大日本印刷(DNP)は12月6日、ブロックチェーン技術を活用した画像ライセンス(利用許諾)販売を行うためのビジネスモデルの構築を目指した実証実験を開始すると発表した。著作権者や所有者の許諾を得るようなライセンス処理の負荷を軽減し、これが個人クリエイターらの利便性向上に寄与するかを検証するという。

近年はオリジナルのアート作品(一次創作物)を構成要素とした二次創作物や、クリエイター間のさらなる連鎖による「n次創作物」が世界的に広がっているという。令和元年度の経済産業省の調査によると、「n次創作物」による顕在的な国内市場が年間約1兆2000億円とされている一方で、ライセンス処理ができないために「n次創作物」が販売できない潜在的な市場が年間約1兆4000億円規模になると推測されているとのことだ。

そこで同社は、ブロックチェーン技術を活用したライセンス販売を行うことで安全安心な「n次創作」の活動を支え、潜在的または顕在的なコンテンツ関連市場の活性化に努めるる。今回はその具体化に向けて、実証実験を2回に分けて実施する予定だ。

実証実験の第1弾では、クリーマが運営するハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」において、フランス国立美術館連合(RMN -Grand Palais)が保有し、DNPアートコミュニケーションズが提供するアート画像を使った創作作品のテスト販売を開始する。人気クリエイターのニーズをヒアリングし、購入者が希望する価格条件や作品ジャンルの需要、サイト利用条件などを調査するとのことだ。

  • 「Creema」内作品販売ページのイメージ

また、第2弾では実証実験サイト「イメージアーカイブ・ラボ(Image Archives Lab)」を立ち上げて、個人クリエイターらが「n次創作」で活用できるようにブロックチェーン技術を実装し、アート画像のライセンスを販売する予定だ。なお、実証実験の第2弾は2022年春ごろから開始する予定である。