東京地下鉄とゲシピは、南北線赤羽岩淵駅3番出入口横に、日本初となるeスポーツ専用ジム「eスポーツジム」を5月19日にオープンします。それに伴い、4月26日にメディア向け内覧会を開催。今回はその様子をレポートします。

  • 日本初eスポーツ専用ジム「eスポーツジム」が5月19日にオープンします

今回の試みは、東京メトロが2016年から行っている「Tokyo Metro ACCELERATOR」プロジェクトで2019年に採用された案件。「Tokyo Metro ACCELERATOR」は、東京メトロのリソースを活かし、外部事業者のアイデアと組み合わせるプロジェクトです。eスポーツジム以外に、観光ツアーアプリなどの開発も行っています。

  • eスポーツジムの外観

  • 東京メトロ南北線赤羽岩淵駅3番を出てすぐに位置します

  • 協賛メーカーのロゴが窓ガラスに貼ってあり、立て看板にはプレイできるタイトルが掲載されていました

eスポーツジムが日本初となる所以(ゆえん)は、プロ選手やプロチームのコーチやアナリストなど、第一線で活躍している人たちから、レッスンを受けられるところです。

東京メトロは元々社員教育に熱心な企業。模擬駅を擁した研修センターを所有しており、教育分野への関心が高いと言えます。eスポーツジムは、基本的にeスポーツ施設と同様にゲーミングPCを利用する感じですが、スポーツジムと同様にインストラクターによる指導を受けることもできるわけです。

料金体系も特殊。eスポーツ施設は都度払いが多いのですが、月額制の利用料金を用意。月額5,500円で、毎日3時間まで利用できます。さらにオプション料金として、1時間2,750円でインストラクターによるレッスンを受けられます。もちろん、都度の会員制度もあり、その場合は3時間で1,430円です。

  • レッスンを申し込めば、プロ選手やプロチームのコーチに指導してもらえます

営業時間は平日が15時から22時まで。休日が11時から23時まで。緊急事態宣言の発令など、新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては、営業時間を短縮する予定です。公式サイトで予約の申し込みや予約の埋まり具合を確認できます。

現時点で指導してもらえるのは、『VALORANT』『リーグ・オブ・レジェンド』『レインボーシックスシージ』『ぷよぷよeスポーツ』『アイデンティティV』の5タイトル。指導するインストラクターは、Crest Gaming、Glory be esports、delta選手です。いずれもトップリーグで活躍する選手やチームなので、初心者からプロを目指す人まで、幅広い人にマッチするでしょう。今後はゲームタイトルや指導者を順次増やしていく予定です。

ジムの設備は、12台のゲーミングPCを用意。PCは協賛したレノボが提供する「Legion」でした。

店舗は、元々駅近に展開するマッサージ店だっただけに、既存のeスポーツ施設と比べるとかなり小さめな印象。なので、大会をしたり、大人数でイベントを楽しんだりといった使いかたには不向きと言えます。

ただ、地下鉄駅の出入口と直結しており、住宅街や商業地区のどちらからもアクセス良好。そういった意味では、eスポーツ施設ではなく、あくまでもeスポーツジムとしての位置づけが適切だとわかります。フィットネスジムのように学校帰りや会社帰りなどに立ち寄る感じと言えば、イメージがつきやすいのではないでしょうか。

店内は大きなガラスで覆われており、日中はかなりの明るさです。ゲームやeスポーツ施設は、暗く閉鎖された印象を持っている人もいると思いますが、実際に見た限りでは開放的で入りやすそうな印象を受けました。

もちろん、日光の方向によっては窓にブラインドをかけて、モニターが外光で見にくくならないようにできます。明るい店舗でインストラクターがいるのであれば、子どもを通わせるにも安心できるのではないでしょうか。

  • 施設的には小規模ですが、余裕を持った作りになっており、快適にプレイできます

  • 休憩所も用意。大会では控え室として使えそうですが、座れる人数は少なめです

  • 席にはゲーミングPC、ゲーミングキーボード、ゲーミングマウス、ヘッドセット、ゲーミングチェア、ゲーミングモニターを用意しています

東京メトロとしては、自社所有の遊休地の有効活用と地下鉄移動の需要の創出、新規事業の展開などが目的として挙げられています。また、ゲシピとしては、eスポーツ市場の裾野を拡げることやeスポーツプレイヤーのセカンドキャリアの創設、働く場を増やすことが目的。ゆくゆくは学習塾のように、街の至るところにオープンし、東京メトロ9路線での展開も考えていると言います。

現役もしくは引退したeスポーツプレイヤーが、そのキャリアを活かして次世代の選手の育成やレッスンを生業とすることができれば、eスポーツのエコシステムの構築が確立し、より市場として強くなるのではないでしょうか。