KDDIとWILLERが合弁会社Community Mobilityを設立し、「月額5,000円で30日間乗り放題」というチョイ乗りサービス「mobi」を全国展開すると発表しました。都内で12月22日に開かれたメディア説明会で、KDDIの高橋誠社長は「移動を、感動に変えてゆく。これを実現していこうと思っています」と意気込みを見せます。

  • KDDIとWILLERが、サブスクのチョイ乗りサービス「mobi」を開始する

半径2km圏内を巡回、同居する家族も利用できる

mobiは第1弾として、おおむね半径約2kmのエリアを対象とした「エリア定額乗り放題サービス」を本格展開します。乗り合い方式の車両を、アプリや電話で素早く配車できるのが特徴。AIを用いたルーティングによって、ユーザーの予約状況や道路状況を考慮し、エリア内を最適なルートで移動します。利用料金は、30日間の定額プランが5,000円で、同居家族は6人まで登録可能(1人あたり月額500円を追加)。1回乗車なら大人は300円、小学生以下は150円です。

  • アプリの利用イメージ。アプリから乗降地を指定し、車両を予約する。乗降地は、地図上のピンをタップするだけで設定できる

  • 現在、車両がどこにいるか、地図に表示される。ドライバーとは電話やチャットで連絡可能。電話による配車サービスの営業時間は10時~19時

KDDIでは、mobiにより地方の高齢者の移動不安を解消するとともに、免許がない家族を送迎したい、雨の日でもベビーカーを乗せて移動したい、など移動ニーズの多様化に応えます。さらに、少し足を伸ばして日々の暮らしから抜けてみたい、遠方で買い物や外食をしたい、といったユーザーの好奇心を積極的に後押ししていく考えです。KDDIの高橋社長は「ご自宅から2km圏内が乗り放題になる、新たなチョイ乗りサービスとして利用してもらえれば」とアピールします。

  • KDDI代表取締役社長の高橋誠氏

  • mobiのサービス概要

移動の格差をなくし、持続可能な社会を作りたい

続いて、WILLER 代表取締役の村瀬茂高氏が登壇。すでに東京都渋谷区、京都(京丹後市)、名古屋(千種区)の一部エリアでサービスを開始しており、近日中には東京都豊島区でもサービスインさせると説明します。今後、北海道から九州まで幅広いエリアで順次展開を予定。mobiの特徴については「定額なので、いつでも気軽にご利用いただける。地域交通には、ここが必要なポイントではないかと思っています」としました。

  • WILLER 代表取締役の村瀬茂高氏(右)

  • 全国展開に先がけ、4エリアで先行スタートする

「mobiによる効果は3つあると考えています。お出かけの機会を増やすことにより、人の交流が新たに生まれる。地域店の来客が増えて街が活性化し、シティバリューが上がる。自宅からバス停・駅まで結ぶことで公共交通の利便性が向上して、街全体の移動総量が増える。mobiにより移動の格差をなくし、持続可能な社会を作り上げていければと思っています」(村瀬氏)。

  • mobiが目指す世界

続いてKDDI 執行役員の松田浩路氏は、mobiにおいて同社が果たす役割について説明しました。KDDIでは現在、全国60超の自治体と地域連携協定を結んでおり、また全国に2,300超のauショップなど実店舗を展開中。これを生かしてネットワークを作っていく考えです。エリアを設定するうえでは、位置情報などのビッグデータを活用。特に人の移動が多く、mobiの導入に適したエリアを特定していくとしました。

  • KDDI 執行役員 事業創造本部長の松田浩路氏

  • mobiに適したエリアを特定し、地域住民とともに育んでいく

au PAYアプリで交通サービスを予約

ちなみにKDDIと沖縄セルラー電話では、au PAYアプリで交通サービスの予約・決済が完結する「au Moves」を12月22日からスタートさせると発表。第1弾として、WILLERと提携した高速バスの予約ができる「au Moves高速バス」のミニアプリを提供します。

  • au Movesでは、お客さま情報や決済手段の登録不要で手続きでき、au PAYの決済により0.5%のPontaポイントが貯まる

KDDIでは、今後ともパートナーとともに、都市と地方のヒト・モノ・コトをつないで社会課題を解決し、新たな価値創出を図っていくとしています。

運転免許を返納したあとも、外に出る機会を与えてくれる

このあとゲストとして、タレントの安田美沙子さんと関根勤さんが登壇。トークセッションで、安田さんは「息子が2人いるので、mobiのようなサービスがあると本当に助かります」、関根さんは「定年退職後、ちょっとした移動に活用できそう。積極的に外に出る機会を与えてくれるでしょう。免許も安心して返納できますね」と話しました。

  • ゲストの安田美沙子さん(左)と関根勤さん(右)

KDDIだから実現できることがある

質疑応答には、高橋社長、村瀬氏、松田氏が対応。

KDDIはMaaS(Mobility as a Service)におけるどの分野に注力していくのか、との質問に高橋社長は「今回はMaaSのくくりではなく、パートナーさんの向こうにいるお客様に、どのように新しい生活スタイルをお届けしていくか。そんな観点で進めています。今後、さまざまな『移動に通信が組み込まれたサービス』にトライしていく方針です」と回答。

KDDIがmobiに寄与する技術について聞かれると、「WILLERさんとは今年(2021年)の4月ごろから話をしてきました。KDDIだからこそ実現できることが2つあります。1つは人流データの分析。お客様がどう移動されているか、傾向を知ることができるわけです。2つめですが、いま我々はお客様にauに契約いただいたあと、どれだけ深くお付き合いしていけるかを考えているところ。mobiはサブスクリプションサービスということで、生活エリアの2km圏内で、どんな新しいサービスをご提供できるか。より充実したものができるのでは、と考えているところです」(高橋社長)。

同じ質問に対し、村瀬氏は「Withコロナの時代になり、人々の生活様式が大きく変わりました。そこで、必要とされる移動サービスを考えました。これがあったら便利、というだけでなく、KDDIさんの情報やデータを掛け合わせることで、どれだけ新しい価値を創造できるか、新しい行動変容を起こせるものをどれだけ作っていけるか。ここが重要なポイントだと思っているんです。まずは、いろいろな地域で取り組みを進めていきます」としました。

今後のエリア展開について、村瀬氏は「地方には地方のmobiの必要性があり、大都市には大都市の必要性があると思っています。先行するエリアでは、4割ほどの方が『移動総量が増えた』と回答、7割ほどの方が『生活スタイルが変わった』と回答しています。大都市、地方都市それぞれで展開しながら、地域に新しい価値を創造することをKDDIさんと一緒にやっていければと思っています」。

高橋社長は「地域の利便性を良くするため、いろいろトライされている方々が(各地に)たくさんいらっしゃる。そうした方々とも意見交換しながら、素晴らしいサービスを横展開して、自然に全国に広がっていくことを期待しています」としました。

タクシー業界との棲み分けについて聞かれると、村瀬氏は「1つひとつ丁寧に話をしながら、地域の交通事業者さん、自治体・行政の皆さんと進めていければと思っています」と回答しています。