シャープは、手持ちのスマートフォンと連携し、自宅にいながら遠隔でフィッティングやアフターサービスまでプロによるサポートが受けられるという、ワイヤレスイヤホンスタイルの耳穴型補聴器「メディカルリスニングプラグ」を9月中旬以降に発売する。価格は99,800円(非課税)。

  • メディカルリスニングプラグ(MH-L1-B)

  • 装着イメージ

シャープはヘルスケア事業領域の中で「オンライン診療ソリューション」に取り組み始めており、ICTを活用した新たな医療ソリューションの創出に向け、医療機器製造販売業者のニューロシューティカルズ(NCI)との資本業務提携契約を2020年6月に締結している。今回はその協業第一弾として、軽度・中等度難聴者向けのメディカルリスニングプラグを共同で商品化した。すでにスマホの操作になじんだ“働き盛り世代”をターゲットにしており、シャープの直販サイト「COCORO STORE」のほか、家電量販店や通販サイト、ドラッグストアなどで同製品を順次展開する。

コロナ禍におけるニューノーマル生活においては、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、オンライン会議の増加などにより、会話時の聞き取りづらさを自覚する人がコロナ禍前と比べて約1.5倍に増えているという。一方で、補聴器を装用することへの抵抗感や、価格面での負担感など、利用へのハードルを感じる人も多いことから、国内の難聴自覚者における補聴器の所有率は約14%に留まっているとのこと。

メディカルリスニングプラグは、補聴器としての基本性能を備え、管理医療機器の認証も取得しながら10万円を切るリーズナブルな価格を実現(医療機器認証番号:303AFBZX00058000)。さらに対面サービスへの不安を払拭するソリューションとして、認定補聴器技能者による聴力チェックやフィッティングサポートをリモートで提供する。

一般的な補聴器の両耳(2台)分の平均価格は30万円程度とされ、さらにフィッティングのために販売店に複数回(3~10回程度)通う必要があるという。メディカルリスニングプラグはスマートフォンとBluetoothで接続し、専用アプリによって各種設定・操作ができるだけでなく、インターネット経由でプロによる遠隔サポートが受けられるのが特徴だ。また、長期間の保証サービスなどをオプションにすることで初期費用を抑え、リーズナブルさを打ち出す。

  • スマートフォンとBluetoothで接続して各種設定、リモートでのプロによるサポートが受けられる

聴力チェックを通じて行う初期設定や、使用開始後のビデオカウンセリング、聞こえ具合の微調整などのフィッティング、聞こえ具合のトレーニング、日々使用する中での相談などのすべてを、販売店に通うことなく自宅にいながら手軽に行えるとしており、これらはシャープの「COCORO LISTENING」サービスを通じて提供する。

  • スマホアプリの画面イメージ

オフィスで働く人や、ホテルやレストランの接客スタッフ、建設現場のエンジニアといった、さまざまな職場や通勤時の利用、休日の家族団らん時の利用など、利用環境に応じたシーン設定に対応。設定データをプロが10シーン作成し、最大4つまで本体に登録可能で、スマホアプリから別のシーンに変更することもできる。

また、補聴器として使うだけでなく、ワイヤレスイヤホンのように音楽を聴くことが可能。小型なサイズ感や音質の高さなどを考慮して米Knowles製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを採用し、中高音域は「繊細で澄みわたるような広がりのある音」が楽しめるという。さらに、本体内蔵のマイクを使ったハンズフリー通話にも対応する。

メディカルリスニングプラグには以下の3機能を搭載している。

  • リスニングモード:補聴器機能として、個人の聞こえ具合に合わせて会話を聞き取りやすくするモード
  • ストリーミングモード:ワイヤレスイヤホンのように、スマートフォンなどで再生した動画の音声や音楽などを楽しめるモード
  • ハンズフリー通話:本体内蔵のマイクを使って、スマートフォンでの通話時やオンライン会議時などにハンズフリーで会話可能

本体には「ビジネスシーンにマッチし、メガネや時計のように日常的に身につけたくなるスタイリッシュなデザイン」を採用し、IPX4防水/IP6X防塵に対応。本体に備えている銀色のタッチボタンをタップするだけで、上記3モードを切り替えられ、音量調整にも対応する。通信機能はBluetooth 5.0に準拠し、コーデックはSBCに加えてAAC、aptXもサポートする。対応プロファイルはHFP、A2DP、AVRCP。対応OSはiOS 13以上とAndroid 8.0以上。

  • 充電ケースに収納したところ

  • ビジネスシーンにマッチするようなデザインを採用

内蔵のリチウムイオン充電池で動作し、リスニングモード(補聴器機能)では単体で約20時間、充電ケースと組み合わせて最大約55時間使えるという。ストリーミングモード(動画・音楽再生時)では単体で約6時間、充電ケース併用時は約16時間使用できる。充電ケースはUSB Type-C充電に対応。さらに内蔵のスライド式USB Type-Aコネクタによって、PCからケーブルレスでダイレクトに充電することもできるという。イヤホン本体の重さは片側5.8g。

  • PCからケーブルレスでダイレクトに充電するイメージ

「COCORO LISTENING」サービスでは商品購入後60日間、聞こえ具合の調整などをするフィッティングサポートが無料で何度でも受けられるが、有料オプションとして提供する「ケアプラン」(33,000円)に加入すると、1年間のフィッティングサポートに加え、5年間の延長保証と盗難・紛失補償が受けられる(補償サービスは別途自己負担金がかかる)。ほかにも、フィッティングサポートを60日間追加できる「リモートフィットサービス」(11,000円)も用意するなど、購入後も安心して利用できる体制を整える。

  • 製品内容