オフィス環境の改革も計画されている。オフィスの新たな価値を従業員へのヒアリングを含めて再定義したものが「3つのC」だ。オフィスがどのようなシーンで必要とされているのかを「Change」、「Creation」、「Collaboration」と定めた。

具体的には首都圏3つの大型オフィスを2つに集約し、出社率3割で再設計。フリーアドレス制を採用して1人あたりの占有面積を2倍にしつつ、個人ロッカーの設置場所等を基準とした組織ごとの「ベースフロア」を設定する。また、「3つのC」に活用しやすいブースの設置も行われるという。

  • オフィスの新たな価値「3つのC」

またNTTグループ全体の取り組みとして、電話局として利用されている局舎の事務エリア等を活用したサテライトオフィスを整備。2020年度には10拠点が整備された。

リモートワークへ大きく舵を切り、1年実施した結果として山本氏は「首都圏主要3ビルの電気使用量は16%減ったが、想像よりも減っていないという感覚。箱はあるだけで電気代がかかるものと実感した。オフィス集約は正しい選択かなと思う。一方、紙の使用量は57%減った。通勤がないことでCo2削減にも貢献しているだろう。リモートワークとエコ、環境には親和性があると思っている」と語った。

リモートワークを支える各種ツールを開発、ノウハウの無料公開も実施中

この他にも、自宅作業がしづらい環境の家庭ではコワーキングスペースを活用して自宅やオフィスと遜色なく働けるとして、コワーキングスペースの検索・予約・決済が行えるサービス「Dropin」も紹介。また、仕事内容でリモートワークのしづらい「リモートワーク格差」が生まれないよう、在宅型コールセンターに早くから取り組んだことで、現在のコールセンター業務では、派遣社員も含め全員がリモートワーク対応できる状況にあるという。

インターネットとVPNを自動で使い分け強固なセキュリティを担保する自社端末セキュアドPCや、業務システムへのセキュアなアクセスを実現する「SASE」といったソリューションが柔軟な働き方を支える。こうしたツール開発の他、同社では取り組みの経験をまとめたドキュメントも作成している。

リモートワークネイティブな働き方を支えるものとして、円滑で効果的なリモートワーク実践に必要なノウハウをまとめた「リモートワークハンドブック」や、新入社員は中途社員を迎えるにあたって必要な心構えと施策をまとめた「オンボーディングハンドブック」は、社会への還元としてインターネット上で公開。

また、雑談を含めた気軽なミーティングのできるオンラインワークスペース「NeWork」、Webブラウザから業務用電話番号で発着信を可能とする「COTOHA Call Center」といったサービスも提供、多くの利用者を獲得しているという。

同社では、今後ビジネス変革をさまざまな領域で進め「Smart World」の実現に貢献するため、7月には専門組織を発足予定だという。

発表の最後に山本氏は「業務やビジネスのあり方を変えて行くことでワークスタイルを変えて行ける。またワークスタイルが変わることで、ビジネスのあり方が変わって行くようなことが相関して起きると思う。業界や社会の課題解決に向けてICTで貢献して、世の中のワークスタイル変革にもつなげて行きたい」とまとめた。