電源をオフにしたらすべてのICが動作しなくなるのだから、iPhoneの現在位置を調べられなくなるはず...これまでの常識で考えればそのとおりですが、近ごろのiPhoneはそうではありません。一定の条件を満たすかぎり、電源オフ状態のiPhoneも「探す」アプリで現在位置を調べることができます。

iOS 14も電源をオフにしたiPhoneの現在位置を調べることは可能でしたが、最後に電源がオンだった位置を表示するというものでした。しかし、iOS 15からは一部モデルにかぎり、電源オフの状態でもリアルタイムに現在位置を取得できるよう改良されています。

その技術的な核心は、AppleがiCloudユーザに提供している「探す」ネットワークにあります。紛失防止用スマートトラッカー「AirTag」と同様、省電力のBluetooth LEとUWB(Ultra Wide Band、超広帯域無線)の機能を利用して周囲の(他人の)Appleデバイスと通信することにより、iPhoneの場所を確認しiCloudへ送信しているのです。

つまり、電源がオフでも現在地を測定できるのは、UWBの機能を提供するU1チップを搭載しiOS 15が動作するiPhoneに限られます。具体的には、iPhone 11シリーズ(11/Pro/Pro Max)、12シリーズ(12/Pro/Pro Max/mini)、13シリーズ(13/Pro/Pro Max/mini)が対象モデルとなります。

なお、「探す」アプリでiPhoneを探すことができるのは、電源をオフにしてから24時間以内に限られます。省電力モード時でも約5時間は現在位置を確認できますから、位置情報を共有している家族が見つからなくて焦る、という事態はiOS 15以前に比べ大幅に減ったはずですよ。

  • 一定の条件を満たしていれば、電源オフ状態のiPhoneでも現在位置を探すことができます