米Qualcommは2月9日 (現地時間)、5Gに対応するモバイル端末向けモデムの新製品「Snapdragon X65 5G Modem-RF System」を発表した。最大10Gbpsの通信速度、5G標準化のフェーズ2にあたる「3GPPリリース16」をサポート。AIを用いて通信性能を向上させる技術を導入した。すでにサンプリングを開始しており、同モデムを搭載した商用製品は2021年後半に登場する見通し。

X65は、X50、X55、X60に続く、Qualcommの5G対応モデムの第4世代製品だ。FDD、TDD、SA (スタンドアロン)、NSA (ノンスタンドアロン)といった5Gモードをサポート。ミリ波、Sub6、ミリ波-Sub6のキャリアアグリゲーション、Sub6キャリアアグリゲーション (FDD-TDD、FDD-FDD、TDD-TDD)、DSS (ダイナミックスペクトラムシェアリング)に対応。最大通信速度は、スタンドアロンおよびノンスタンドアロンの両方で下り最大10Gbps。X60は最大7.5Gbpsだった。

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5Gネットワークおよびサービスの将来の向上に備えた設計がX65の特徴となっている。3GPPリリース16対応もその1つだ。リリース16では、低遅延通信の性能強化、デバイスの省電力を支援する機能、IAB(Integrated Access Backhaul)の導入、免許不要周波数帯の活用など様々な機能が追加される。X65はソフトウェアアップデートを通じて、リリース16の新しい機能や性能の展開に対応していけるアップグレード可能な設計を採用している。

ミリ波アンテナモジュールは「Qualcomm QTM545」。n259(41GHz)バンドを含むグローバルなミリ波周波数に対応。AIアンテナチューニングというAIを活用してセルラー性能を向上させる技術を用いた「AI-Enhanced Signal Boost」を備える。例えば、ユーザーのデバイスの握り方を検出して最適化することで、精度が前世代より約30%向上するとのこと。同技術の効果は、高速で安定したデータ通信、通信可能範囲の拡大、バッテリー動作時間の向上につながる。

Connected-Mode Wake-Up Signalなど3GPPリリース16で定義された省電力技術に基づいてデザインした「Qualcomm 5G PowerSave 2.0」、モデムとアンテナの統合的な設計を活かしてRFエミッションの要求を満たしながらミリ波とSub6の両方で通信速度やカバレッジを向上させる「Qualcomm Smart Transmit 2.0」を備える。

Qualcommはまた、X65の機能をより幅広いデバイスに広げる姉妹製品として「Snapdragon X62 5G Modem-RF System」も発表した。最大通信速度は4.4Gbps。3GPPリリース16をサポート。ミリ波アンテナモジュールはQualcomm 545。AI-Enhanced Signal Boost、5G PowerSave 2.0やSmart Transmit 2.0を備える。