iOS 14.3から、標準装備のカメラアプリで「Apple ProRAW」がサポートされました。2021年8月現在、iPhone 12 Pro/Pro Maxの2モデル限定の機能ではあるものの、iPhoneのカメラ性能を限界まで引き出せる撮影が可能になるわけですから、どのような特性を持つか知っておいて損はありません。

Apple ProRAWで撮影した写真には、ふだんの設定で撮影した写真(HEIF/JPEG)よりも多くの情報が含まれています。たとえば、HEIF/JPEGで撮影した写真は8ビット/256階調ですが、Apple ProRAWは12ビット/4,096階調です。データは可逆圧縮(ロスレス)されるため、イメージセンサが捉えた画像そのままを復元できるうえ、スマートHDRやDeep FusionといったiPhone独自の機能を反映させられることもポイントです。

つまり、Apple ProRAWは被写体を「かぎりなく撮影時点に近い」状態で保存できます。階調情報の豊富さは細かい色合いおよび明るさの表現につながり、撮影後に写真の輝度を思い切り上げ下げしてもノイズが目立ちません。撮影後に色あいや明るさの微調整を行うとき、柔軟に対応しやすくなるのです。

ということは、永久保存したい写真、できるだけ高画質にしたい写真は、Apple ProRAWで残すことがベストといえます。初期設定では無効化されているため、撮影前に『設定』→「カメラ」→「フォーマット」の順に画面を開き、「Apple ProRAW」スイッチをオンにしておきましょう。これで、撮影時点でカメラアプリ右上にある「RAW」ボタンをタップすれば、Apple ProRAWで撮影できるようになります。

ただし、Apple ProRAWは情報量が多いぶん巨大です。ファイルサイズはHIEF/JPEGの10倍から12倍になるため、気軽に撮りまくるとすぐにストレージ不足になりますよ。

  • Apple ProRAWで撮影したほうがいい場面とは