おなじみの「クーピーペンシル」そっくりのスタイラスペンが登場し、メーカーの想定を超えるヒットを記録しています。デザインや質感は本物と間違えてしまうほどの忠実さで、ペアリング不要でiPadとiPhoneの両方で使える手軽さや、Apple Pencil並みに細かな描写ができるiPad専用モードの搭載など、見た目だけでなく実用性も文句なし。元祖クーピーペンシルを卒業したオトナも“出戻り”したくなる華やかな一品、製品化を後押ししたのは意外にも“認知度が低い市場への焦りや危機感”でした。

  • 周辺機器メーカーのプリンストンが発売したクーピーペンシルそっくりのスタイラスペン「アクティブスタイラス PSA-TPRCPシリーズ」。とにかく細かい部分まで元祖クーピーと寸分違わず仕上げている。全6色で、実売価格は6,600円前後

    周辺機器メーカーのプリンストンが発売したクーピーペンシルそっくりのスタイラスペン「アクティブスタイラス PSA-TPRCPシリーズ」。とにかく細かい部分まで寸分違わず仕上げている。全6色で、実売価格は6,600円前後

スタイラスもパッケージもクーピーペンシルの世界観を忠実に再現

クーピーペンシルそっくりのスタイラスペン「アクティブスタイラス PSA-TPRCPシリーズ」を発売したのが、周辺機器やアクセサリーを手がけるプリンストン。同社は、古くからスタイラスペンのラインアップに力を入れていることで知られていますが、他社とのコラボレーション商品は初めての試み。しかし、初のコラボとは思えないほどのこだわりが詰まっていました。

まず目を引くのが、オリジナルのクーピーペンシルを忠実に再現した金属製のパッケージ。角を丸めた平たいパッケージに、オリジナルを忠実に再現したデザインを施しており、インパクトは抜群。コスト増につながるにもかかわらず、クーピーペンシルの象徴である金属製パッケージを継承した点は評価できます。

  • 製品のパッケージ(右)は、オリジナルの缶ケース入りクーピーペンシル(左)のデザインや素材を忠実に再現している。エッジの部分の処理など、細かい部分の仕上げも抜かりない

  • アクティブスタイラスを取り出したところ(2製品分のスタイラスを並べています)。パッケージに負けず劣らずの再現ぶりに、思わず心が躍る

オリジナルの再現度は、スタイラス本体も負けていません。素材はまったく異なるはずなのに、つや消しの質感や手にした感触、鮮やかなカラーなど、まさにクーピーペンシルそのもの。段が付いたあとに細くなる先端の造形や、えぐったようにくぼんでいるお尻の造形もそのままで、特徴や世界観を巧みに再現している点が好ましいと感じます。

  • アクティブスタイラス(上)とオリジナルのクーピーペンシル(下)。アクティブスタイラスのほうがひとまわり長く太いものの、全体のデザイン、色合いや質感、先端や後端の造形、ゴールドの刻印など、並べてみてもホレボレするほどそっくり

  • 買ったばかりのクーピーペンシルの特徴ともいえる「段が付いたあとに細くなる先端の造形」も、しっかり再現。ちなみに、先端の芯もちゃんと本体カラーに合わせており、同色の替え芯も3つ付属する

  • クーピーペンシルは、後端がなぜかくぼんでいるのだが、それも忠実に再現。アクティブスタイラスでは、この部分が電源スイッチになっている

  • 内蔵バッテリーの充電用にUSB Type-C端子を搭載。細いボディに一般的な形状のUSB Type-C端子を詰め込んだのはお見事

  • 製品名や色番号を示したゴールドの刻印もそっくり。色番号はオリジナルに合わせている

カラーは「あか」「きいろ」「あお」「みどり」「ももいろ」「だいだいいろ」の6色で、クーピーペンシルでよく用いられる印象的なカラーを選んでいます。先端の芯はホワイトではなく本体と同色で、別売の替え芯もカラーごとに用意するこだわりよう。ちなみに、製品に記載されている「FY 5」といったカラーの型番もオリジナルに合わせています。

