英語の能力評価といえば、どんな試験を思い浮かべますか? 筆者にとって馴染みがあるのは「英検」や「TOEIC」くらいのもので、海外の大学や外資系企業を目指す人は「TOEFL」や「IELTS」なんかを受けるのかなという意識の低さです。思い返せば、かなり昔に「GTEC」も受けたことがある気がします。

そんな折、「Duolingo English Test(以下、DET)」なる英語のテストが日本での進出をより本格的に目指すというニュースを目にしました。最近は海外企業の発表を英語で視聴する機会も多く、自分の英語能力がどの程度のものか関心があったので、発表会に参加。さらにご厚意で試験を受けさせてもらえたので、今回はDETについてレポートをお送りします。

Duolingo English Testって何?

まずはDuolingoが主催するオンライン発表会で概要を聞いてきました。発表会にはアジア地域ビジネス統括を担当するCarrie Wang氏が登壇し、DETについて説明を実施しました。

  • Duolingo English Testのメディア向けラウンドテーブルに参加

とてもざっくり筆者の言葉で説明すると、DETとはWebで受験するタイプの英語試験。1時間程度で受験でき、受験料が49ドルという安価に設定されている点もポイントです。受験からわずか2日で結果が通知され、学校や企業などへのスコア共有も無制限に行えるとのこと。試験内容は読み書き、会話、理解、作文からなり、出題項目が回答によって動的に策定されていく「コンピュータ適応型テスト(CAT)」を採用しています。英語能力についての国際指標「CEFR」にも対応し、10~160のスケールでスコアが表現されます。

まとめると、従来のTOEFLやIELTSなどより安価で、Webテスト形式で場所を選ばず受験できる点が特徴。莫大なテスト問題のプールから動的に試験内容が生成されるため、試験内容の漏洩リスクや不正行為が発生しにくいこともメリットとして挙げられていました。不正検知の取り組みとして、AIと人間を組み合わせて対策している点もポイントです。

  • DETは世界中で4,000万人以上のMAU(月間アクティブユーザー)を抱える巨大サービスです

  • 従来のテストでは結果の受け取りまで多くのプロセスが必要でしたが……

  • DETなら自宅のPCでさっと受けられる

  • 個人的に興味深く感じたのは受験料が安いところ

  • イェール大学をはじめ、DETのスコアは3,800の教育機関で採用されています

  • スコアはCEFRとも照らして他のテストと比較できるとのこと

  • 試験回数は新型コロナウイルスの発生以降6倍に増加

  • 試験内容は回答によって動的に策定されるコンピュータ適応型。読み書き、会話、理解、作文の4項目をテストする

  • 同じ内容で試験が行われないため、問題の漏洩などが構造的に起こりにくい

  • 受験するにはオンラインのPC、カメラ、マイク、対応するブラウザが必要

  • 個人情報はGDPRに準拠して保護されるとのこと

  • 受験者の様子はAIと人が監視している

Duolingoのアカウントを登録。かんたんな問題で腕試し

まずはDuolingoのアカウント登録が必要なので、トップページへとアクセスしましょう。今回は手間を省くためにGoogleアカウントと連携させてアカウントを開設しました。母語や学習したい言語などかんたんな質問に回答すると、実力を測るためのかんたんな設問が出題され、それに基づいたトレーニングが行われていくという仕組み。腕試しはあまり難しくないので、特に緊張する必要はありません。

  • 腕試しの難易度は低め。ポチポチ回答していきましょう

  • こまめに褒めてくれるのでやる気が出ます

この手の学習プログラムはとにかく課金が必要で、利用にはまとまったお金が必要になるものだと思い込んでいましたが、かなり多くの学習コンテンツを無料で利用できて驚きました。1つずつのプログラムはかなりコンパクトにまとまっており、スキマ時間の5分くらいでサクサクこなせるものもたくさん用意されています。

いざDuolingo English Testを受験!

さらに、今回はDuolingoのご厚意でテストも受験することができました。受験にあたっては静かで明るい屋内で、「インターネットに接続できるPC」「Webカメラ」「マイク」「身分証明書」を用意する必要があります。落とし穴になりそうだと思ったのは、イヤホンを使ってのリスニングを行えないという点。スピーカーでリスニングを行う必要があるので、周囲の環境には十分注意が必要なほか、低品質なノートPC内蔵スピーカーでは聞き取りにくいことがあるかもしれません。

筆者が受けた問題そのものを直接紹介することはできませんが、いざ受けてみると解いていくうちにだんだん難しくなり、わからなくなるとやや易化していく様子がわかりました。受けてみての個人的な感想ですが、キーボードで英文を入力するのに少し難儀したことが新発見です。紙にペンで英文を書くことに慣れていたとしても、キーボードでの文字入力はぜんぜん違う感触。初歩的で当たり前ですが、Webテストの受験形式そのものに慣れておくこともかなり重要だと思いました。

  • これは提供してもらった回答画面。ここでは英語で設問が表示されていますが、日本語バージョンでは日本語で出題されます

  • スピーキングではマイクに向かって話します

  • 英文は当然キーボードで文字入力する必要があり、これにしっかりなれておく必要があると感じました

  • スコアはこのように表示されます(サンプル)

採点にはだいたい2日必要で、完了するとメールで通知してもらえます。自分のスコアをCEFRに照らしたところ、たしかにかなり昔に取得した英検やTOEICのスコアと似たような感じでした。

Webで身近になっていた語学学習。英語以外もたくさんある

今回は英語について紹介しましたが、Duolingoでは日本語話者向けに英語・韓国語・中国語・フランス語を提供しています。個人的に語学学習は分厚いテキストが必要なものと先入観を抱いていたので、かんたんにスマホやPCでサクサクこなせることにビックリ。Duolingoならこの障壁をさらりとクリアし、これまでよりも語学学習に親しめそうだと思いました。なお、今回筆者が受験したDETは無料で似たような形式の模擬受験も受けられます(要アカウント登録)。ざっくりしたスコアも教えてくれるので、ぜひ受けてみてください。