パナソニックは、料理をサポートする独自機能を搭載したビルトインIHクッキングヒーターの新型となる「Aシリーズ」を発表しました。新モデルではグリル機能を強化しつつ、料理をサポートする「焼き物アシスト」対応メニューが大幅に増えています。

Aシリーズの発売日は9月21日。IHに対応するメタルの種類や製品幅の違いによって、3口タイプを7モデル、2口タイプを2モデル用意。本体価格は328,900~495,000円です。メディア向けの体験会に参加して、フラッグシップモデル「KZ-AN77S」を使った調理を見て来ました。

  • 最新のIHクッキングヒーターのサイズ感をチェックするマイナビニュース・デジタルの林編集長。写真は幅75cmサイズでオールメタルに対応した最上位機種の「KZ-AN77S」です。このほか、同じ機能ながら一回りスリムな幅60cmの「KZ-AN76S」や、鉄・ステンレスにのみ対応する「KZ-AN37S」など、Aシリーズだけで全9種類があります

  • 最新モデルなら冷凍サンマも自動調理でこの焼き上がり! 大きめのサンマを丸ごと5尾、一気に焼ける大型グリルもパナソニックならでは

グリル機能が大きくパワーアップ!

新モデルのAシリーズは、2019年に発売されたパナソニックのIHクッキングヒーターのフラッグシップモデル「Yシリーズ」の後継。Yシリーズは、冷凍食材を解凍せずに自動調理できる「凍ったままIHグリル」、定番料理の調理タイミングを知らせてくれる「焼き物アシスト」といった便利機能が特徴です。Aシリーズでは、この2つの機能がさらにパワーアップしています。

  • 写真はAシリーズの最上位モデル「KZ-AN77S」。外観は従来のYシリーズとほぼ同じ。グリル用の排気口までフラットになっており、アイランドキッチンにもフィットするデザインです

  • 従来モデルから見た目で大きく変わったのは、グリル操作用の液晶画面。Yシリーズはパターン液晶を採用していましたが、Aシリーズはフルドット液晶になって操作がわかりやすくなりました

「凍ったままIHグリル」は、その名の通り凍った食材も自動調理できる機能です。イマドキの高機能グリルは「焼き魚(切り身)」や「グリルチキン」など、料理名を選択すると自動的に火力コントロールする自動調理機能を搭載しています。ですが、ほとんどのグリルは冷凍食材には非対応。焼く前に食材を解凍する必要がありました。パナソニックの「凍ったままIHグリル」は、冷凍保存した食材を凍ったまま自動調理。解凍する時間も手間も必要ないので、忙しい家庭にとってうれしい機能なのです。

ただし、凍ったままIHグリルで調理できる食材は限定されており、魚なら切り身か干物のみ。魚を丸ごと焼くことはできませんでした。そこで最新のAシリーズでは、ユーザーから要望の多かったという冷凍魚の「姿焼き」を、凍ったままIHグリルの調理メニューに追加。加えて、冷凍「トースト」にも対応できるようになりました。体験会の会場では、実際に冷凍サンマを新メニューで焼いて試食することに。

  • 凍ったままIHグリルの新メニュー「姿焼き・中」を使って、大きめの冷凍サンマを一気に5尾、自動調理します。グリルが温度をセンシングするので、調理するサンマの数などを設定する必要はありません

  • グリル内には専用照明もあり、庫内灯を点灯すれば焼き色をチェックすることも可能です

自動調理で焼き上がったサンマを見てみる、並べたサンマすべてにしっかりときれいな焼き色がついています。一般的なグリルは中央に焼き色がつきやすく、ドアや奥側の焼き色が甘くなりがち。サンマをギッチリ並べて焼く場合は、途中で端と中央の魚を入れ替える手間が必要でした。ですが、Aシリーズで焼いたサンマは、魚の位置を途中で入れ替えていないにもかかわらず、グリル皿いっぱいに並べたサンマすべてが均一に焼けているようです。

  • 凍ったままIHグリル機能で焼き上がった冷凍サンマ。端までしっかりと焼き色がつきました

冷凍サンマ調理の美味しさがわかるよう、生のサンマを自動調理したものと比較。焼き上がった冷凍サンマと生サンマを並べてみると……どっちがどっちかわからないくらい、どちらも美味しそう。マイナビニュース・デジタルの林編集長が味を比べてみたところ「どっちも中までふっくらアツアツに焼けてて、正直味の違いがわからない……。冷凍のほうが脂がのってる気がするけど、これはサンマの個体差かな?」とのこと。筆者も食べ比べてみましたが、やはり違いはわかりません。微妙に冷凍サンマのほうが焼き目の香ばしさを強く感じたくらいです。

  • 凍ったままIHグリルで焼いたサンマ。上の3尾はそのまま皿にのせ、下の2尾はサンマを裏かえして盛り付けています。Aシリーズは、グリル下側はIHヒーター、上側は平面ヒーターで食材の上下を同時に焼きますが、下側もしっかり均一に焼けていました

  • 通常のグリルメニューで生のサンマを自動調理したもの。こちらも上3尾はそのまま皿にのせ、下2尾はサンマを裏かえして盛り付け。パッと見ただけでは、冷凍サンマとの焼き色の違いはわかりません

  • 冷凍サンマと生サンマを食べ比べる林編集長。どちらも皮はパリパリ、身はふっくらとした焼き加減で、とっても美味!(このあと2回おかわりをした林編集長……)

