また、男女別の解析では、女性は男性と比較して、2回目の接種翌日に有意に発熱のピークが認められ、それと同様に筋肉痛、頭痛、皮膚の痛み、関節痛などのさまざまな痛みの発生率と強度が有意に高く、7日目に至るまで発生率と強度が有意に男性よりも高い傾向にあることが確認されたとする。

  • 性別による発生率とNRSスコアの比較

    性別による発生率とNRSスコアの比較。ワクチンの初回および2回目接種後の2つの副反応(頭痛、皮膚の痛み)。(a)2つの副反応の発生率。(b)2つの副反応のNRSスコア (出所:プレスリリースPDF)

さらに年齢別の解析では、筋肉痛を除いて全般的に高齢層と比較して、若年層で副反応の発生率と強度の増大が認められたという。特に発熱、全身倦怠、悪寒などの全身性の副反応については、接種翌日にピーク値を迎え、若年層で発生率も強度も増加していることが示された。

  • 年齢別の発生率とNRSのスコア比較

    年齢別の発生率とNRSのスコア比較。ワクチンの初回および2回目接種後の4つの主要な副反応(発熱、全身疲労、筋肉痛、関節痛) (出所:プレスリリースPDF)

加えて、同一接種者における初回と2回目の副反応の強度変化が分析されたところ、発生率の高い発熱、筋肉痛は初回、2回目ともに同様の強度を示しており、初回に発熱、筋肉痛の症状があった場合、2回目にも同様の副反応の強さで症状が出ることが予測されたとするほか、全身倦怠、関節痛、悪寒、頭痛に関しては初回に数値評価尺度(NRS)の強度が低い場合、2回目には強度が増すことが予想されたという。

ファイザー製ワクチンに対するいくつかの副反応は、性別と年齢の違いが示されたが、これらの副反応はすべて一過性の症状としてほぼ1週間以内に消退し、予防接種を推奨する上での重要な懸念事項ではないと考えられたとする。

研究チームによると、多くの副反応は、どちらの接種後も1週間程度で改善したが、2回目接種時には1回目の副反応を参考にある程度、症状の強度が予想されることや、また女性や若者においては2回目の接種翌日に発熱のピークと共に全身性副反応を中心に発生率も強度も増加する傾向が認められ、年齢や性別が影響するこれらの副反応の発生率や程度を考慮に入れた事前説明などが望ましいと考えられるとしている。

また今後、パンデミックの状況を収束に向かわせるためには、若年者層へのワクチン接種がより一層に進むことが重要であり、現在、京府医の職員・学生に対する3回目のワクチン接種後副反応についても調査を行っているとしている。なお、今回の研究成果は、新型コロナワクチン接種による副反応について、より正確な情報提供につながるものであり、新型コロナワクチン接種の安全性についての社会への知識の普及に貢献できるものと期待されるとしている。