4月から大学生となる人は、どんなPCを購入したらいいのか――。そんな疑問に、ビジネス書作家の戸田覚氏が解説。ファーウェイ・ジャパンがメディア向けに開催したイベントから、戸田氏による「失敗しないデバイス選びのポイント」を紹介します。

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大学生とPC事情

戸田氏はPC関連やスマホ関連の解説動画をYouTubeで配信していますが、近年「ノートPCは何を買ったら良いのか」という学生からの質問が多くなったそうで、「多くの学生がPCのことをほとんど知らないという事実に気付かされた」と明かします。お金を貯めて買うデジタル機器といえば「iPad」――というのが学生の半ば常識とのこと。ノートPCは、大学入学時に必要に迫られて(特に欲しくなくても仕方なく)買うケースが増えているとしました。ちなみに筆者の学生時代は、PCにモロ詳しい友人が近くにたくさんいました。時代の移ろいを感じますね。

  • 2021年春に大学生となるお子さんを持つビジネス書作家の戸田覚氏。55歳でYouTube配信をスタート

学生がノートPCに求める大きな条件は、「予算は10万円ほど」「プログラミングに使える」「トレンドは外したくない」の3つ。ここに戸田氏は「オンライン授業で使える」「画像や動画を当たり前のように扱える」「複数のアプリを同時に使える」「再起動はしない」を付け加えます。

「再起動しない」については、「スマホやタブレットを使ってきた今の若い世代は、PCもスリープの状態で使い続けます。なんとなく処理が重くなっても再起動しないので、性能が低いモデルだと段々辛くなってくるんです」と解説。こうした条件に沿うノートPCとして戸田氏はまず、割安感のあるAMD CPU搭載モデルを挙げます。RYZEN 3ではちょっと厳しい、4年間使うことも考えるとRYZEN 5かRYZEN 7が良い、多くのアプリを起動したままにしがちなことを考えるとメモリは16GBほしい、などと見積もっていきます。

  • 写真は、小学生のころからPC大好き人間だったというマイナビニュース・デジタルの林編集長。戸田氏の話を聞いて「これが若さか……」とつぶやいてました

本体の重さやストレージ容量はどうでしょう?

「ビジネス用途、特に持ち運んで使う場面が多いとノートPCの重さも気になりますが、学生は外回りの営業はしないので(家と学校、バイト先や友人宅の往来がほとんど)、『1.5kgくらいあっても良い』『重さより値段が安ければ良い』という人が結構います。また、スマホによってクラウドストレージに慣れているのか、ノートPCではストレージ容量も気にしていません」(戸田氏)。

  • 大人の常識では、ついつい軽さを求めてしまいがち。学生の観点はちょっと違う?

驚くことに、Microsoft Officeが付いていないことも重要なんだとか。なぜなら「学校からOfficeが付与されるパターンが多いんです。だからOffice付属モデルを買うと無駄になってしまう」(戸田氏)。

学生に向けたノートPCのチェックポイントとして、ディスプレイの大きさについても展開します。「画面サイズだけで判断するのではなく、タテヨコ比(アスペクト比)の違いにも気を付けて欲しい。表示される情報量が変わってくるからです」。一例として、アスペクト比3:2の14型ノートPC「HUAWEI MateBook 14」(2,160×1,440ドット)を挙げつつ、「Webや資料を表示したときに縦方向の情報量が多いのは大きなポイント」とします。Wort文書やPDF文書、Excelのワークシート、Webページ、プログラムのコードなどなど、タテ方向の情報量が多いと快適なケースは多いものです。

  • 1型ノートPC「HUAWEI MateBook 14」。画面のアスペクト比は3:2で、フルHD(1,920×1,080ドット、アスペクト比16:9)よりもタテ方向に長いのがポイント

画面に関しては「私は画面の反射が嫌なのでアンチグレア(非光沢)のノートPCしか買いません」と前置きしながら、「スマホ世代はグレア(光沢)が良いという意見が多いんです。グレア画面のノートPCを購入して、気に入らなければアンチグレアのフィルムを貼れば良い」と。このほか学生へのヒアリングで分かったのは、学生は屋外のベンチでノートPCを使う場面が多いということでした。「日光の下でも不自由なく使える、明るいディスプレイが良いでしょう。300nitくらいあると良い」(戸田氏)。

  • 大学キャンパスで見かける光景。屋外のベンチで作業するなら、明るい(最大輝度が高い)ディスプレイを選びたいところ

インタフェースで重要なのは、HDMI出力端子が付いていること。大学生ともなればPCを使い、人前で何かを発表する機会が増えます。学校のプロジェクターにノートPCをつなぐことを考えると、HDMI出力端子を備えたノートPCが安心です。

もちろん、ノートPC側のUSB Type-C映像出力をHDMI出力に変換するアダプターでもよいのですが、一手間かかるし、アダプターの紛失やうまく映らないといったトラブルの可能性もあります(学校のプロジェクターが古くてアナログRGB入力しかないような場合は仕方ないですが……)。

  • HUAWEI MateBook 14はHDMI端子のほか、USB Type-C(ディスプレイ出力、PDにも対応)も搭載

このほか(iPhoneの影響でしょうか)、指紋センサー搭載が若者の間でほぼ必須になっているそう。戸田氏も「PCの顔認証センサーは屋外だと認識率が下がることがあるし、最近はコロナ禍でマスクをしているシーンも多い」として、指紋センサーを搭載したモデルを推薦します。またデザイン面では(これもMacBookシリーズの影響か)、多少は重くても良いのでメタルの質感が好まれているとしました。

  • メタルの質感が好まれているのも、Apple製品の影響か。画像は、電源ボタンと指紋認証センサーが一体型となっている「HUAWEI MateBook X」

ゲーミングPCに興味は?

いま学生が選んでいるPCの傾向について聞かれると、戸田氏は「結局、大学生協にある製品が強いという状況です。生協では12~13インチを推している。私は『14インチでもそこそこ軽いし、(画面が大きいと)作業性がこんなに違う』と伝えています」と話しました。

学生はゲーミングPCにも興味があるのでは、という問いかけには「びっくりしたんですが、ほぼニーズがないんです。ゲームをやりたい人はPlayStationなどのゲーム機がメインになっていて、PCゲームが目当ての人はデスクトップのゲーミングPCを選んでいます。勉強以外にノートPCでやりたいことはと聞くと、ほとんどの人が『動画を見たい』と答えます」とのこと。学生からPC購入を相談されたら、ここで出た話題も頭に入れながら考えてみるとよいのではないでしょうか。