Dell Technologiesがas-a-Serviceの時代に向けて打ち出した新サービス「APEX」、ここでDellは顧客のハイブリッド/マルチクラウドのニーズに対応するためにEquinixと提携した。5月5日と6日、オンラインで開催した「Dell Technologies World 2021」では、Equinixで最高製品責任者を務めるSara Baack氏が登場し、提携について語った。

  • Equinixで最高製品責任者を務めるSara Baack氏

    Equinixで最高製品責任者を務めるSara Baack氏

Dellは以前から提携関係にあるEquinixとの提携を拡大し、APEXでEquinixのデータセンターインフラネットワークをコロケーションとして活用してマルチクラウドシステムの構築を可能にする。EquinixのデータセンターにDellのシステムを置き、Dellが運用を行うもので、顧客はマネージドサービスとして利用できる。

初日の基調講演で提携を発表したDellのCMO、Allison Dew氏は、「APEX Consoleより、Equinixを優先ロケーションとして選択することで、必要に応じてリソースをスピンアップできる。インフラはEquinixの設備内にあり、Dellが所有・管理する。顧客は自社の戦略に合わせてリソースを配備できる」と説明した。サポートと契約はDellに一元化され、Dellよりまとめて請求書を受け取るというシンプルさも特徴だ。

EquinixのBaack氏は、「企業の差別化の源が、技術インフラそのものから、技術のエネーブラーに変わりつつある」と述べ、インフラの分散化が進みつつあるというトレンドを紹介した。その背景には、コンテンツが作成されるところ、消費されるところの近くにサーバーをおくこと、サプライチェーンなどのエコシステム、顧客、技術プロバイダなどとつながること、の大きく2つの理由があると述べる。

「Equinixは世界に200以上のデータセンターを持っており、顧客が自社のインフラを分散化するのを支援できる」とBaack氏。

Dellとの提携によるメリットの中でも、Baack氏が取り上げたのが、「データ管理の複雑さ」の課題解決につながることだ。自社インフラやプロバイダのインフラにデータが分散しているが、「DellとEquinoxとの提携により、データ活用に伴う複雑性を緩和できる」と述べた。

  • APEX with Equinix

早期顧客の例としてBaack氏が紹介したのが、グローバル展開するオンライン旅行プラットフォームだ。この会社はそれまで、パブリッククラウドを中心としたシステムを構築していたが、システムは分断化しコストも増していた。そこで、DellとEquinixの提携を活用し、Equinixのデータセンター内のDell EMCストレージを活用したハイブリッドシステムを構築、これによりソリューション全体のコストを下げた。さらには性能の改善、遅延の改善などのメリットも得られたという。わずか6カ月でROIに到達した、とBaack氏は述べる。

「ITの将来は、拡張性などの特徴をもつパブリッククラウドを活用したハイブリッドシステムになることは間違いない。顧客はシステムへのコントロール、コスト管理を取り戻すことができる」とBaack氏。

Dellのインフラソリューショングループでプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるJeff Boudreau氏はプレス向けのセッションで、Equinixとの提携の背景として「顧客がどのようなアウトカムを求めているのかを調査した」と明かす。「我々が管理するのか、顧客が自社で管理するのか、どのロケーションなのかなどの柔軟性、どこにインフラをもつのかの選択肢を求めている。Equinixとの提携を通じて、これを顧客に提供する」とBoudreau氏は述べた。