Samsungは8月11日、折りたたみ式(フォルダブル)スマートフォン「Galaxy Z」シリーズの新製品となる「Galaxy Z Fold3 5G」を発表した。新たに防水やS Penに対応するなど、完成度をさらに向上。米国での価格は、前モデル(Galaxy Z Fold2)の1,999ドルから1799.99ドルへ引き下げ、Samsungは「価格の障害をクリアした」と話している。
Galaxy Z Foldシリーズは、開くとタブレット、折りたたむとスマートフォンになるフォルダブル端末。2019年に初代Foldが登場、2020年のZ Fold2に続いて、今回のZ Fold3 5Gで3代目となった。
フォルダブル端末はSamsung以外にも複数のメーカーから登場しており、市場規模は2019年の70万台から2020年には220万台に拡大。2021年は650万台まで成長するとみられており、2025年までには1億1,720万台に達すると予測されている。成長率は年平均113%で、Samsungはフォルダブル市場のリーダーを目指す。
そうした中で登場したZ Fold3は、ユーザーのフィードバックにもとづいてさらなる機能強化を図った。特に、Z Fold2ユーザーから最も寄せられたリクエストは、防水、S Pen対応、より薄型軽量なボディ――という3点とのこと。
より薄型軽量というニーズに対しては、外装に新規開発のアーマーアルミニウムを採用。現在のスマートフォンで使われているアルミ素材の中では最も堅牢な素材としており、従来のアルミとアーマーアルミニウムで作られた部材をぶつけ合うと、従来のアルミ側にしか傷が付かないという。
これを外装フレームとヒンジ部に採用し、表側のカバースクリーンには従来のGorilla Glass 6よりも50%強いGorilla Glass Victusを搭載。折りたたむ側のメインスクリーンには、新たなフィルムによって80%以上の堅牢性を実現した。
また、新たにIPX8の防水性能を備えることにも成功。内部にシーリングを施し、折りたたみ端末ということで空白なスペースが多いボディながら、内部にまで水が浸透しないデザインを設計。1.5mの深さの水中に30分置いても、浸水しないレベルの防水性能となった。
それでありながら、従来の高さ159.2×幅68.0×奥行き16.8mm・282g(折りたたみ時)から、高さ158.2×幅67.1×奥行き16.0mm・271gに小型軽量化を達成。特に、重さが11g削減されているのは大きなメリットだろう。
待望のS Pen対応
手書き入力用のS Penにとうとう対応。Samsungのスマートフォン「Galaxy Note」シリーズなどが採用するS Penは、ワコムの技術による快適な入力に定評がある。従来は折りたたみ構造のためにペン入力ができなかったが、いよいよS Pen対応が加わった。
Galaxy Noteのように本体には収納できないが、専用ケースにはS Penの収納スペースがある。Bluetooth Low Energy(BLE)対応のS Pen Proと、S Pen Fold Editionという2種類のペンが用意される。
今回もワコムの技術を採用しており、初代Galaxy Note以来、ワコムとGalaxyの協業は10年間となった。Z Fold3について、ワコムの井出信孝社長は「S Penの技術を新製品に最適化し、より特別なものに進化させた」とコメント。ペンの構造をチューニングするなどして、Z Fold3の折りたたみ構造でも最適な書き味になるようにしたという。
S Pen ProはBLEに対応するため、ボタンを押してペンを振るジェスチャー操作「Air Action」が使える。一方のS Pen Fold Editionはよりコンパクトなペンで、Air Actionには対応しないが、ペン先を画面に近づけるとランチャーなどが立ち上がる「Air Command」は利用できる。
S Penの機能では、通常の手書きメモなどの機能に加え、ブラウザのアドレスバーなどの入力欄に直接手書き文字を書き込むことができる。手書き文字は英語以外に日本語もテキスト変換可能で、そのままWeb検索を行う、といった操作に対応する。
また、S Pen Proはマルチペアリングをサポートしており、Z Fold3からGalaxy Tabといったように、接続先を簡単に切り替えることが可能。S Pen Proは全長が173.64mm、重さが13.8g。S Pen Fold Editionは132.1mmで6.7g。ペン先はどちらも同じだ。
UIもさらに最適化。アプリの画面において、タブレットモードでより使いやすい画面構成にした。アプリベンダーとの協業も強化し、例えばマイクロソフトのOfficeやTeams、GoogleのYouTubeやGoogle Duo、さらにSpotifyなど、大手ベンダーがタブレットモードのUIを最適化できるようフォローしている。
フレックスモードは、ノートPCのように途中まで折りたたんだ状態で自立させる。画面半分に動画、下半分にコメントを表示するYouTubeのように、Teamsアプリでも専用UIが表示されるようになった。Teamsでは手書き文字をリアルタイムで配信することも可能。
