Appleが、ティム・クックCEOが9月1日付けでCEOを退任することを発表した。後任のCEOは、製品開発を統括してきたジョン・ターナス氏が務める。ティム・クック氏は、9月からエグゼクティブチェアマンに就任する。

  • 9月からのCEO就任を発表したジョン・ターナス氏(左)と、現CEOのティム・クック氏(右)

    9月からのCEO就任を発表したジョン・ターナス氏(左)と、現CEOのティム・クック氏(右)

ジョン・ターナス氏は、2001年にAppleの製品設計チームに加わって以来、長く製品開発業務を統括してきたエンジニア。iPhoneやiPad、Mac、Apple Watch、AirPodsなどの製品の開発に携わってきた。最近は、圧倒的なコスパの高さで評価の高いMacBook Neoを世に送り出したほか、AirPods Proに補聴器として使える機能を搭載するなど、意欲的な製品開発を続けてきた。

また、リサイクルアルミニウム複合材の開発を手掛けたほか、修理性を高めて製品の寿命を延長するなど、Appleが重視する環境面でも重要な役割を果たした。

  • エンジニア畑を歩んできたジョン・ターナス氏

    エンジニア畑を歩んできたジョン・ターナス氏

1998年にAppleに入社したティム・クック氏は、2011年にCEOに就任。iPhoneをはじめとする製品を磨き上げつつ、さまざまなサービスの充実を図り、時価総額を就任当初の10倍以上に高めた。さらに、プライバシー&セキュリティや環境保護を重視する企業姿勢も継続した。

  • たびたび日本を訪れたティム・クックCEO

    たびたび日本を訪れたティム・クックCEO

退任発表にあたり、ティム・クックCEOが公開したメッセージは以下の通り(英語のメッセージを編集部で日本語に翻訳)。


Appleコミュニティの皆さんへ:
この15年間、私はほぼ毎朝同じことから一日を始めてきました。メールを開き、前日に世界中のAppleユーザーの皆さんから届いたメッセージを読むのです。
皆さんはご自身の人生のささやかな一片を私と分かち合い、Appleがどのようにあなたに影響を与えたのかを教えてくれます。お母様がApple Watchに救われた瞬間のこと。登るのが不可能に思えた山の頂上で撮った完璧なセルフィーのこと。Macが仕事でできることをどのように変えてくれたかへの感謝。そして時には、大切にしている機能が思うように動かないときに厳しい意見をいただくこともあります。
そうしたすべてのメールの中に、私は私たちが共有する人間性の鼓動を感じています。そして、もっと努力し、さらに前へ進まなければならないという深い責任を強く感じます。しかし何よりも、言葉では言い表せないほどの感謝の気持ちでいっぱいになります。あのメールの受け手でいられること、想像力をかき立て、人々の生活を言葉では言い尽くせないほど豊かにする企業のリーダーでいられること。それがどれほどの名誉であり、特権であったか計り知れません。
本日、私はAppleにおける自分の歩みにおいて次の一歩を踏み出すことを発表しました。今後数か月のうちに新たな役割へと移行し、9月にCEOの職を退き、Appleのエグゼクティブチェアマンに就任します。そして、私が心から世界で最高の仕事だと信じているその役職には、新たなリーダーが就きます。それがジョン・ターナスです。彼は卓越したエンジニアであり思索家で、過去25年間にわたり、ユーザーに愛されるApple製品を築き上げてきました。細部にまで徹底的にこだわり、あらゆるものをより良く、より大胆に、より美しく、より意味のあるものにする方法を追求し続けてきた人物です。彼こそがこの役割に最適な人物です。
ジョンは、Appleとは何か、Appleが何をしているのか、Appleが誰に価値を届けているのかを深く理解し、大切にしています。そして、並外れた誠実さをもって組織を導く心と人格を備えています。彼を次期CEOとして迎えられることを、私は誇りに思います。彼のリーダーシップのもとで、この会社はさらに驚くべき高みへと到達するでしょう。そしてこれから生まれる製品やサービスの一つひとつに宿る喜びと発見の中に、彼の影響を感じることになるはずです。皆さんが私と同じように彼を知る日が来るのを楽しみにしています。
これは別れではありません。しかしこの節目にあたり、感謝の気持ちを伝えたいと思いました。今回は会社を代表してではありません。もちろん、社内には皆さんへの感謝が溢れていますが、それとは別に、一人の人間としての私、ティムとして伝えたいのです。異なる時代に、地方で育った一人の人間が、こうした特別な時間の中で世界最高の企業のCEOを務めることができた――そのことに、ただただ感謝しています。私に寄せてくださった信頼と優しさに感謝します。街中や店舗で声をかけてくださったことに感謝します。新しい製品やサービスの発表の際に共に喜んでくださったことに感謝します。そして何よりも、常に皆さんを中心に据えてきたこの会社を率いることを、私に託してくださったことに感謝します。私たちは毎日、どうすれば皆さんの生活を少しでも良くできるかを考えています。そして毎日、皆さんは私の人生をこれ以上望めないほど素晴らしいものにしてくれました。
本当にありがとうございました。
ティム・クック