日立製作所(日立)は10月5日、企業内システムとパブリッククラウド間を連携するハイブリッドクラウドにおいて、複数の拠点に散在しているデータを、場所を意識せず自在なデータ利活用を可能にするハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi」の提供を開始すると発表した。
「EverFlex from Hitachi」は、日立のストレージの仮想化技術をはじめとするデータ管理・運用技術を企業内システムからクラウドへと適用範囲を拡大し、ハイブリッドクラウド環境のさまざまな課題を解決するデータ連携基盤を導入・利用することを可能にするソリューションやそれらを支える製品群を提供する。提供価格は個別見積もり。
その要となるのが、ストレージやサーバー、関連クラウドサービスなどの製品やサービスを、従量課金・月額課金などのサブスクリプション型から売切型の利用形態で提供するソリューション「As a Service型クラウドソリューション」だ。
日立のストレージ仮想化技術は、他社のストレージおよび旧機種を含め300機種を超えるストレージを1台のストレージとして仮想的に扱うことができる技術。この企業内システムのみに適用していた同技術をパブリッククラウドまで拡張するデータ連携基盤として、新エンタープライズストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP) 5200、5600」と、新日立ソフトウェア・デファインド・ストレージ「Hitachi Virtual Storage Software for block(VSS for block)」を追加し、企業のクラウド活用、クラウド移行、クラウドネイティブ構築を支援する。
クラウド活用支援に関しては、ストレージの仮想化によって企業内システムとクラウドと連携し、企業システム内のデータをAWS(Amazon Web Services)などのクラウド上にバックアップすることが可能。データ管理や運用を統合し、サイロ化・多様化の隠蔽につなげる。
またクラウドの移行についても、業務のクラウド移行に伴うデータ移行負荷を極小化することができるとしている。具体的には、Veeamなどのソフトウェアを活用して、AWSなどのクラウドへ業務を移行する場合に、ストレージに仮想化によりクラウドと連携し、データのバックグラウンドコピーを実現する。
さらにクラウドネイティブ構築についても、ストレージ仮想化によりクラウド上で構築した開発・テスト環境などを企業システムと連携したり、また新規業務立ち上げにともない、クラウド上で業務システムを構築することも可能だという。
これらを実現する新エンタープライズストレージ「VSP 5200、5600」は、長期的なデータ連携に伴う煩雑なデータ移行作業を削減するため、データへのアクセスを中断することなく、ストレージコントローラのみを日立のストレージ次機種のコントローラへアップグレードすることが可能。
これによりシステムの運用負荷が低減できるほか、記憶媒体を継続して利用し廃棄物を削減することにつながる。また、データ圧縮時の処理性能は従来機に比べ約40%向上。圧縮率も向上させ記憶媒体の使用効率を高めることで、消費電力を約65%低減しているという。
「VSS for block」は、汎用サーバーであるx86サーバー上で稼働するソフトウェア・デファインド・ストレージ(ストレージを仮想化するアーキテクチャ)。日立独自技術により、ノード間でデータを冗長化することが可能で、日立ストレージから継承したデータ保護技術適用している。また、最小構成x86サーバ×5ノードで、1ノード単位で、最大32ノードまで拡張することができる。
日立は今後、ハイブリッドクラウド向けソリューションを拡充し、多様化するデータ利活用のニーズに対応し、企業のデータドリブンな経営を支援していく方針だ。