日立製作所(日立)と東京大学 生産技術研究所(東大生研)は9月2日、超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を共同で研究開発したと発表した。

ビッグデータ基盤のデータベースエンジンにおける処理方式を、エネルギー効率最適化の視点で抜本的に変更することで、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理をを実現したという。

具体的には、データベースエンジン内のストレージにおけるアクセスされていない領域の電源をオフにし、必要な際に遅延なくアクセスでき、省エネルギー効果を最大化する電源オン・オフ管理に必要となる超精密モデルとそれを基にした電源管理機構を開発し、データベースエンジンに適用した。

また、超精密モデルを基に、省エネルギー化の観点から最適なハードウェアの電源制御を定義し、データへの問い合わせ実行中に最適なデーターベースアクセスを判断する動的問合せ最適化方式を確立したとしている。

さらに両者は商用利用を想定して、開発したデータベースエンジンを設計・実装し、それを活用して消費電力のピークカット機能などの設計・実装を行った。

これらの商用利用を想定した効果検証として、鉱山露天掘りの機器稼働管理IoTシステムを模した実証実験を実施。実証実験では、鉱石を積み込むトラックに設置したセンサーから2週間分の積載量データを取得し、データ分析処理におけるエネルギー効率の評価を行った結果、一般的に利用されている従来型のデータベースエンジンと比較し、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を確認したという。これにより、データ分析処理の省エネルギー化を実現し、CO2排出量の削減にもつなげることができる。

両者は今後、同技術を活用した超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実用化を目指す