NTTドコモの研究開発の成果を発表する「docomo Open House'22」において、小さなかわいらしいロボットが出展されていた。「スマートフォン操作支援ロボット」として開発されており、操作に困った人のスマートフォンを遠隔から操作して使い方を教えてくれるというロボットだ。

  • スマートフォン操作支援ロボット

    ちょんまげかリーゼントのような頭頂部と腕を持つ小さなロボット

高齢者を始め、スマートフォンの操作に慣れていない人はまだ多い。遠く離れて住む家族に尋ねてみても、言葉で伝えられただけでは操作が分かりづらい。そこで開発されたのがこの支援ロボットだ。

機能としてはそれほど複雑ではない。操作を知りたい人のスマートフォンをロボットのカメラの下に設置。そのカメラの映像が遠隔の人のスマートフォンに表示されるので、遠隔で支援する人がカメラに映ったスマートフォンの任意の場所をタッチする。すると、ロボットの腕が動いてその場所にタッチをする。遠隔でスワイプをすれば、ロボットもスワイプをする。

  • カメラで撮影したスマホ画面を転送

    ちょんまげ(?)の先にはカメラを搭載。下に置いたスマートフォンの画面を撮影し、遠隔地にある(このデモではすぐ隣だが)スマホに転送する

実際に、目の前でロボットが操作してくれるので、教えられる側も分かりやすい。現状、ロボットの腕は単機能なので高度な操作ができるわけではないが、ポイントはカメラで映したスマートフォンの画面上を遠隔からタッチして、その通りに腕を動かすという認識機能だ。

  • 遠隔側でからロボットを操作

    表示されたスマートフォンの画面をタッチすると、ロボットにその指令が届いて腕が動き、その場所をタッチする

かわいらしいフォルムで腕を一生懸命動かすロボットは愛くるしいデザインで、意外にすぐにでも製品化はできそう。遠隔に住む家族へのサポート以外にも、無人店舗でのサポートのような業務にも応用できそうだ。

手元のスマートフォンを操作すると、遠隔のロボットが動く。これはスワイプ操作だが、タッチ操作も可能。細かい操作は難しく、現時点だと遅延もあるが、これが進化すると様々な応用が考えられそうだ

デモンストレーションではとくに5Gや6Gの活用は考慮せずに無線LANでロボットと接続していたが、6G通信が一般的になれば、超低遅延化によってより機敏な反応のロボットが実現できるだろう。今回の支援ロボットは、特殊な新技術が使われているわけではなく、要素技術の研究開発と言うよりも、技術の事業化に焦点をあてた展示。要素技術開発を手がけるNTT(持株会社)に対して技術の事業化までを検討するドコモらしい展示と言えるものだった。