新たにタスクバー機能も用意。画面右側に常時表示されるタスクバーによって、Windowsのようにアプリ起動や切り替えがすばやく行える。また従来通り、複数のアプリを並べて起動するマルチタスキングもサポート。Webサイトのリンクを画面外にドロップすると、新規ブラウザを起動して2つ並べて表示し、2つのサイトを見比べながら閲覧できる。
UIの最適化に関して、基本的にはアプリ側の対応が必要だが、設定の「Labs」からすべてのアプリを強制的に最適化する機能も搭載。これをオンにすると、マルチタスキングによってどのアプリでも画面上に分割して2画面表示ができるようになっている。
そのほか、ディスプレイの輝度が29%向上。従来はメインスクリーンのみだった120Hzのリフレッシュレートが、カバースクリーンでも対応した。ステレオスピーカーも搭載しており、タブレットモードの大画面だけでなく、コンパクトに持ち運べるスマートフォン状態でもゲームを快適に楽しめるとしている。
カメラはフラッグシップクラスのものを搭載したとのこと。背面のメインカメラはいずれもセンサーが12MPで、超広角・広角・望遠(2倍)というトリプルカメラを搭載。カバーディスプレイ上にあるカバーカメラの画素数は10MPだ。レンズにはSuper Clear Glass with Gorilla Glass with DXを採用し、レンズとしての画質が向上している。
メインスクリーン上のインカメラは、Z Fold2ではパンチホール型でディスプレイ内に穴が空いている状態だったが、Z Fold3ではディスプレイ下にカメラを収める「Under Display Camera」となった。一見するとカメラの穴が見えず、全画面表示をした状態での没入感が高まっている。
本体はマット仕上げで、カラーとしてPhantom Black、Phantom Silver、Phantom Greenの3色を用意。Z Fold3 5Gという名前の通り、ネットワークは5Gにも対応。Sub6とミリ波をサポートする。SoCは国と地域によって異なるが、SnapdragonとExynosのいずれかとなる。発表時点では日本での発売は明らかにされていないが、S Penの手書き入力で日本語変換機能も搭載されていることもあり、発売は期待できるだろう。
なお従来と同じく、ファッションブランドとコラボレーションしたThom Brown Editionも発売される。オリジナルデザインのZ Fold3や同時発表のGalaxy Watch4などを同梱する。
モデル | Galaxy Z Fold3 5G | Galaxy Z Fold2 |
---|---|---|
メインディスプレイ | 7.6インチDynamic AMOLED 2X Infinity Flex Display | 7.6インチDynamic AMOLED 2X Infinity Flex Display |
解像度 | 2,208×1,768 | 2,208×1,768 |
カバースクリーン | 6.2インチDynamic AMOLED 2X(24.5:9) | 6.2インチSuper AMOLED(25:9) |
解像度 | 2,268×832 | 2,260×816 |
サイズ(タブレット時) | 128.1×158.2×6.4mm | 128.2×159.2×6.0~6.9mm |
サイズ(スマートフォン時) | 67.1×158.2×14.4~16.0mm | 68.0×159.2×13.8~16.8mm |
質量 | 271g | 282g |
リアカメラ | 超広角(12MP、画角123度、1.12μm、F2.2) | 超広角(12MP、1.12μm、F2.2) |
広角(12MP、画角83度、1.8μm、OIS、デュアルピクセルAF、F1.8) | 広角(12MP、1.8μm、OIS、スーパースピードデュアルピクセルAF、F1.8) | |
望遠(12MP、画角45度、1.0μm、OIS、F2.4、2倍光学ズーム、最大10倍デジタルズーム) | 望遠(12MP、1.0μm、F2.4) | |
メインスクリーンカメラ | Under Display Camera:4MP、画角80度、2.0μm、F1.8 | フロントカメラ:10MP、1.22μm、F2.2 |
カバーカメラ | 10MP、画角80度、1.22μm、F2.2 | 10MP、1.22μm、F2.2 |
SoC | 5nm 64bitオクタコアプロセッサ | 7nm 64bitオクタコアプロセッサ |
SIM | eSIM×1、nanoSIM×2 | eSIM×1、nanoSIM×1 |
メモリ | メモリ12GB+ストレージ512GB(UFS3.1) メモリ12GB+ストレージ256GB(UFS3.1) |
メモリ12GB+ストレージ512GB(UFS3.1) メモリ12GB+ストレージ256GB(UFS3.1) |
バッテリー | 4400mAh | 4500mAh |
オーディオ | ステレオスピーカー+Dolby Atmos | ステレオスピーカー+Dolby Atmos |