東京臨海広域防災公園(そなエリア東京)にて、パナソニックがメディア向けに防災セミナーを開催。体験学習ツアーや専門家の講演を通じて、防災には「日ごろの備え」が大切と改めて訴え、いざというときに役立つ防災関連グッズを紹介しました。
地震発生、そのとき街は……
はじめに参加したのは、地震発生直後から72時間の世界を疑似体験する「東京直下72h TOUR」という体験学習ツアー。施設に足を踏み入れると、そこには東京の惨状が広がっていました。
なお、東京臨海広域防災公園(そなエリア東京)では、一般向けにも防災体験学習を提供しています。この施設は映画『シン・ゴジラ』に登場するオペレーションルームの撮影に使われ、ほぼそのままの展示を見学できます。詳細は東京臨海広域防災公園(そなエリア東京)のWebサイトを参照してください。
一軒家のとある部屋では、棚の中身が飛び出し、壁かけの時計や額縁が落ちるなど、ひどい状況がうかがえました。ただし、これでも地震対策を行っている部屋とのこと。では地震対策をしていないと、どうなってしまうのか……。
地震対策をしていない部屋では、あらゆる家具や電化製品が倒れているありさま。文字通り、足の踏み場もありません。しかも悪いことに、冷蔵庫が倒れて部屋のドアを塞いだため、逃げたくても逃げられない状況です。
ツアーを案内したスタッフは、東日本大震災で被災した方々の「寝室には棚やタンスなど、倒れるものは一切置けなくなった」という言葉を紹介しました。
家具の地震対策は、なるべく強く固定すること。背の高い家具なら、天井と家具の上部に設置する、つっぱり棒タイプの家具転倒防止用品が定番でしょう。自分の部屋と家具をチェックしないと……。
避難所の様子
次に訪れたのは避難所(これも仮想的なものです)。体育館の中はダンボールで居住スペースが仕切られているものの、壁の背は低く、音も周りにつつぬけの状態です。これではプライバシーは保てません。これは東日本大震災における福島県いわき市内の避難所を再現したものだそうです。
また、いまや情報収集や安否確認のために欠かせなくなったスマートフォンですが、避難所では電源の確保もままなりません。コンセントの数が少ないため、充電できない人が列をなして待っている状態です。日々持ち歩くカバンと、防災用品をまとめておく防災カバンには、大容量でなくてもいいのでモバイルバッテリーも常備しておきたいところ。
被災時だからってガマンしない
続くセミナーでは、全国の男女2,000人(20~60歳)を対象にしたパナソニックのアンケート調査の結果から。それによれば、近年頻発している自然災害に対して「備えが必要だと思う」人は86.5%に達しているものの、「備えができていない」人は71.1%にのぼったそうです。
そこでNPO法人MAMA-PLUG理事の宮丸みゆきさんがゲスト講演。防災を生活の一部としてとらえ、日常的に積極的に取り組んでいく「アクティブ防災」という考え方について紹介しました。セミナーで語られた内容と合わせて、パナソニックの防災関連グッズも見ていきましょう。
まずはモノの備えから。地震、台風、大雨、土砂災害など、いつ起こるかわからない自然災害に備えて、宮丸さんは3つの観点でモノを備えるようアドバイスします。
(1)普段から持ち歩く用。防災ポーチなどに、負担にならない程度で最低限のグッズ(スマホ用モバイルバッテリー、クリップライト、ホイッスル、常備薬など)を入れておく。
(2)非常用の持ち出しリュックには、2~3日分の備え(ネックライト、非常食、非常用トイレ、電池など)を確保。
(3)家庭内の備蓄として、日常生活に近づけるためのモノ(ランタン、蓄電池、カセットコンロ、トイレットペーパーなど)を準備しておく。
「停電になると不便なことはもちろんですが、それ以上に、部屋が暗いことで人間は気分まで落ち込んでしまうんです。だからライトは多めにあると良いでしょう」(宮丸さん)
日用品に関しては、ローリングストック(普段から多めに用意しておくこと)をすると良いと付け加えます。
そして被災時には、しなくても良いガマンはしない、自分が自分でいるために必要なこと(身だしなみ、メイクなど)は大事にする、といったポイントを挙げていきます。
「日常生活を取り戻すことこそ『復興』なんです。だから被災時には、普段通りの生活に近づけることを意識する。眉毛を書く、前髪を整えるなど個人のこだわりも大切にしてください」(宮丸さん)
過去の災害時に、いつトイレに行けるかわからないということで、オムツのとれた子どもに再びオムツを履かせた親御さんがいたそう。これについて宮丸さんは「子どもにとっては屈辱的です。非常時でも人の尊厳を傷つけない、アイデンティティを守ることは大切な要素になります」と話していました。
防災関連の新製品あれこれ
最後にパナソニックの担当者が、防災関連グッズの新製品を紹介。「でかランタン(BF-BL40K)」は、パナソニックの乾電池ライトにおいて、明るさNo.1の800ルーメンを実現しました。発売日は4月25日、推定市場価格は5,000円前後を見込んでいます。
でかランタンは、災害時に広範囲を照らせるランタンの需要に着目して開発されました。球状のフード部分に光の拡散材を練り込むなど、LEDの光を明るく拡散する設計になっています。明るさの調整は4段階で、弱の状態なら連続で1,500時間(62日間)も点灯し続けるというから驚きです。
また「BQ-CCA3」は、充電池「エネループ」などを充電するためのUSB出力付き8本急速充電器。平時は単3形・単4形を合わせて8本までの充電池を急速充電でき、停電時にはスマホに給電できる(つまりモバイルバッテリー)機能を搭載した製品です。
モバイルバッテリーとして使用する場合、充電池と乾電池、容量・種類・銘柄の違う電池を混ぜても大丈夫なのが大きなポイント。発売日は4月25日、推定市場価格は5,500円前後となります。
平時にも災害時にも、室内や屋外の暑さ対策として役立つのがパーソナルファン「BH-BZ10M」です。乾電池でもUSB電源でも動きます。発売日は5月下旬、推定市場価格は2,200円前後。
さて、筆者も自然災害への備えが必要だとは思っているものの、行動に移せていません。ここ最近は頻発する地震で漠然と不安を感じていたところなので、防災を生活の一部として日常的に対策する「アクティブ防災」の考えにとても納得しました。
今回のセミナーで目にした日常的な防災グッズの中では、USB出力付き8本急速充電器のBQ-CCA3が気になりました。普段はエネループの急速充電器として使い、非常時にはモバイルバッテリーになる――。まさに日常使いの防災グッズではないでしょうか。
先日は、予期せぬ停電に呆然となったものです。いきなり真っ暗闇に放り出され、電気が回復するまで何も手につかなくなった経験から、でかランタン(BF-BL40K)、球ランタン(BF-AL05N)など平時でも便利なライト製品も興味をそそります。
そして乾電池のエボルタNEO、10年間も保存できるという性能はご存知でしたか。災害時は(汎用性の高い)単3形の乾電池が手に入りにくくなりがちなので、多めに備蓄し、使いながら適宜補充していくローリングストックに向いています。
身の回りや家族の生活スタイルを整理して、いざというときのシミュレーションや、防災グッズの準備に取り組んでみてください。