インテルは7月20日に記者会見を開き、今週末に開幕する東京2020オリンピック競技大会で新たに使用される同社の複数の技術プラットフォームを披露した。インテルは今大会のワールドワイドオリンピックパートナーであり、大会の成功に向けてデジタル技術による支援にも取り組んでいる。

  • インテル、東京2020五輪に投入する最新デジタル技術群を公開

    インテルが取り組む主な技術貢献のカテゴリー。没入型の視聴環境やドローン・ショーはひろく注目が集まるだろう。オリンピックは新技術の見本市という側面も持っていたりする

  • インテル代表取締役社長の鈴木国正氏。残念ながら無観客になってしまったが、テクノロジーによる新しい視聴体験を楽しんでもらえると説明。また今回紹介する事例は取り組みのほんの一部であり、安心・安全の大会開催、スポーツへの継続的な支援に、さらにテクノロジーで貢献していきたいと話していた

今回の新技術のうち、視聴者にとって最も身近になるであろう技術が、「3Dアスリート・トラッキング(3DAT)」だ。競技の各種情報を可視化し、放送画面にオーバーレイ表示する近年は見慣れたものだが、3DATではセンサーの設置やラボ等を必要とせず、複数台のカメラのみで選手の挙動を記録、クラウド上でAIを用いて分析することで可視化された競技情報をほぼリアルタイムで出力する。実際の大会では、100メートル走をはじめとするスプリント競技で、この3DATを活用した放送画面を見ることができるはずだ。

  • 競技データのインサイトを画面にリアルタイム表示する「3Dアスリート・トラッキング(3DAT)」

「インテル True View」は、競技会場全体に高解像度の小型カメラを設置、縦、横、奥行きを記録した膨大な量の立体映像データ(ボクセル)を撮影し、360度の視点の映像をレンダリングするもので、肉眼では判定が難しかったプレーの確認も可能という、これまでにない高品質の没入型視聴が実現する。これはバスケットボールの52試合で撮影を実施し、映像は放送事業者を通して配信する予定だ。

  • 「インテル True View」ではこれまで見たことも無い角度から高精細なプレイシーンが楽しめるかも

  • ドローン・ショーは2018冬の平昌五輪からさらにパワーアップ。軽量化とバッテリ長寿命化、高輝度の鮮やかなLEDの搭載、機動のかなめとなるソフトウェアも強化された最新型のドローンが用意される

  • 東京2020大会公式応援ビートとなっている「2020beat」。この2020beatのビートにあわせて手拍子やダンスをした応援動画をSNSで投稿すると、競技会場のスクリーン等で上映されるそうだ。インテルのMusic AIソフトウェアで制作されている

ほか、5Gを利用した新しいスポーツ視聴体験を実現するとして大会組織委員会が実施する「TOKYO 2020 5G PROJECT」に、日本電信電話(NTT)、NTTドコモとともに協力する。また、DXによって安心・安全な大会運営を図るとともに、大会運営の知見を深め、次回以降の五輪大会の運営効率化にも活かす「IOCデータ利活用プロジェクト」に、プロセッサやAI技術の支援で参加する。

  • 「TOKYO 2020 5G PROJECT」に協力。5Gネットワークの大容量・低遅延といった特徴を活かし、中継映像データを合成した巨大スクリーンを設置したりする

  • IOCのデータ・プラットフォームは安心・安全な大会運営に貢献。会場各エリアの混雑状況のリアルタイム把握などが可能になる