アイロボットジャパンは2月17日、ロボット掃除機「ルンバ」シリーズの最新モデル「ルンバ i3+」「ルンバ i3」(以下、i3+・i3)を発表、2月26日から発売します。プレミアムモデルのルンバiシリーズに位置しながら、i3本体が69,800円、クリーンベース付きのi3+が99,800円(以下すべて税込・直販価格)という価格に注目です。

クリーンベース付属モデルで10万円を切る価格設定は、今回のi3+がアイロボットジャパン初。クリーンベースは、ロボット掃除機が充電台に帰還するたびに、ロボット掃除機が集めたゴミを自動でクリーンベース内に移す「充電台+自動ゴミ収集機」です。オンライン発表会の様子も含めてレポートします。

  • 新しく発表されたi3(写真右)とクリーンベース付属モデルのi3+(写真左)。クリーンベース付属モデルながら、10万円を切ってきました

    新しく発表されたi3(写真右)とクリーンベース付属モデルのi3+(写真左)

クリーンベース付属で10万円以下の「ルンバ i3+」

ロボット掃除機のルンバには、600シリーズ、eシリーズ、iシリーズ、sシリーズという、大きく4つのラインナップがあります。3~4万円台と手ごろな600シリーズは、ルンバシリーズで唯一となる植毛タイプの回転ブラシを搭載。eシリーズはゴム製のデュアルアクションブラシを搭載しながら、49,800円(直販価格・税込)の高いコストパフォーマンスで人気のモデルです。ブラシ形状が異なるだけではなく、eシリーズは600シリーズの約5倍の吸引力があります。

  • 現行ルンバシリーズの比較。わかりやすいのは吸引力の違いで、600シリーズを基準として、eシリーズは約5倍、iシリーズは約10倍の吸引力を持ちます。表にはありませんが、フラッグシップモデルのsシリーズは約40倍の吸引力です

  • 写真右から、ルンバ692(Amazon限定販売モデル)、ルンバ671、ルンバe5。これらは5万円以下で買える比較的リーズナブルな価格帯のモデルです

  • 600シリーズ以外は、ルンバの特徴ともいえるデュアルアクションブラシを搭載。写真は新モデルのi3本体底面。ゴミを掻き出して浮き上がらせ、パワーリフト吸引で微細なゴミまでしっかり吸い取る「AeroForce 3段階クリーニング システム」に対応しています

eシリーズの上位となるのが、新しいi3+・i3を含めたiシリーズ。600シリーズ比で約10倍の吸引力を備え、アイロボットの床拭きロボット「ブラーバ」との連携、スマホ連携、スマホアプリ「iRobot Home」から清掃履歴が一目でチェックできる「Clean Mapレポート」といった機能を搭載します。

iシリーズには、既存モデルの「ルンバ i7+・i7」も存在しますが、i3との大きな違いはマッピング方式。上位モデルのi7シリーズは掃除すればするほど家の中を学習し、家具や部屋の配置などを覚える「Imprintスマートマッピング」に対応します。一方のi3は、掃除ごとに部屋を新しくマッピングする方式。このため、i3は「部屋を指定した清掃」「アプリから進入禁止・清掃エリアの指定」といった一部の機能は利用できません。そのぶん価格が抑えられており、i7の109,868円に対して、i3は69,800円。i3はi7と同等の吸引力ながら、i3はリーズナブルな価格設定です。

  • i3は掃除したあと、専用アプリで掃除したエリアの地図を表示可能。「今回掃除した場所」が一目でわかります。ただし、地図データは毎回破棄。i7やs9のように部屋を学習したり、掃除エリアの指定などはできません

  • クリーンベースの内部に専用紙パックを装着。i3が帰ってくると、自動的にi3本体からゴミを移動させます。専用紙パックの容量は最大60日分。掃除のたびに必要だったダスト容器(ロボット掃除機本体)のケアが最大60日間、必要ありません

  • クリーンベースを使わずに、i3本体のダスト容器のゴミを自分で捨てることも可能。自分でゴミを捨てると「今回どれだけゴミを掃除できたか」を実感します

これまで、ルンバのクリーンベース搭載モデルはs9+とi7+だけでした。s9+は186,780円、i7+は142,868円と、10万円を大きく超える価格。新モデルのi3+は、クリーンベース付属ながら99,800円という10万円を切る価格が最大の特徴といえるでしょう。

  • 上位モデルのi7にもない機能として「リアクティブセンサー」があります。これは上下方向に働くセンサーで、奥が低くなっている家具の下といった狭い場所への進入を回避します

ルンバ初のファブリックデザインを採用した本体デザイン

i3はデザインも特徴的。本体上部の天面には、ルンバシリーズ初となるファブリック調のエンボスデザインを採用。本体カラーもグレーにするなど、全体的に落ち着いた柔らかなイメージになっています。

  • ファブリックのような質感のデザインをリング状に配置。一見すると柔らかそうですが、樹脂をエンボス加工して布のような質感に見せています。破れたり汚れたりといった心配はありません

最近はスマートスピーカーや空気清浄機など「布」を採用した家電が増えていますが、i3シリーズもファブリック調デザインによって、部屋のインテリアに馴染みやすくなりました。また、i3は天面がほぼマットな質感なので、傷や指紋が目立たないのもメリット。ロボット掃除機は部屋を動き回るため意外と傷が付きやすいのですが、傷や汚れが目立たないのはうれしいポイントです。

  • ルンバのスタンダードモデル「e5」の天面。光沢のある樹脂製の天面ですが、光の具合で比較的傷が目立ちます

人生の転機が多い「若い世代」がターゲット

オンライン発表会では、i3の狙いや背景も紹介されました。前述したように、現在のルンバには機能や吸引力によって大きく4つのシリーズ構成。「我が家は犬がいるから(ペットの毛が多いから)高い吸引力が必要」など、ライフスタイルに合った機能や価格で選べます。

従来のシリーズ展開だと、ルンバのスタンダートモデルであるe5の上位モデルはi7となり、価格の開きが大きかったのです(e5は49,800円、i7は109,868円、i7+は142,868円)。そこで、価格的にe5とi7の間に位置するi3を投入し、「e5ではもの足りないけど、i7ほどの機能はいらない」という層にアピールします。

  • アイロボットジャパンが想定するルンバ各シリーズのターゲット層。上位モデルになるほど「複雑な間取りや環境でも掃除を任せられる」ようになっています

アイロボットジャパンの代表執行役員社長 挽野元氏は、i3の高機能と価格のバランスについて「結婚や転職、引っ越しなど人生の転機が多い若いファミリーには特に使っていただきたい」と語りました。ファブリック調を採用したi3の天面も、若い世代を思い描いたデザインです。

  • アイロボットジャパン 代表執行役員社長 挽野元氏

挽野氏は「ルンバを使ったことはないけれど、我が家で便利に使えるのか不安」という世帯に向けて、ルンバを合計10,000名に無償で2週間貸し出す「“掃除を手放す”体験キャンペーン」も発表。応募期間は2021年2月17日~同年5月19日で、レンタル期間として3月中旬から6月中旬までの全5回から選択可能。詳細はキャンペーンの応募サイトをご覧ください。