Apple Musicが6月から「ロスレスオーディオ」と「空間オーディオ」の配信を開始します。従来の配信は転送レート最大256kbpsのAACフォーマット(ロッシー/非可逆圧縮)のみでしたが、今後は最大192kHz/24bitまでのハイレゾ・ロスレス配信と、ドルビーアトモスによる空間オーディオ配信がくわわることになります。Apple Music利用者には追加料金なしで提供されるそうですから、音楽ファンは大歓迎ですね。
空間オーディオ/ドルビーアトモスの再生には、H1/W1チップを搭載したAirPodsとBeatsヘッドフォン、iPhone/iPad/Macの内蔵スピーカーが必要となるうえ、チャンネル数は増加するものの必ず音質向上となるわけではありませんが、ロスレスオーディオは音質向上が期待できます。
配信されるロスレスオーディオは、サンプリング周波数44.1kHz/量子化ビット数16bit(44.1kHz/16bit)と、サンプリング周波数48kHz/量子化ビット数24bit(48kHz/24bit)の2種類です。さらに、サンプリング周波数最大192kHz/量子化ビット数24bit(192kHz/16bit)のハイレゾリューションロスレスも提供されます。
どのフォーマットが利用されるかは、コンテンツプロバイダー(楽曲を提供する企業)の方針やMusicアプリの設定次第ですが、ユーザ側ではそれらオーディオ信号の情報量を減らさず再生することが高音質を維持するうえで重要となります。
イヤホンジャックを持たないiPhoneで有線イヤホンを利用する場合、Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを利用するか、Lightning接続型のイヤホン、またはヘッドホンアンプ内蔵のUSB DACを用意することになります。Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタおよびLightning接続型のイヤホンの場合は48kHz/24bitまで、USB DACはそれ以上(製品によります)のロスレスオーディオ再生が可能ですから、情報量を減らさないという点では条件を満たしています。
しかし、Bluetoothイヤホンは必ずオーディオ信号の圧縮/削減を伴うため、ロスレスオーディオとはいえなくなります。音がいいかどうかという主観的な判断は別として、ロスレス再生対応のワイヤレスイヤホンが登場しないかぎり、この状況は続くことでしょう。