グーグルが新しい左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds A-Series」を発売します。2020年に登場した初代モデル「Google Pixel Buds」との違いにも注目しながら、新製品のファーストインプレッションを報告します。
初代機の機能・デザインを受け継ぎ、価格を下げたAシリーズ
スマホのGoogle Pixelにも廉価版の「Aシリーズ」があります。Googleの完全ワイヤレスイヤホンもスマホと同様、AシリーズはPixel Budsの弟機として価格が半額に近いほど安価になりながら、音楽再生とハンズフリーコミュニケーションのための先進機能をほぼそのままに受け継いでいます。
Pixel BudsとPixel Buds A-Seriesの違いは下記のポイントに集約されます。
1. 価格 |
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Google Pixel Budsは20,800円。Google Pixel Buds A-Seriesは11,900円 |
2. 「A-Series」で省かれた主な機能 |
・ワイヤレス充電対応のケース |
・赤ちゃんの泣き声や犬の吠える声など音声イベントを自動検出して、音量を一時的に下げる「アテンションアラート」 |
・イヤホン側面のタッチセンサーリモコンによる音量のアップダウン操作 |
3. イヤホンと充電ケースがわずかにサイズダウン |
・イヤホンの質量が5.3gから5.06gに |
・イヤホンを含む充電ケースの質量が66.7gから52.9gに |
4. 本体カラーなどデザインのマイナーチェンジ |
筆者はよくスマホをバッグやポケットに入れたまま音楽を聴くので、ワイヤレスイヤホンから音量のアップダウン操作ができなくなることはそれなりに不便ではあります。ただ、そのほかの主な機能、同梱品(S/M/Lサイズのイヤーチップ、USB-Cケーブル)はA-Seriesもまったく一緒なので、もはやあえてPixel Budsを選ぶ動機が見つけにくくなりました。
バッテリーのスタミナ性能はPixel Budsシリーズの2製品ともに、連続音楽再生はイヤホン単体で約5時間をサポートしています。充電ケースに入れてチャージすれば最大24時間使えるのでスタミナ不足は感じないと思います。
初代機が搭載する充電ケースのワイヤレスチャージにAシリーズは非対応ですが、15分間のチャージで最大約3時間の音楽再生、最大約1.5時間の通話が可能になる急速充電には対応しています。イヤホンの形状が同じなのでAシリーズを初代機のケースに入れることは可能ですが、ペアリングが認識されなくなったり、故障の原因にもなりかねないため流用は避けるべきでしょう。
以下からは2020年に発売されたGoogle Pixel Budsを「初代機」、新製品を「Aシリーズ」と分けて呼ぶことにします。
音質の違いは? 軽やかさが特徴的なAシリーズのサウンド
音質に違いはあるのでしょうか。Google Pixel 5にそれぞれのイヤホンをつなぎ替えながら聴き比べてみました。
新しいAシリーズはとても軽やかなサウンドです。12ミリの大口径ダイナミック型ドライバーがパワフルで切れ味鋭い音楽を鳴らし切ります。アップテンポなポップスやロック、EDMがとても心地よく聴けました。
初代機に比べると中高域の張り出しがやや強く感じられました。音場の見晴らしはクリアで良好。ボーカルは余韻の抜け味が爽やか。クラシックのオーケストラでは弦楽器や金管楽器の華やかな音色が楽しめました。
比べながら聴くと初代機はリズムの打ち込みが柔らかく安定しています。長時間聴き込むと“疲れにくさ”の点でわずかに初代機の方が有利かもしれません。Bluetooth設定からアクセスできる「バスブースト」の機能を使うとAシリーズもまた低音の量感が整い、全体的な音のバランスが柔らかくニュートラルになる感触が得られます。聴く音楽のジャンル、まわりに騒音が多い場所かなど環境によってうまくバスブーストを使うと良いでしょう。
Aシリーズもまた初代機と同様に、BluetoothオーディオのコーデックはベーシックなSBCのほか、iPhoneによる音楽再生の実力を引き出せるAACに対応しています。
Bluetooth設定からアダプティブサウンドをオンにすると、周囲の騒音量に合わせて再生しているサウンドの音量を自動的に持ち上げてくれます。騒音の多い地下鉄の中で音楽を聴く時などに有効化するとよさそうです。
筆者はキッチンで料理や水仕事をしている時に若干音が聞こえづらくなるため、初代機ではいつもアダプティブサウンドをオンにしています。
ただし、バスブーストとアダプティブサウンドはiPhoneにペアリングすると使えません。Pixel BudsシリーズをiPhoneで使う場合の注意点は後ほどまた触れたいと思います。