日立製作所は3月3日、ブロックチェーン技術によるセキュアな電子契約を実現する「日立電子署名サービス」を開発したと発表した。同サービスは、企業間で交わす契約書などの紙の書類への署名・押印を電子化しハンコレスを推進するサービス。

  • 「日立電子署名サービス」イメージ図

同サービスは、利用者が文書に署名を行った際に、電子データのハッシュ情報とタイムスタンプ情報をブロックチェーン上に記録する。ブロックチェーン上に格納されるデータは改ざん耐性が高く、従来のリレーショナルデータベース利用時に比べて、データの真正性を高めることが可能だという。ブロックチェーン基盤には、同社のマネージド型クラウドサービスである「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用している。

また同サービスは、異なる企業間の情報交換を実現するAPI連携によって他の電子契約サービスと接続して、署名済み文書を同サービスに取り込み、文書の一元管理を行う機能を提供する。他にも、相手側の署名捺印が認証不適合な場合の差し戻し、署名の委任、承認フローのカスタマイズなど、地域性に応じた商習慣に合った操作・機能を有しているという。

さらに同社は、指静脈などの生体情報からデータの暗号化に用いる秘密鍵を生成する公開型生体認証基盤(PBI)とブロックチェーン技術を融合させて、セキュリティ強化を図るオプション機能を開発しているという。医薬・医療、金融や公共機関といった厳密な本人認証が必要とされる分野への適用を想定しているとのことだ。

なお同社は、2021年3月から本社の調達部門で同サービスの運用を開始している。そのフィードバックを同サービスに反映した上で、同年7月以降、販売を開始するとともに、日立の企業間取引のクラウドサービス「TWX-21」と連携させ、同サービスを提供していく予定だ。