米Twitterは4月25日(現地時間)、イーロン・マスク氏による同社の完全買収の提案を受け入れることで合意したと発表した。同氏は1株あたり54.20ドルの現金を支払い、買収額は約440億ドルになる。完全買収が完了すれば、Twitterは上場を廃止して株式非公開企業になる。

マスク氏は1月末からTwitter株を買い進め、4月4日までに約9%のTwitter株を取得して筆頭株主になった。Twitterもマスク氏の関与を歓迎し、いったんは取締役就任の発表に至ったものの、同氏が辞退。マスク氏は、Twitterが「言論の自由」を守るための社会的な役割を果たす企業になるために、同社は株式を非公開化するべきであると主張。全株式を取得する形での買収を提案した。

マスク氏の買収提案に対して、Twitterは敵対的買収からの防衛策として取締役会がライツプラン(ポイズンピル)を導入。マスク氏が21日に金融機関などから総額465億ドルの買収資金を確保したことを明らかにした一方で、買収提案に対するTwitterからの回答はないまま。Twitterユーザーの間でも言論の自由を守る買収の是非を論じる議論が広がり、言論の自由にとって重要な存在であるからこそ一個人による買収を危ぶむ声が少なくなかったが、マスク氏の迅速な動きに対し、Twitterの対処の動きは鈍かった。ソーシャルメディアを使いこなすマスク氏のスピード感に、ソーシャルメディアのTwitterが押し切られた形だ。

発表の中でマスク氏は「言論の自由は民主主義を機能させる基盤である」と指摘。「Twitterにはとてつもない可能性がある」として、新機能による製品の強化、アルゴリズムのオープンソース化による信頼性の向上、スパムボットの撃退といった改善案を挙げ、ユーザーのコミュニティとも協力して「その可能性を解き放つのを楽しみにしている」と述べた。

1株あたり54.20ドルの支払いは、マスク氏が約9%のTwitter株の保有を表明する直前の4月1日の終値に38%の上乗せになる。Twitter取締役会において全会一致で承認された買収取引は、株主の承認、規制当局からの承認の取得を条件として、年内の取引完了を予定している。Twitterは4月28日に2022年1〜3月期決算を発表するが、今回はカンファレンスコールを行わない。5月25日に年次株主総会を開催する。