新型コロナの世界的な感染拡大が顕著になって1年になる。リモートワークをベースに生産性を高める方法を課題と捉えて実践している企業も多く、ニューノーマル(新しい生活様式)が普通になったという人も多いだろう。緊急事態宣言が解除されたとしても、亜種の検出など未知の要素が多いだけに、臨機応変な対応が求められることが予想される。米CNBCが「4 work-from-home hacks that are still vital a year after lockdowns begun」として、1年を経た課題と対策を4つ採り上げている。早速見てみよう。

1.姿勢が悪い
英国の調査によると、在宅勤務をしている2000人のうち、3分の2が腰痛や肩こりなどの痛みを訴えているという。また、自宅に仕事専用のスペースがないという人は3分の1だったという。体の不調はオフィスにあるような椅子やデスクがないためと言えるが、記事によると仕事用の椅子と机を用意していても、正しい姿勢で仕事をすることは難しいそうだ。血液の巡りを良くするために立ち上がって歩き回ったり、座ってできるストレッチをすると良さそうだ。

2.何もない時間を作る
オフィスで働く場合は、通勤時間という何もしない時間があった。在宅勤務によりこの時間がなくなったが、通勤時にニュースをチェックしたりメールに返信したり読書をしていた人はこの時間が奪われた事になる。生産性の専門家Grace Marshall氏は、メールの返信など通勤時間に済ませていたことは付箋を使うなどして管理することをアドバイスしている。集中しなくていいことについては休憩がてら処理することができる。また、何もない時間は脳を休める時間でもあった。これがなくなってしまったことでストレスが増えているという人も多いという。休憩時間をきちんと設けよう。

3.先に延ばす
自宅では緊張感がないからか、誘惑が多いのか、期限の意識が薄くなりがち。いくつかのタスクをずるずると先延ばししていないだろうか?記事では、クリエイティブ職向けのコーチのアドバイスとして、他人と計画を共有しておくことを紹介する。先延ばしにしている時は罪の意識や不安を感じるため、精神衛生上も良くない。

4.外で体を動かす
在宅勤務では、駅まで歩くことはない。トイレの距離も、オフィスの時より短いはず。つまり、体を動かす機会が減っている。昼食時に、食事の後に外にでて歩くようにするなど、運動の時間を組み込んでおこう。太陽の光を浴びるためにも、できれば外に出よう。

2000人のうち、過半数が腰痛や肩こりの痛みというのは確かに大きな課題だ。オフィスにおいても固定化された座席への座りっぱなしが良くないことは指摘されているが、在宅時では通勤の運動も無くさらに注意が必要になる。記事ではYouTubeやInstagramなどのソーシャルネットワーク上には、ラバーバンドを使って肩をまっすぐにするなどの工夫を紹介する動画を試すことも紹介しているが、これらの動画は明記されていない限り医学的根拠はないので自分に合うものを試すよう促している。

ノートPCスタンドの有無の実際

ノートPCスタンドの有無の実際。ノートPCにモニタ位置の高低調整を与えてくれる

筆者は姿勢に関連するツールをひとつ購入している。ノートPCスタンドなのだが、これが奏功している。デスクトップPCの圧倒的なカスタマイズ能力は、今後も様々な用途で重要になるだろうが場所を選ばないノートPCの性能も数年前とは比較にならないほど上がっているため、職場でも切り替えられるケースがある。筆者も軽量で高性能なノートPCを快適に使わせてもらっている。しかし、しばらく使っていてモニタのポジションが低いことに気づいたため折りたためバッグにも入るノートPCスタンドを購入した。数週間使っているがこれがジャストフィット。前かがみの姿勢が一気に改善したのだ。筆者の場合、机の面積と椅子の調整に限界があり、これを導入することで効果を体感できた。昔から存在は知っていたが、なかなかのアイデア製品だとあらためて感心した。

今月はじめには経済産業省による「健康経営優良法人2021」(ニュースリリース)や東京証券取引所との共同での「健康経営銘柄2021」(ニュースリリース)も発表されている。多くの企業が従業員の健康への取り組みを評価されており、制度や設備を柔軟に改正する企業、オンラインで体操やストレッチに取り組む企業、家族で参加できるアプリを構築する企業、AIでデータを徹底的に分析企業と千差万別だが、長期化も懸念されるコロナ禍においては、いっそうその取り組みが重要となってくると思うのであった。