マウスコンピューターが販売する「mouse CT6-H」は、超がつくほどコンパクトなミニPC。広い面のサイズはほぼA5で、DVDパッケージよりちょっとだけ大きい程度だ。そして厚みは28mmと、雑誌か書籍レベル。容積としてはわずか約0.8Lである。
ただし、小さいからといってパワーがそれなりというわけではない。その秘密は、CPUにAMD Ryzen 5 4500Uを採用しているから。ノートPC用のプロセッサーながら、6コアが2.30GHzで駆動するうえグラフィックス機能も統合タイプながら高い能力を持つので、様々な用途に対応できる。具体的には後述するベンチマークを見てもらいたいが、当然のようにその「用途」には3D系のゲームも含まれる。昨年ライアットゲームズが運営を開始したFPS「VALORANT」のようなタイトルであれば、軽快に遊ぶことができるほどだ。VALORANTは基本プレイが無料なこともありネットワーク対戦で盛り上がっているので、eスポーツの入門用としては最適。つまりVALORANTが軽快に動作する「mouse CT6-H」も、eスポーツを体験してみたいという人にとって最適なマシンといえる。
■mouse CT6-Hの基本スペック | |
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CPU | AMD Ryzen 5 4500U(2.30GHz、6コア/6スレッド) |
メモリ | 16GB |
ストレージ | M.2 NVMe SSD 512GB |
グラフィックス | AMD Radeon グラフィックス |
インタフェース | USB 3.0 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×4、USB 2.0×2、D-Sub15ピン、HDMI出力、SDXC対応メモリーカード、ヘッドホン出力、マイク入力、ギガビットLAN端子、Wi-Fi 6 AX200、Bluetooth 5.0など |
サイズ | 約W194×D150×H28mm |
重量 | 約591g |
基本構成時価格 | 87,780円 |
コンパクトながら充実のインタフェース
本体は小さいが、各種インタフェースは十分に揃っている。正面には、電源スイッチのほかUSB 3.0(Type-C)、USB 3.0(Type-A)×2、USB 2.0×2、SDXCまで対応したメモリーカードスロットを備える。
背面は映像と音声出力が中心。D-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0 Type-A×2、ギガビットLAN端子、電源端子、ヘッドホン出力、マイク入力端子が並ぶ。
Wi-Fi 6 AX200に加えてBluetooth 5.0が内蔵されているので、キーボードやマウスをワイヤレスにすることも可能。スピーカーも同様だ。
設置方法も自由自在! ディスプレーの背面にセットすれば一体型PC風に
コンパクトなので、設置場所も自由だ。空いているスペースにぽんと置いておくのもよし、付属のスタンドで縦置きするもよしである。
さらに、同梱されているVESA規格対応マウントフレームを活用すれば、ディスプレーの背面に固定してまるで一体型PCのような利用法も可能となる。省スペースながら大画面でPC操作ができるわけだ。マウントへの固定はネジ一本で行なうので、取り外しも手軽だ。なお、一般的なVESA対応機器ならばほぼ問題ないと思うが、メーカーによれば、ディスプレー側の構造により、VESAマウントの取り付け方法が異なったり、取り付けられない場合があるそうなので、マウント必須の場合は取り付け先の機器の仕様をよく確認しておいた方がいいだろう。
AMD Ryzen 5 4500Uによるmouse CT6-Hのパワーをチェック
小さく安価で手を出しやすいのだが、気になるのはパワーだ。そのあたりをベンチマークでチェックする。なお、今回は試用機材の都合で、メモリ容量が16GBではなく、8GBと少ない構成でテストしているため、その分は差し引いてご覧いただきたい。
まずはPCの総合的な力をチェックする「PCMark 10」。こちらの総合スコアは「44205」。スコアの詳細を見ると、アプリケーションの起動やブラウザの処理といった部分を速度を表す「Essentials」は「8214」。WordやExcelなどのOffice系アプリケーションの処理能力を示す「Productivity」は「7185」。画像や3Dグラフィックスの機能能力を示す「Digital Content Creation」は「3972」となる。ネットコンテンツを楽しんだり文書作成などのPCとして基本的な使い方であれば十分すぎるパワーがある。
CPUそのもののパワーをチェックする「CINEBENCH R23」では、CPU総合が「5430pts」、シングルスコアでは「1162pts」と出た。
過去のレビュー記事などと比較するために、1世代前のモノだが、「CINEBENCH R20」でのスコアも出しておこう。こちらはCPU総合が「1565pts」、シングルスコアは「376pts」。
ストレージ速度を、「CrystalDiskMark 8.0.1」で計測した。結果は以下の画像を見てもらいたい。M.2とはいえSATA接続なので妥当なスコアが出ている。十分高速なほうではあるが、後述するBTOでSSDをNVMe対応に変えるのもありだろう。
3Dグラフィックス能力を、MMORPG「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」でチェックする。設定はグラフィック設定が「最高品質」、解像度が「1920×1080」、表示方法は「フルスクリーン」。スコアは4793で評価は「普通」であった。グラフィック設定を「標準品質」にすると、スコアが6318で評価は「快適」に。状況や好みに合わせて調節すればいいくらいの差だ。
次なるゲーム系は「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」。画質が「標準品質(ノートPC)」、解像度が「1920×1080」、画面モードが「フルスクリーン」の設定で、スコアが2380、評価は「普通」となった。このあたりも好みで調節すればいいだろう。
もっとヘビーな「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」でもチェックする。こちらでは画質が「軽量品質」、解像度を「1280×720」、画面を「フルスクリーン」という設定でも、スコアは「1836」で評価は「動作困難」となってしまった。
もうひとつのオフライン系ベンチマークとして「STREET FIGHTER V ベンチマーク」を走らせた。設定は、ディスプレイ解像度を「1920×1080」、「フルスクリーンモード」、画質設定が「低」。この条件でFPSのアベレージが59.06FPSとなり、評価が「PERFECT」となった。
3Dグラフィックスの最後は、「3DMARK」だ。その中の「Time Spy」を実行したところ、スコアは「716」。CPU統合グラフィクス向けのベンチである「Night Raid」では、「7654」とそれなりのスコアが出ている。
最後に、「VALORANT」を実際に動かしてみた結果をお伝えする。設定は画面モードが「フルスクリーン」で解像度が「1,920×1,080」の60Hz。そのほかの「マテリアル」、「テクスチャー」、「ディテール」、「UI」などは最高の「高」を選択した。これで序盤の練習モードの部分をプレイしたところ、FPSは安定しており滑らかな動作が得られた。VALORANTのプレイであれば十分問題ないと言える。
PC初心者だけでなくeスポーツ初心者にもオススメしたいコンパクトマシン
AMD Ryzen 5 4500Uを採用したため、本一冊のサイズに一般的なPC作業であれば十分すぎるほどなうえに、VALORANTクラスの3Dゲームなら快適に遊ぶことができるスペックが詰め込まれているのがmouse CT6-Hである。しかも基本構成時なら税込みで8万円台と安価なので気軽に購入できる。
また、ノートPCとは違ってeスポーツを楽しむのに重要なキーボードやマウス、そしてディスプレーといった入力出力機器を自由に選べるのが魅力だ。コンパクトなので大きな画面のPCが欲しいが本体の置き場がないというのであれば、是非とも購入の選択肢に入れるべきだ。
ただし、半導体不足の影響もあってか、品切れで入荷待ちとなることも多いので注意いただきたい。この状況だと、注文可能な在庫を見かけたら早めに判断する、というのが吉だろう。