Beats by Dr. Dre(以下、Beats) は、アクティブノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン「Beats Studio Buds」の受注を、Apple.comを通じて開始した。価格は17,800円。カラーはブラック、ホワイト、Beatsレッドの3種を用意している。
Beats Studio Budsでは、Beatsのシグニチャーサウンドをポケットに収まるワイヤレスイヤホンとして提供することになる。本体サイズは高さが15.6mm、重さは5.1g。IPX4等級の耐汗耐水性能を備える。
Beatsによれば、本製品はトランスデュサー(変換器)を中心に据えて設計しているとのことで、全てカスタム設計による2枚の振動板を採用した特別なものだ。8.2㎜ドライバーは硬質なピストン軸を柔軟なハウジング内に搭載したことで、パワフルでバランスのとれた音響を実現する。デュアルチャンバーの音響構造によって高度なステレオセパレーションを達成し、周波数カーブ全体で高調波歪率を低減することによって、アーティストが意図した音を忠実に再現する。
レコーディングの現場では「ミックスの中で調整する」といったことがよく言われるが、Beatsとしては、そういった考え方には同意できないという。高再現性の観点からは、ヘッドホンがどんな音を再生できるかが大切で、それがエンドユーザーにとって重要なのだというのがBeatsの考えだ。
2つのリスニングモードでは、リスナーの気分にマッチした聴き方が選べる。ANC(アクティブノイズキャンセリング:周囲のノイズや環境音をシャットアウトする機能)では、リアルタイムの適応型ゲインコントロールが風切音や周囲の音を遮断する。ANCがオンの最中でも、クリアなサウンドを再生するために、ソースファイルをモニタリングするアルゴリズムを採用。同時にオーディオに影響する歪みを1秒間に最大48,000回修正、除去する。
もう1つのモード、外部音取り込みモードはANCモードではノイズとされている周囲の音も聞こえるようにできる。イヤホン本体の「b」ボタンを長押しすれば外部音取り込みモードに入り、ANCモードとの切り替えもスムーズに行える。
先述のトランスデュサーでは、これら2つのリスニングモードのための特別な設計も施されている。
外部音の取り込み機能では、ノイズとされている音をいかに自然に聞こえるようにして、ヘッドホンを装着しているのを意識させないレベルまでミックスするかが課題となるわけだが、そこではフィット感が鍵となる。フィット感は音質面でも重要な役割を果たすのだ。Beats Studio Budsでは広範にわたる定性試験と人体測定データを組み合わせながら、千差万別な耳の形状を考慮し、一日中使える快適で安定したフィット感を追求した。シリコン製イヤーチップは新しいデザインが採用されていて、音響ノズル内のドライバーの軸設計には人体工学に基づいた形状が導入されている。これにより、ドライバーの軸が鼓膜の位置と一致するように調整できたとのことである。イヤーチップは3つのサイズを用意。Beatsは以前より、イヤーチップのフィット感や大きさは、音質に影響を及ぼすと指摘しており、ユーザーの耳の大きさにあったイヤーチップを使用してもらうのがとても重要なのだと力説する。人によって耳の大きさや穴の形は異なるので、フィット感や遮蔽性が変わってしまうと音質に及ぼす影響は大きく、他にどんな優れた機能が搭載されていても意味をなさなくなると語気を強めるほどなので、自身に合ったイヤーチップのサイズを必ず確かめていただきたい。
また、通話に際してはデュアルビームフォーミングマイクがユーザーの声を認識して、こちらも風切音や周囲のノイズを取り除いてくれる。
Beats Studio Budsは、iOSとAndroid(GoogleのFast Pair)にネイティブで対応しており、ともにワンタッチでペアリングが可能なほか、iOSデバイスでは「探す」、Androidデバイスでは「端末を探す」の機能が利用できる。本体が近くにある場合は、サウンドの再生も可能で、見失ったイヤーバッドを素早く見つけられる。Beatsによれば、どちらのエコシステムでも優れた体験を届けられるかが重要だったとのことで、箱から出した瞬間からシームレスな体験ができるようになっているのもBeats Studio Budsの大きな特徴だ。Class 1のBluetoothが搭載されていて、他のBeats製品同様、安定した接続が行える。Android 7.0以降に対応のBeatsアプリでは、ビルトインコントロール、バッテリー残量確認、ファームウェアのアップデートといった機能も利用できる(Appleデバイスはこれらの機能がiOSに内蔵されているのでアプリは不要。Siriによるハンズフリーの音声コマンド操作、Apple Musicで6月に提供を始めたDolby Atmosによる空間オーディオにも対応する)。本製品にはAppleのAirPodsシリーズで採用されているH1チップやW1チップが搭載されていない。代わりにそれらのテクノロジーで培われたノウハウを利用して独自のチップを開発。これによって、iOS/Androidともにネイティブなユーザーエクスぺリンスを提供しているのだ。Beatsとしては、今後ともiOS/Androidに同様のユーザーエクスぺリンスが得られるような方針をとっていく模様で、サポートの体勢も含めて、ここはさらに期待が高まるところであろう。
バッテリー駆動時間だが、連続再生は最大で8時間。ANCまたは外部音取り込みモードをオンにすると最⼤5時間となる。2回分の充電ができるポケットサイズのケースが付属しており、本体チャージ分と合わせると最大24時間(ANCまたは外部音取り込みモード利用では15時間)の使用が可能となる。Fast Fuel機能にも対応しており、5分の急速充電で最大1時間の再生が行える。充電ケースはイヤホンをさらに引き立てるようにするべく、デザインにもこだわり、アイコニックな要素が詰まったフォルムが追求されている。充電用のコネクター部は、iOS/Android両ユーザーの利便性に配慮し、USB-Cによるユニバーサル充電が採用されている。
最後に紛失の場合などによる、交換プログラムについて触れておこう。マイナビニュースでは、度々、完全ワイヤレスイヤホンが「使い捨て」になってしまう可能性を指摘してきたが、Beats Studio Budsは既発の完全ワイヤレスイヤホン「Powerbeats Pro」と同じく、交換プログラムを用意している。詳細はBeats の修理サービス料金ページをご覧いただきたい。また、パッケージについてもBeats史上最少サイズとなっていて、再生資源と責任ある方法で管理された資源を原料とした木製繊維を92%使用している。持続可能性への取り組みに積極的なスタンスをとっていることも評価すべきポイントだろう。
Beats Studio Budsは、機能面ではもちろん、スタイリッシュなデザインで幅広い層にアピールする製品だといえよう。後発という位置付けに甘んじることなく、満を持しての発売になるに違いない。Beats Studio Budsの購⼊者にはもれなくApple Musicの無料体験が最長4か⽉分提供される。Apple Musicでは、Dolby Atmosでミックスされた、空間オーディオをフルに体験できるプレイリストも用意されているので、是非、ご堪能いただきたい。