ペアリング不要で使え、iPad専用の高性能モードも搭載

このように、オリジナルのクーピーペンシルを徹底的に再現したアクティブスタイラスですが、実用性もしっかり練り込まれており、決して“見た目だけ”の製品にしていない点が注目できます。

まず便利だと感じたのが、後端の電源スイッチをタッチして電源を入れるだけで、ペアリングの必要なく使えること。標準的な「汎用モード」では、iPhoneを含む一般的なタッチパネル搭載デバイスで利用でき、アプリの種類を問わずに使えます。ただ、解像度や追従性が低いので細かなイラストや手書き文字を描くのには向かず、指でしていた操作をスタイラスに任せる、といった使い方が中心になります。画面の小さなiPhone 13 miniを買ったが画面のボタンが小さかった、冬の時期は指の乾燥でタッチ操作がうまくいかない、と悩んでいる人には便利な相棒となるでしょう。

  • iPhoneでは追従性がいまひとつで、細かなイラストや文字の描画は難しい。iPhone 13 miniなどの小型モデルでは、指操作の代替として使うのが便利

iPad専用ながら、描画の性能を高める「iPadモード」も用意しています。こちらに切り替えれば、ある程度素速くペンを走らせてもしっかり追従し、文字やイラストが格段に自然に描けます。iPadモードでは、画面に触れた手を無視するパームリジェクション機能が有効になるので、画面に手を置いて安定させた状態で精密なイラストを描けます。Apple Pencilとは違って筆圧を感知する機能はないので、描写のリアルさではかないませんが、それでも実用性は十分だと感じました。

  • 後端の電源ボタンを長押ししてiPadモードにすると、追従性が高くなめらかな描画が可能に。このモードが使えるのはiPadに限定され、iPhoneでは反応しない

  • iPadモードならば文字もバッチリ書ける。スクリブルを使えば手書き文字をテキストに変換でき、メールやメッセージなどで送信できる

アクティブスタイラスはオリジナルのクーピーペンシルよりもいくぶん太く長いのですが、重心が先端や後方に偏ることなくバランスがよいためか、持った時に重さや違和感は感じません。内蔵バッテリーは、側面にある充電端子経由で充電します。細身な本体ながら、イマドキのUSB Type-C端子を採用するのは評価できると感じます。

こだわりの異色コラボを決断した背景

プリンストンの担当者によると、クーピーペンシルそっくりのアクティブスタイラスが誕生したきっかけの1つは、タッチペン市場への焦りや危機感があったといいます。市場があまり大きくないままで推移し、存在を知らない人も少なくないそう。そこで、老若男女を問わず誰もが使ったことがあり、格段の認知度を誇るクーピーペンシルとのコラボを発案。思わず手に取ってしまうパッケージに仕上げつつ、クーピーペンシルを使っている時のワクワク感をデジタル環境で再現し、多くの人が手に取りたくなるような製品の開発を進めたといいます。

2021年10月にいざ発表すると、SNSなどで予想を超える反響があり、初回出荷分は予約ですぐさま埋まってしまったそう。あわてて多くの数量を再発注し、増え続ける注文に対応したということです。

汎用モードはiPhoneをはじめとするすべてのスマートフォンやタブレットに対応し、高性能のiPadモードは第6世代以降のiPad、第3世代以降のiPad Air、第5世代以降のiPad mini、Face IDに対応したiPad Pro全機種に対応します。使えるiPadが限られる純正のApple Pencilとは異なり、シリーズをまたいで共用できる点、iPhoneでも使える点、価格が安い点など、Apple Pencilにはないメリットは盛りだくさん。地味でメリハリがなくなりがちな在宅ワークを華やかにしたいと考える人、タブレット端末を用いた学習に子どもの興味を持たせたいと考える人、Apple Pencilほどの性能は必要ないという人など、多くの人に響くモデルとなりそうです。

※COUPY PENCILは株式会社サクラクレパスの商標です。PSA-TPRCPシリーズは、株式会社サクラクレパスとのコラボ商品です。PSA-TPRCPシリーズのデザインは株式会社サクラクレパスより正規の使用許諾を受けています。