日本電信電話(NTT)と富士通は4月26日、「持続可能な未来型デジタル社会の実現」に向けた戦略的業務提携に合意したと発表した。NTTの通信技術や運用ノウハウ、富士通のコンピューティング技術など、両者が強みを持つ分野で共同開発を進める。

  • NTTと富士通の協業の意義

この提携に際し、NTTでは、IOWN構想(Innovative Optical and Wireless Network、NTTが提唱するネットワーク・情報処理基盤の構想)の実現に向けた研究開発に取り組み、富士通では光通信をはじめとした通信・コンピューティング技術の開発、社会実装に取り組む。あわせてグローバルでの競争力も高めたい考えだ。

  • 協業の内容

具体的にはまず、NTTグループでハードウェア製品を開発するNTTエレクトロニクス(NEL)が、富士通アドバンストテクノロジ(FATEC)の66.6%の株式を富士通から取得。通信の高速大容量化や、高い電力消費が懸念となる光ネットワークの省電力化を図る。5G以降の通信向けに、高速で小型かつ低コストな光電(こうでん)融合デバイスおよび、基地局に搭載するためのアーキテクチャーを両社で検討し、富士通の基地局をはじめとして幅広い提供を行う。

また、光通信・モバイル通信技術のオープン化を推進。通信機器市場における垂直統合モデルからの脱却を図り、ホワイトボックスや汎用ソフトウェアをマルチベンダで対応するオープン化の取り組みを加速させる。また、さまざまなパートナーとも連携し、グローバルに展開できる技術の開発も目指す。

このほか、低消費電力型・高性能コンピューティングの実現に向けた共同研究開発も行う。DXやリモートワールド社会の浸透を背景に、今後膨大なデータをリアルタイム処理する必要性があることから、両社は高速化や省電力化に課題のある従来のコンピューティングアーキテクチャーを抜本的に見直し、NTTが研究開発中の光電(こうでん)融合技術と、スーパーコンピュータ「富岳」などに活用される富士通のコンピューティング技術を組み合わせ、新しいコンピューティング技術の開発に取り組む。これらにより、AIや5G、6Gなどをはじめとした高度な通信技術で多様なサービスが展開される、未来型デジタル社会の実現を目指すという。

  • 両社の具体的な取り組み

  • AIや5G、6Gなどにより高度な通信技術で多様なサービスが展開される、未来型デジタル社会の実現を目指す