると、AIが選んだベストショットや音楽BGM付きの動画などが自動的に記録されます。ペット動画などにも良さそうです。「ファン」モード(画面右)では楽しいエフェクトを加えた撮影ができます。約3,200万画素のインカメラ(サブカメラ)に切り替えて、「Snapchatレンズ」も楽しめます

  • Bixby Vision1
  • Bixby Vision2
  • Galaxy独自の「Bixby Vision」や「ARゾーン」は、カメラの「その他」からも起動可能。「Bixby Vision」では「Google Lens」同様、撮影した写真と類似した写真をネットから探したり、文字を認識して翻訳したりできます

  • ARゾーン

    「ARゾーン」ではARを使った楽しいエフェクトが利用できます。自分のアバターを作成して、インカメラ(サブカメラ)でそのアバターや他のキャラクターを顔に重ねるといったことができます

多彩な撮影モードに加えて、撮影後に編集ができる標準の「フォトエディター」にも、充実した機能が備わっています。たとえばポートレートモードで撮影した写真は、あとからボケの強度や、ボケ方のエフェクトをカスタマイズすることが可能。また写真を自動的に補正し、補正前と補正後をスライダーを使って見比べることもできます。写り込んだ不要なものをワンタップで除去できる「オブジェクト消去」機能も備えていて、通行人などを簡単に消すことができます。「オブジェクト消去」はこれまで「Galaxy S」シリーズなどの上位モデル向けに提供されていましたが、ミドルレンジモデルでも利用できるようになったのはうれしい限りです。

  • ポートレートモード
  • AIによる自動補正
  • ポートレートモードは撮影したあとからボケを調整できます(画面左)。AIによる自動補正はスライダーでビフォア、アフターを見比べられます(画面右)

  • オブジェクト消去1
  • オブジェクト消去2
  • 選択したオブジェクトを簡単に消せる「オブジェクト消去」がミドルレンジモデルでも可能に

高解像度な写真は1ファイルあたりのデータ容量も大きくなりますが、「Galaxy A53 5G」はRAM6GB/ROM128GBに加えて、最大1TBのmicroSDXCにも対応。写真をたっぷり保存できます。チップセットにはミドルレンジ向けのサムスン製Exynos 1280(2.4GHz×2+2.0GHz×6)を採用。参考までに「Geekbench 5」「3DMark」「PCMark for Android」の各ベンチマークテストの結果も載せておきます。

  • Geekbench 5
  • 3DMark
  • PCMark for Android
  • ベンチマーク結果。左から「Geekbench 5」「3DMark」「PCMark for Android」の順

実際に使っていて処理速度が気になったのは、「スリープからのカメラ起動がややもたつくかな?」というくらいで、全体としてはアプリの起動もカメラ撮影や画像処理も、スクロールやFPSゲームの操作もストレスを感じるようなことはありません。また5,000mAhあるバッテリーの持ちも良くて、朝からカメラをかなり頻繁に起動した日も、家に帰ったらまだ50%くらい残っていました。

生体認証は、画面内指紋センサーと顔認証の両方に対応。IPX5/IPX8相当の防水、IP6X相当の防塵、おサイフケータイにも対応しています。ゲーム時に通知をブロックしたり、パフォーマンスを最適化できる「Game Booster」や、子供向けの専用メニュー「Galaxy Kids」も利用可能。OSはAndroid 12で、このほかにもテキストの自動書き起こし機能が使える音声レコーダーや、健康管理に役立つ「S Health」など、Galaxyシリーズならではの便利な機能も使えます。

  • Galaxy Global Goals 1
  • Galaxy Global Goals 2
  • サムスンがGoogle Play Storeで公開しているアプリ「Galaxy Global Goals」もプリインストールされていて、待ち受け画面や、バッテリー充電時に広告を表示することが可能。広告表示で得たポイントなどで、手軽に寄付ができるようになっています

  • エッジパネル

    画面を片方に寄せられるほか、よく使うアプリを「エッジパネル」として表示できるなど、大画面でも片手操作しやすい工夫もあります

「Galaxy A53 5G」は不足がなくバランスのとれた、万人に使いやすいスマートフォンであると同時に、カメラ機能が充実していて、きれいな写真を撮りたい人にも、楽しい動画を撮りたい人にもおすすめできる一台と言えるでしょう。一方でドコモから発売中の前モデル「Galaxy A52 5G」との違いは、チップセットやOSのバージョン、通信速度やバッテリー容量など。チップセットの進化のおかげで「オブジェクト消去」などの処理も可能となりましたが、カメラの基本性能に大きな違いはありません。

「Galaxy A53 5G」の価格はドコモ59,400円、au/UQ mobileが59,835円。ドコモのオンラインショップではあわせて前モデルが大幅に値下げされていて、22,000円となっています。在庫限りとは思いますが、そちらを狙うのもありかもしれません。特に「Galaxy A52 5G」にあったヘッドフォン端子が「Galaxy A53 5G」ではなくなってしまったので、有線ヘッドフォンを使いたい人は検討する価値あり。とはいえ、ドコモのいつでもカエドキプログラム適用時は実質負担額34,320円~購入できるなど、コストパフォーマンスの高さは抜群です。Galaxyシリーズならではのユーザー体験がこの価格で享受できるのは、大きな魅力と言えます。