これまでビジネス向け製品ラインナップに注力してきたVAIOから、ひさしぶりに一般家庭向けの15.6型ノートPC「VAIO FL15」が登場しました。なんと同社初となるAMD Ryzenプロセッサを採用した点が特徴で、コストと性能のバランスを高い次元で両立したとのこと。今回はこの製品の使い心地についてお知らせします。

  • 「VAIO FL15」

VAIO FL15は、ひさびさに登場する一般家庭向けとして位置づけられた製品です。なんと約8万円から購入できるという競争力の高い価格設定が特徴で、これには同社初となるAMD Ryzenプロセッサ搭載が貢献。4コア4スレッドの強力なZen 2ベースのCPUに加え、AMD Radeonグラフィックスを内蔵して快適な操作が行えるとのこと。ストレージ容量は256GBと十分なサイズが確保され、インタフェースもNVMe(PCIe 3.0)の高速なものが採用されています。

また、デザイン面にも妥協は見られません。ひと目見て“VAIOだ”とわかるスタイリッシュな外観は健在で、ディスプレイを開くとキーボードが持ち上がるエルゴリフトヒンジももちろん採用。ボディカラーはブラック、シルバー、ホワイトの3色をラインナップしており、インテリアにあわせたものが選べるようになっています。さっそく外観からチェックしていきましょう。

  • 外箱から引き出した化粧箱はとてもシンプル。PC本体は布製の袋に収められていました

  • 今回お借りしたのは明るい印象のホワイトモデルです。インテリアの雰囲気を損ねません

  • 天板には大きくVAIOのエンブレムがあしらわれます

  • 排気口はディスプレイのヒンジ部に配置されており、温風が手に当たらないようになっています

  • キーボードはテンキーを含む日本語レイアウト仕様。電源ボタンは右上のLEDと一体化しており、BackSpaceキーなどとの押し間違いが起こることはありません

  • タッチパッドは広々としており、上下左右に快適な操作が行なえます。クリックボタンは独立しており、押してもカチカチうるさくありません

  • 本体重量は実測1,749gでした。家の中で多少持ち運んでも苦になりません

お手頃価格のリビング用ノートPCには質感がそこまで優れないものもありますが、VAIO FL15ではしっかりVAIO品質を確保しているという印象。チープさはなく、本体がしっかりしていて剛性感も上々です。キーボードはディスプレイを開くとせり上がりますが、打鍵しても本体がガタつく心配は全くありません。レイアウトも一般的で、快適にタイピングを行えました。

  • 左側面。左からUSB 3.0 Type-A、オーディオミニ端子、microSDスロット

  • 右側面。左からHDMI、USB 3.0 Type-C(USB PD、DP Alt対応)、電源端子

インタフェースはとても充実しています。両側面にUSB Type-A端子を備えることで、これまで使ってきたデバイスも問題なく使用可能。映像出力用にHDMIを搭載するほか、USB PDとDisplayPort Altモードに対応するUSB Type-C端子も搭載します。USB PDは本体への給電を行えるというもので、手持ちの67W充電器では問題なく動作中の充電も行えました。

  • 付属のACアダプターは19V 2.1A出力です

なお、VAIOが15.6型として展開している「VAIO S15」には光学ドライブを搭載していますが、本製品ではユーザーの使用頻度減少を受けて搭載しなかったとのこと。必要に応じて外付け光学ドライブを用いていくことになりそうですが、大半のユーザーにとって大きな問題にはならないと思います。

旧ノートPCからの乗り換えで快適さを体感できる確かな性能向上

性能面に目を向けてみると、CPUにはAMD Ryzen 3 4300Uを搭載し、快適な性能を実現したところがポイント。メモリも8GBのデュアルチャネル仕様で、内蔵するAMD Radeonグラフィックスの性能を最大限に引き出します。ストレージも256GB搭載し、しかもインタフェースは高速なPCIe 3.0接続をサポート。ディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)のノングレア仕様のものを組み合わせており、しっかり使っていける隙のない構成になっています。数値で性能を検証してみましょう。

  • CPU-Z

  • GPU-Z

  • PCMark

  • Speedometer

とはいえ、各種ベンチマークの結果を見せられてもよくわからない…という方も多いのでは。そんな場合は、今お使いのPCで「Speedometer」を実行してみましょう。ブラウザだけでかんたんにPC性能を計測できる上、2分くらいですぐに終わります。個人的にPC操作の“サクサク感”を最も端的に知れるテストだと思うので、今お使いのPCの計測値と上記の数字と比較してみてください。

内蔵するAMD Radeonグラフィックスの性能は必要十分な水準。比較的軽量な3DMark Night Raidは平均30fps前後で描写され、ドラゴンクエストXの評価では「とても快適」になりました。規模にもよりますが、マインクラフトをちょっと遊ぶ程度なら十分なレベルだと思います。

  • 3DMark Night Raid

  • ドラゴンクエストX(最高設定、フルHD、フルスクリーンモード)

最後に、バッテリー性能についてもチェックしました。PCMarkのModern Officeモードで6時間26分という結果で、これはJEITA 2.0基準の公称約7.5時間よりはやや短くなりました。とはいえ、家の中で少し電源から離れて使うようなシチュエーションなどでは問題にならないでしょう。

この値段でVAIOのちゃんとしたおうちノートパソコンを購入できる!

VAIOといえばしばらく高い機動力を実現したビジネスモデルの展開が続いていましたが、今回AMD Ryzenプロセッサを搭載する意欲的な一般利用者向けモデルの展開がスタート。第一弾となる本製品は約8万円で購入できるという価格設定を実現しながらも、快適に使用できるしっかりした性能を両立することに成功しています。

また、安いからといって品質を損ねないものづくりへの姿勢は非常に好印象。VAIOはしっかりしてて安心! という利用者の期待を全く裏切らない品質が確保されています。VAIO FL15なら、シビアな予算感が要求されるリビング向けのPCとして、きっと高い質感と快適な性能で応えてくれるはずです。