ハーマンインターナショナルは、JBLブランドのノイズキャンセリング(NC)機能を備えた完全ワイヤレスイヤホン「LIVE PRO+ TWS」を6月25日に発売する。JBLオンラインストア、JBL公式楽天市場店、リアル店舗のJBL Store(横浜)での限定発売となり、直販価格は17,800円。カラーはホワイト、ベージュ、ブラック。

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    LIVE PRO+ TWS(ホワイト)

「JBL史上最高のフィット感」を追求した、ショートスティック型の完全ワイヤレスイヤホン。JBLはスティックタイプ(イヤホン下部にステムが伸びているもの)の完全ワイヤレスイヤホンをグローバル市場で展開中だが、国内市場での導入は初となる。

  • LIVE PRO+ TWS(ブラック)

  • 左からホワイト、ベージュ、ブラック

JBLによると、完全ワイヤレスイヤホンのフィット感に不満を持つ人の多くは耳の大小だけでなく、耳の構造そのものに特徴があるため、単純なイヤホンの小型化だけでは装着感は改善されないという。

具体的には、フィット感に不満を持つ人の耳には、耳の中心部に位置する窪み(コンチャ)が浅い、狭い(もしくはその両方)、耳の前方の突起部(トラガス)がV字型に尖り、出っ張っているといった特徴があるとのこと。

  • 耳の構造を考慮し、「JBL史上最高のフィット感」を追求したデザインを採用

そこで、充電池やアンテナなどのパーツを極力、外耳の外のスティック部にレイアウトし、本体を小型・薄型化。厚みは約15mmに抑えた。これにより、窪みが浅く狭い耳や、大きな耳まで幅広い形状に対応した。

フィット感を高めるために、5種類のサイズ・形状の異なるイヤーピースも同梱。大きさだけでなく深さの違う2種類を用意するなど、耳の形や好みに合うようにした。後述の「My JBL Headphones」アプリを使い、装着状況が最適かチェックすることもできる。

  • My JBL Headphonesアプリでフィット感をチェックできる

  • 装着イメージ

大口径の11mmダイナミック型ドライバーを搭載し、JBLシグネチャサウンドを実現。また、完全ワイヤレスの最上位モデル「CLUB PRO+ TWS」で採用しているハイブリッド式のNC機能を備え、本体外側に配置されたフィードフォワードマイクと、鼓膜に近いドライバーユニット側(内側)のフィードバックマイクを使って高いNC効果を実現する。中低音域のNC効果をフラットにしたことで、人混みや車の多い雑踏など、街中のノイズを大幅に低減するという。

「アンビエントアウェア」や「トークスルー」による外音取り込みも可能で、イヤホンを着けたまま外の音を聴いたり、人の話し声を強調することでイヤホンを耳から外さなくても会話しやすいようにした。

左右6基の内蔵マイクのうち、4基はビームフォーミングマイクで、周囲が騒がしくても話し声だけをクリアに届けられるようにした。さらに、左右両方のイヤホンのステレオ使用に加え、「Dual Connect」機能によって片方のモノラルでも使用可能。片方を充電しながら交互に使うことで、ビジネスシーンでも安心して長時間使えるとする。

  • 内蔵マイクの構成

Bluetooth 5.0に準拠し、対応コーデックはSBC、AAC。Android端末と初回のペアリング作業がスムーズに行える「Google Fast Pair」をサポートするほか、充電ケースを開けるとペアリング済みのデバイスと自動接続する+Sync機能も装備。GoogleアシスタントやAmazon Alexaの起動もできる。イヤホン本体はIPX4相当の防水対応。

  • Android端末と初回のペアリング作業がスムーズに行える「Google Fast Pair」に対応

NCオン時はイヤホン本体で約6時間再生でき、充電ケースと組み合わせて最大約24時間音楽を聴ける。NCオフ時はイヤホン本体で約7時間、充電ケースと組み合わせて最大約28時間の連続再生が可能だ。高速充電にも対応し、10分の充電で1時間使用できる。充電ケースはUSB Type-Cによる有線での充電に加え、ワイヤレス充電にも対応する。

  • My JBL Headphonesアプリのホーム画面

音を聴いてみる

JBLが4月に開催したメディア向け内覧会でも体験していたが、改めて実機を試した。耳へのフィット感は変わらず良好。耳穴にはめ込むというより、耳の中にスッと“置く”感じで、細かいことを気にしなくてもフィットする印象だ。ショートスティックタイプで思い浮かべるのはAppleのAirPods Proだが、個人的にはLIVE PRO+ TWSのほうが耳馴染みが良いと感じる。

サウンドは中低域に厚みがあり、ボーカルやハイハットなど中高域もクリアでとにかく心地よい。アプリのイコライザで好みのサウンドに追い込んでいくこともできる。NCの効き具合も上々で、空調ノイズなどがしっかり抑え込まれているのが体感できた。静かな場所で、なにも音楽を聴いていない耳栓的な使い方をすると、ごくわずかなホワイトノイズを感じるが、気になるほどではない。

個人的に気に入ったのは、実は外音取り込みのアンビエントアウェアだ。LIVE PRO+ TWSを耳に着けたままでも駅のアナウンスを聴きたいときなどに重宝する機能で、外の音がごく自然に耳に届き、違和感がほとんどない。低価格な完全ワイヤレスでも外音取り込みを実現している機種があるが、“マイクを通して聴いている”感じがどうしても耳に付いてしまい、イヤホンを外すほうが早い……となってしまうことも少なくない。この点、LIVE PRO+ TWSは1万円台後半と比較的手ごろな価格ながら、NCだけでなく外音取り込みもきっちり作り込まれていることが感じられた。

さまざまな設定やカスタマイズが行える「My JBL Headphones」アプリはぜひ手持ちのスマートフォンにいれておきたい。LIVE PRO+ TWSの装着状況が最適かをアプリ画面でもチェックでき、自分の耳にイヤーピースが合っているのかが一目でわかるためだ。筆者は標準で装着されている浅めのMサイズでジャストフィットしたが、人の耳穴は必ずしも左右同じではない。最初は手間がかかるかもしれないが、最適なサウンドで音楽を聴いたり、高いNC効果を得るためにも気を配りたい。

  • LIVE PRO+ TWSの装着状況をアプリ画面でチェック

とにかく耳へのフィット感にこだわった設計で、長く耳に着けていても負担が少ない。ケースもコンパクトなので、女性にも使いやすい製品となりそうだ。Webサイトでの販売が中心となるため気軽に試聴・体験できる製品ではないのだが(横浜のJBL Storeで試すことはできるとのこと)、リモートワーク利用もかねて買いやすい完全ワイヤレスを探しているという人はLIVE PRO+ TWSを検討候補に入れてみるとよいだろう。