Googleは3月10日、Chrome OSの最新安定版「Chrome OS M89」の新機能を発表した。最も大きなトピックは、Androidスマートフォンの状態や通知をChromebook側で確認できる「Phone Hub」の実装だ。新機能は同日から順次提供開始される。
“複数のデバイスを行き来して作業をこなす”ことは従来から行われてきたが、コロナ禍でよりその機会が広がった。Google Chrome OSの製品開発およびUX統括を務めるJohn Maletis氏は、「一人の人間が、自分は100%消費者、学生、従業員とは言えなくなっている。例えば、自分の一部はGoogleの従業員で、家庭では子どものIT管理者、ダンスパーティではDJもやる、という状態。いろいろなモードの間で、各デバイス間で作業を切り替えることが大事」と語り、“複数デバイスで使う”ことを念頭に置いた新機能を紹介した。新機能の多くは開発版チャネルですでに提供されており、今回安定版で正式に実装されたという位置づけになる。
Chrome OS M89では、「Phone Hub」というコントロールセンター機能が新たに実装される。AndroidスマートフォンとChromebookを連携させるもので、スマートフォンのアンテナ強度やバッテリー残量などステータスの表示のほか、テザリングやサイレントモード、位置情報など各種設定のオンオフ操作が行える。また、スマートフォンで表示した直近のWebページなども表示される。スマートフォンに送られた通知もChromebook側で確認でき、Chromebookから返信できるという。
また、Nearby Share(ニアバイシェア)機能も提供される。同機能は写真やテキスト、ファイルなどを友人間や家族間など、複数のデバイス間で手軽かつセキュアに共有できるもの。対象デバイスはAndroidとChrome OSで、誰が自分に送れるかなどの制限もかけられる。
このほか、Wi-Fi Sync(Wi-Fi 同期)を拡張する。Chromebookで設定したWi-Fi認証情報を、別のChromebookと共有するだけでなく、Androidスマートフォンとも共有できる機能だ。自分のChromebookをブートアップする際、同じGoogleアカウントを使っている自分のAndroidスマートフォンに設定されている認証情報と同じものを利用でき、Wi-Fiのパスワードを入れ直さずに済むとする。
アプリ面では、手軽にショートカットが撮影できる「Screen Capture」や、頻繁に使うファイルや直近で使ったファイルなどをまとめて表示する「Tote」、直近でコピーした5つのテキストを格納する「Clipboad」などが搭載される。また、すでに提供している仮想デスクトップ機能「Desks」もアップデートし、オーバービューモードで仮想デスクトップの順番を再編できるようになる。調べたい言葉をハイライトするだけで意味が表示される「Quick Answers」機能も追加され、タブやウインドウを新規に開く必要がなくなった。このほか、アクセシビリティにおける読み上げ機能にも改善が加えられた。