プライベートリレーとは、iOS 15から提供が始まった「iCloud+」に含まれるプライバシー保護機能です(9月21日現在β版)。機能を有効にすると、Safariを利用したWEBサイトの閲覧履歴や接続元情報(IPアドレス)が匿名化されます。どのようなWEBサイトにいつアクセスしたのか、といったWEBブラウジングにまつわる行動は誰にも追跡できなくなるのです。
プライベートリレーを有効化すると、接続先WEBサイトの情報(URL)が暗号化され、利用者のIPアドレスとともにiCloudへ送信されます。するとiCloud側で利用者のIPアドレスが暗号化され、暗号化済URLとともにリレーステーション(提携サーバ)へと送信されます。最後にリレーステーションで暗号化済URLを復号化(暗号解除)すれば、第三者に解析されることなくWEBサイトへアクセスできるというしくみです。
この技術のポイントは、暗号化されていないURLとIPアドレスの両方を把握できるのは利用者以外に存在しないことです。だからプライバシーはこれまでにないレベルで保たれますが、一方で利用に問題が生じるサービスも存在します。
たとえば、NTTドコモはプライベートリレー有効時にdアカウントの2段階認証およびiチャネル(NTTドコモが運営する情報配信サービス)に影響が出ることを明らかにしています。ソフトバンクも、プライベートリレーを有効にすると一部料金プランにおいて動画SNS放題の対象とみなされないことがあると案内しています。
ロイターの報道によれば、Appleは一部の国/地域でプライベートリレーを提供しない方針を明らかにしています。規制上の理由とのことですが、それだけ高い匿名性を実現できることの裏返しといえるでしょう。