◆PCMark 10 v2.1.2506(グラフ73~78)

PCMark 10 v2.1.2506
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ73

  • グラフ74

  • グラフ75

  • グラフ76

  • グラフ77

  • グラフ78

ついでに非ゲームベンチも、という訳でPCMark 10である。面白いのはPCMark 10/Experss/ExtendedではRadeon RX 6700 XTが今一つなのに、PCMark 10 Applicationではむしろ最高速なことだ(グラフ73)。Test Group(グラフ74)だと、大差がついているのはProductivityだと判る。実際Essentials(グラフ75)だとWeb Browsingなどは同等で、なぜかApp Startupが遅い代わりにVideo Conferencingでは高速で、均すと同等という、これはこれで不思議な結果である。

ではProductivity(グラフ76)は? というと、Writingではむしろ高速なのに、Spreadsheetsはかなり遅くなっている。これは要するにOpenCLを利用したセルの再計算とかが遅いからという話で、まぁNaviアーキテクチャである以上仕方がない。これはDigital Contents Creation(グラフ77)でも言える事で、Video Editingが異様に落ち込んでいる。逆に言えば、Photo EditingやRendering & Visualizationがこんなに伸びている理由が判らないというべきか。なので、OpenCLを多用するケースでは性能が伸び悩むだろう、という傾向がそのままグラフに出た格好だ。

むしろ不思議なのがPCMark 10 Applicationsの詳細(グラフ78)で、ExcelとWordのスコアがなぜか伸びている。ちょっと理由が理解できないのだが、逆に言えばOpenCLを使わないこうしたアプリケーションであれば、普段の理由で支障が出る事はまずない、という事が確認できたことになる。

◆消費電力(グラフ79~83)

  • グラフ79

  • グラフ80

  • グラフ81

  • グラフ82

  • グラフ83

最後にこちらを。グラフ79はFireStrike Demo、グラフ80はFFXV Official Benchmark、グラフ81はMetro Exodus(Ray Tracing無効/有効)、グラフ82はShadow of the Tomb Raider(Ray Tracing無効/有効)のそれぞれの実効消費電力変動である(2K解像度だとDLSSは無効になっているので利用していない)。

グラフ83がそれぞれの平均値をまとめたものだが、ここでもまたRadeon RX 6700 XTの消費電力は、GeForce RTX 3060 TiとGeForce RTX 3070の丁度間位、という面白い結果になった。

FireStrike(グラフ79)のみ、GeForce RTX 3060 Tiが異様に低いが、その他のゲームに関して言えばRadeon RX 6700 XTはGeForce RTX 3060 Tiよりもちょい高めというあたりで、まぁまぁのバランスではないかと思う。Ray Tracingを有効にするとそれなりに増えるが、それでもGeForce RTX 3070よりはちょっと低い程度。システム全体で400Wを超える事は無く、ピークで400Wを軽く超えるGeForce RTX 3070よりは扱いやすくなっていると思う。

考察

ということで駆け足でご紹介してきた訳だが、なんというか微妙なところである。発表時の価格で言えば

  • GeForce RTX 3060 Ti $399
  • GeForce RTX 3070 $499
  • Radeon RX 6700 XT $479

ということになる訳だが、これが例えば$449位であればまぁ納得できるバランスであったと思う。AMDの言うように1440p、つまり2.5Kまでの範囲であればしばしば最速の結果を叩きだす場合もあるが、その一方でGeForce RTX 3060 Ti並みの性能の場合もあった訳で、現実的には「GeForce RTX 3060 TiとGeForce RTX 3070の丁度中間位の性能」という事を考えると、ほんのわずかながら割高感を感じる事は否めない。

もっとも昨今の需要過多で在庫が蒸発している状況で言えば、もう「入手できるだけマシ」という感じであって、割高感も「わずかながら」のレベルだから、入手して後悔することはあまりないかと思う(過度の期待は禁物であって、GeForce RTX 3070を常に上回る性能を期待したりしなければ、であるが)。

ところで気になるのは市場からビデオカードが蒸発した理由である「マイニング」である。もともとNavi系列はマイニングには向いてないというのは先のPCMark 10のOpenCL関係のスコアが悪いことからも明白なのだが、試しにどの程度なのか比較しようと考え、ベンチマークをいくつか用意(MinerGate、MinerMonitoring)したものの、稼働させてもRadeon RX 6700 XTを認識できない("No GPU found"とか言い出し、CPUでベンチマークを行おうとする)のであきらめる事にした。変な言い方だが、ここでマイニング性能が低めになっていればカードの入手性がそう悪くはならなそうなので、ちょっと期待したいところではある。

なお、現時点では日本での発売価格は未定である。あまり高くないといいのだが。