大日本印刷(DNP)は7月15日、同社が2018年に発表した不妊治療用「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」の解析ソフトウェアに、AI(人工知能)技術を活用した新たな画像解析機能を追加したと発表した。

従来からの機能として、受精卵培養の初期(培養1日目)における発育の重要なポイントである前核の数を検出する機能があったが、今回3つの機能を追加し、受精卵の発育観察 の支援を強化する。

1つ目は、培養1~3日目で活用する初期卵割・異常分割を検出する機能。1つの細胞である受精卵が複数細胞に分割していく過程において、初期の細胞分割「初期卵割」のタイミングを検出する。また、一度目の卵割時に異常な数に分裂してしまう事象「異常分割」の発生も検出する。これら培養初期を対象とする2つの検出機能により、最終的な胚の評価を支援する仕組みだ。

  • 初期卵割・異常分割検出機能(培養1~3日目)

2つ目は、培養3~4日目で使う胚盤胞発生ランク機能。培養初期の分割状況から、培養5~7日目に胚盤胞と呼ばれる状態にまで良好に成長するかどうか、期待ランクを4段階で推定する機能だ。

3つ目の機能は、培養4日目以降を対象にした胚盤胞評価機能。胚盤胞の世界的な形態評価基準「ガードナー分類」を参照して受精卵の特徴を解析し、形態的な良好胚を表示して、評価を支援する。

  • 胚盤胞評価機能(培養4日目以降)

同社は今後、不妊治療用受精卵解析ソフトウェア、細胞医薬分野の検査支援ソフトウェアなど、AI技術を活用した画像解析関連製品を展開して、2025年度までに年間10億円の売上げを目指す。