冷凍食材を美味しく焼くため、ヒーター設計から見直した

凍ったままIHグリルの進化は、ハードウェアとソフトウェアの両面を改良することで実現しています。ハードウェア面では、まずグリル庫内の上部にある平面ヒーターの形状を改良し、従来製品よりも焼きムラを抑えられるようにしています。冷凍以外のグリル調理でも焼きムラが減り、焼き色が均一になるそうです。さらに、ヒーターの火力も1,250Wにパワーアップしています(Yシリーズは1,150W)。

  • 新旧のヒーター形状。写真左がYシリーズ、右が新モデルのAシリーズ

  • 新旧のヒーターで加熱したときの温度分布を、サーモグラフィーで画像にしたもの。Yシリーズは上下に温度が低い部分があり、これが焼きムラの原因になるそう

凍った食材を美味しく焼き上げるため、ソフトウェア面でも細かな調整をしています。たとえば、サンマの丸焼きといった「姿焼き・中」モードでは、最初に最大火力で温度を立ち上げ、まずは食材内部を解凍。次に、魚の臭みを消すために下ヒーターの火力をアップ、最後に表面と内部をバランスよく焼き上げるために上下ヒーターの火力をコントロールしながら仕上げます。

サンマを美味しく焼くための加熱コントロールを見つけるために、パナソニックではなんと1,000尾近いサンマを焼いたんだとか。「冷凍用メニューは、通常メニューよりちょっと長めに加熱」するだけではないのですね……。

  • Aシリーズの凍ったままIHグリル「姿焼き・中」メニューにて、加熱コントロールをグラフ化したもの。上下ヒーターを細かくコントロールしているのがわかります

誰でも失敗なしで美しい焼き色を実現する「焼き物アシスト」

パナソニックの高機能IHクッキングヒーターといえば「焼き物アシスト」も外せません。定番料理の加熱コントロールを自動化し、さらに食材を投入するタイミングやひっくり返すタイミングも教えてくれる調理サポート機能です。

これまでは「ホットケーキ」「ハンバーグ」「手作りぎょうざ」「ポークソテー」といった定番の10メニューしかなかったのですが、Aシリーズでは火力調整を見直すことで、定番メニューをもとに複数のアレンジ料理が加わりました。たとえば「ハンバーグ」メニューで「鶏つくね」や「ピーマンの肉詰め」「豆腐ハンバーグ」も作れます。焼き物アシストのメニューは10種類のままながら、30種類の料理をアシストできるようになっています。

  • 10メニューだった焼き物アシストが30メニューに。とはいえ、製品上のメニュー表示は10種類のままです

  • 会場では「焼き物アシスト」の新メニューもデモンストレーション

  • 料理を選ぶと自動的に最適な温度にフライパンを余熱。食材をフライパンに入れるタイミングや、ひっくり返すタイミングをカウントダウン。時間になると、文字と音声で知らせてくれます。フライパンの下の赤い光は火力の表示です。火力を弱く設定すると赤い光は薄く、火力を強めると赤い光が濃くなります

焼き物アシスト機能のすごいところは、ユーザーにあわせて温度調整をしてくれるところ。会場ではデモンストレーションとして抹茶パンケーキを焼いたのですが、「裏返してください」と表示されたあとも、スタッフが機能説明をして裏返すまでに時間がかかってしまいました。その後、2枚目はタイミングよく焼けたのですが、タイミングを逃した1枚目と、手早く調理した2枚目の焼き色がほぼ同じ。料理が苦手な人も、上手な人も、同じように美味しく調理ができる機能なのです。

  • 2枚焼けた抹茶パンケーキ。1枚目のほうが調理に時間がかかったにもかかわらず、どちらも同じ焼き色で完成しました

  • パンケーキであんこを挟み「どら焼き風抹茶パンケーキ」の完成! カットするとパンケーキの断面は鮮やかな抹茶色。中までしっかりふっくらと焼き上がっていました

  • 会場ではこのほか、「お好み焼き」メニューで焼いたネギ焼きと、「ポークソテー」メニューで調理したポークソテーハニーマスタードソースも調理。ネギ焼きは中までふっくらと焼けているのに上に乗った豚肉はカリカリ! 火加減が難しいポークソテーも、外はカリッとしているのに中は柔らかくジューシーに仕上がっていました

パナソニックのIHクッキングヒーターはとにかく使い勝手がよい

今回は新機能を中心に紹介してきましたが、パナソニックの高機能IHクッキングヒーターは、これ以外にも多くの便利機能を搭載しています。従来モデルから私がとくに気に入っているのはグリル機能の使いやすさ。昔からの魚焼きグリルは焼き網と水を入れる受け皿を使いますが、パナソニックのグリルは波形プレートだけなので洗い物がとってもラク。

また、グリル上は内蔵平面ヒーター、下部はIHヒーターで加熱するので、庫内は上下左右がフラットなのもポイント。一般的なグリルのように曲がったパイプ状のヒーターがないので、庫内を掃除しやすいんです。グリル調理は「後片付けが面倒」と敬遠する人も多いですが、YシリーズやAシリーズなら片付けの手間を減らせます。このほかにも多くの便利機能があるので、これから新築・リフォームを計画している家庭は、一度ショールームなどでイマドキの高機能IHクッキングヒーターを体験して欲しいと思います。

  • パナソニックのグリルは焼き網もないので使用後の洗い物もラク。しかも、グリル扉もサッと外して丸洗いできます

  • プレートを外した庫内は広々。パイプ状のヒーターがないので掃除がしやすいのは本当にありがたい!